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第1340話 魔王国とブリアーニ王国の会談。1(説明をしよう。)

夕食後、ヴァレーリとブリアーニは2対2でお茶を飲んでいた。

正確にはヴァレーリとブリアーニの食後のティータイムにタローマティとブリアーニの精霊が立ち会っていた。


「・・・はぁ・・・何事もなく終わりそうね。」

「カールラ、旅はどうだった?」

「とりあえず米を頑張るわ!

 キタミザト子爵のおかげで米の可能性が見えたからね。」

「増産計画もか?」

「それは戻ってからね。

 まずはあの米の再現からね。」

「そうか。」

「・・・真面目な話?」

ブリアーニが聞いてくる。

「わかるか?」

「ダニエラが楽しくなさそうだしね。

 戻ってきて早々に会議だったのでしょう?」

「王軍幹部全員でな。」

「豪華ね。

 幹部全員でなんて何処かに攻めいるのかしら?」

カールラが茶化すように言う。

「ああ。」

「え?」

「デムーロ国だ。」

「魔人ね。

 私達の南かぁ・・・理由は?」

「・・・」

ヴァレーリは何も言わずにブリアーニの前に封書を置く。

「・・・」

ブリアーニが封書を取ろうと触れた時。

「その中に書かれている内容は不愉快極まりない。

 個人的には見る必要はないと思うがね。」

「見なかったらダニエラや魔王国幹部達の気持ちはわからないでしょう?」

「気持ちはわからないかも知れないな・・・我らが戦争を仕掛ける大義名分はあとで教える、見なかったからと言ってカールラを責めたりはしないし、大義名分を聞いて、我らが攻めいるのに協力しないと言うのであればそれも責めたりはしない。」

「それほどまでの内容なの?」

「いや、内容は至って簡単だ。

 だが、カールラが見る必要はないと個人的には思っているだけだな。」

「ダニエラ、心配してくれるの?

 私はこれでも国の代表よ?

 他国の王や幹部が見て決断をした資料を出されたら精査させて貰うわ。」

「そうか。」

ヴァレーリがブリアーニの言葉を聞いて背もたれに体重をかけながら目を閉じる。

「・・・」

ブリアーニは出された封書を手に取り、中から紙を取り出すのだった。

・・

ブリアーニはベルテ一家の概要が書かれた簡易報告書を読み終えていた。

もちろん武雄の事もベルテ一家の事も名前は伏せられている。

内容はウィリプ連合国に連れて行かれ、された事を列記されており、結びでとある人物に買われ、25年の雇用契約を締結して働いているという簡単な物だった。

「・・・」

ブリアーニがいつぞやのヴァレーリのように左肘は机に置き、左手は額に付け、右手を拳にし、力強く握りしめながら悩んでいた。

「・・・」

ヴァレーリは何も言わずに窓の外を見ている。

「ダニ・・・ヴァレーリ陛下・・・」

「なんだ?」

ブリアーニもヴァレーリもそのままの姿勢で話している。

「この情報提供者はこの一家の・・・」

「契約主だろうな。

 今回聞き出して教えてくれたということになる。」

「この者達に会えますか?」

「無理だろう。

 ブリアーニ殿に教えたのは貴国のとあるご一家の事だけだ。

 同じように我が国にも目が覚めたら奴隷だったという一家を保護しているとの報告が同じ者からされている。」

「その者は?」

「・・・ブリアーニ殿、知ってどうする?

 自国民と言えど現在、他国で働いているのだ。

 それを雇い主の所に行き、自国民だから返せと騒ぐのか?

 買った雇い主には奴隷が連れてこられた責任(・・・・・・・・・)は無いんだぞ?

 それに奴隷なのに雇用契約を結んでいる。

 しっかりとした人物の下で働いているというのがわかっただけで満足したらどうだ?」

「ヴァレーリ陛下はこの一家がされた事についてどう思いますか?」

「不運だった、そして良い雇い主に幸運にも出会えた・・・それだけだ。」

「ダニエラ!」

「カールラ、すまんが私も元々奴隷でな。

 ウィリプ連合国(あの国)からこっち側に売られヴァンパイアに買われ、身体中を弄られてこの仕様だ。

 元はただの人間種の小娘がだよ。」

「ダニエラ・・・」

「私から言わせれば、この一家が受けた強姦もその後の闘技場での戦いも『その程度』だ。

 私や私と一緒に買われた者達はな・・・私以外は皆、発狂して死んだよ。」

「・・・」

ブリアーニが何とも言えない顔をさせている。

「だが、程度は低かろうがこの手の行為は癪に障るのは確かだ。

 自国民が私と同じか似たような行為を受けているのを黙って見ている訳にはいかんのでな。」

「それで今回の派兵をですか。」

「あぁ・・・拐っている実行犯は捕まらないだろう、なら元締めを見せしめにして他国や実行犯に我が国の民に手を出すとどうなるかを覚えさせる事にした。」

「ですが、魔人です。」

「そこは私も出るし、第1軍から第5軍まで出す。

 出し惜しみはしない。

 私にとっては最初で最後の戦争だ。」

「ヴァレーリ陛下は戦争が嫌いでしたね。」

「個人の力量を高める試合は好きだが、民の生活を悪くする戦争は大嫌いだ。

 するにしても慣例の戦争程度で済ますのが一番だろう。

 だから今回は最初から全力投入し、さっさと終わらせる。」

「勝ちは絶対ですか?」

「ああ。我々が勝つ。

 あとは日数の問題だろう。」

「何日を予定して?」

「領主が住む港町は1日だが・・・国だからな3日もかからないだろう。」

「それほどまでなのですね?」

「王軍は強いからな。

 むしろ準備期間が長くかかるだろうな。」

「・・・そこまで考えているなら戦後の統治も考えているのですね?」

「無論だな。

 聞きたいか?」

「ええ、聞きたいですね。」

「ふふふ。なら教えよう。」

ヴァレーリが得意満面で話すのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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