第1341話 魔王国とブリアーニ王国の会談。2(領地分配と欲しいもの。)
「領地・・・移動。」
「ファロンの所だ。
カールラの要望を考慮したぞ。」
ヴァレーリが胸を張る。
「うん・・・ありがとう・・・でも、なぜ?」
「今回、うちの所とカールラの所の手口が似ている・・・いや、どうやったかまではわからないが、被害者本人達の証言では手口はほぼ一緒で経路は同じとなる。
なら犯人は魔王国に滞在している可能性が高いからな。
カールラの方の被害だけでも少なくするには移動させた方が良いとなった。」
「うちを考慮してくれるのはありがたいけど・・・
魔王国としては大丈夫なの?」
「国防上の観点から関を1つにし重点的な関の強化が図れる事、ウィリプ連合国との貿易での収入の増加が見込める事、現ブリアーニ王国とデムーロ国を吸収合併する事での穀物生産量が増加すると共に商隊の通行量増加に伴う収入増加が見込める事。
領地移動の出費はあるが、長い目で見ると利益が上回る予定だ。」
「蟲は?」
「第3軍が攻城兵器開発で使うと言っていたな。
まぁ演習場にするらしい。」
「そう・・・移動は誰が?」
「まず、ブリアーニ王国とデムーロ国をパーニ達が治める。
流石に領主未経験では占領地の安定が出来ないからな。
そしてパーニの所にはファロンだ。」
「そう・・・シモーナさんには悪いことをするわね。」
「まぁ、新しい土地で頑張って貰おう。
で、ここで問題になるのが・・・」
「アズパール王国との対峙戦力ね。」
「あぁ、今はパーニ、ファロン共に2500名を常に展開出来るようにしているが、ブリアーニ王国の常駐戦力はいくつだ?」
「1200が良い所ね。」
「ふむ・・・エルヴィス伯爵領のみを見ると均衡するが・・・
ならファロンの所常駐戦力を3500にしてあと500を王都から派遣駐留させるか・・・」
「それは流石にファロン子爵が良いと言わないんじゃない?
子爵の負担も大きいし。」
「ん~・・・ならファロンとパーニの間のブリアーニ王国の北側と森に面している所に演習場兼直轄領として第6軍の創設をして駐留させるのもありか・・・いざとなればパーニの方にも加勢出来るしな。」
「確か・・・魔王国の各軍って・・・3000だっけ?」
「まちまちだが・・・概ね3000から4000だな。
だが、第6軍は2500から3500の規模で王都と演習場とで月毎に兵士達の持ち回りで過ごすしかないだろう。
いざとなれば駐留地と王都から戦場に赴くか。」
「その規模をかぁ。
予算は?」
「パーニの貿易収入だな。」
「はぁ・・・大丈夫?」
「詳しくは試算して上げて来るだろう。」
「わかったわ。
とりあえず私は領地に戻り次第、皆を説得する事になるわね。」
「あぁ、こっちも案がまとまり次第、協議の場を設けよう。」
ヴァレーリとブリアーニが話を深めるのだった。
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武雄達はというと。
「あぁぁぁ・・・夜空を見上げながらの湯浴みは最高だな。」
「ゴドウィンさん、貴族2人で入って良いんですかね?」
「1人ずつ入っても時間がかかるだけだろう?
俺らが入るまで他のやつらは入れないしな。」
武雄とゴドウィン伯爵は本日の野宿場所で露天風呂を楽しんでいた。
「・・・なぁタケオ、近々慣例の戦争があると思うか?」
ゴドウィン伯爵が夜空を見上げながら何気に聞いてくる。
「・・・相手からの宣戦布告待ちですからね~。
ですが、出来る事は早々に終わらせたいというのはありますね。」
「そうかぁ・・・やらなきゃいけない事だが、タケオが来たならそろそろかと思ってな。」
「関はどうなのですか?」
「特に変わった事はなし。
出来れば息子が生まれるまではしたくないものだな。」
「まったくですね。」
武雄が「鋭いなぁ」と思いながら返事をする。
「話は変わってだが、確かスミスの精霊の・・・何て言ったか・・・」
「マリですか?」
「そうそう、マリ殿に剣を見せて貰ったんだが、あれは作れないだろうか?」
「?・・・一般的な剣と振り方は違うはずですが・・・
扱い辛いのではないですか?」
「実用はしないで飾って置きたいんだ。」
「・・・特注品になりますが、ステノ技研で出来るとは思いますが・・・高いと思いますよ?」
「そうかぁ・・・」
「ジェシーさんに何と言って許可を貰うのですか?」
「息子が産まれた際の記念で・・・ダメか?」
「そういった風習があるのですか?」
「ない。」
「子に降りかかる不運を切り裂く為に贈るというのは意味合い的にはわかります。
でも、そういった風習がないのですよね?」
「あぁ・・・ない。
だが、あの剣は美しい。
タケオ、何とかジェシーを説得出来ないだろうか。」
「私に振りますか。
ん~・・・無理では?」
武雄も考えたがジェシーを説得出来ない想像しか出来ない。
「ならタケオの短い剣は買えるか?」
「小太刀ですか?
何振りか作らせましたし販売は出来ると思いますよ。
まぁ、特注品ではありますからそこら辺の剣より高いと思います。」
「そうかぁ。」
ゴドウィン伯爵がガックリとさせる。
「素直に『買いたいです』と言ってみるしかないのではないですか?」
「そうだよなぁ・・・」
ゴドウィン伯爵は説明する前から敗戦濃厚なのだった。
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