第1338話 ヴァレーリ入城と魔王国幹部会議1(待遇がしっかりしていそう。)
魔王国王城城門。
「開門!」
ヴァレーリ達の目の前の門が開いていく。
「ヴァレーリ陛下、ブリアーニ女王陛下に対し敬礼!」
城門から城の玄関に続く道の両側に兵士達が並び最敬礼をして出迎えていた。
「あ~・・・なんだ仰々しいぞ?」
ヴァレーリが若干引いている。
「まぁ陛下が旅に行ったの久しぶりですしね・・・私も同行しましたし、皆には旅の詳細は知らされていませんしね。
それに概要だけならブリアーニ王国女王陛下と一緒にアズパール王国に視察に行くですからね。
皆が心配したのではないですか?」
「ダニエラ、好かれているわね。」
「どちらかといえば我が居ない方が訓練が楽になるので喜ばれていただろうがな。
とりあえず城に行くか・・・」
「はい。」
「カールラ達はどうする?」
「夕食まで寝かせて、些か疲れたわ。」
「寝とけ寝とけ、起こしに行ってやる。
それと約束通り今夜はエイクスを頼んでおこう。」
「あ、やった♪
エイクスかぁ、久しぶりだなぁ。」
ヴァレーリ達が入城するのだった。
・・
・
王城の会議室。
扉を開けヴァレーリが入室して来る。
「陛下入室!敬礼!」
室内では第1軍から第5軍の幹部が勢ぞろいしていた。
またカストも出席していた。
「うむ、始めよう。」
ヴァレーリが座ると皆も着席する。
「陛下、無事の帰還安堵しております。」
「ただ単に商隊について行って向こうを見て来ただけだ。
それにフレッディやカスト、ブリアーニ殿やその側近も居たからな・・・危険はなかったぞ。」
「それでもです。
それで何かありましたか?」
「ん~・・・あ~・・・フレッディ、今回の概要の説明を。」
ヴァレーリが面倒くさいようでフレッディに丸投げする。
「はっ!了解しました。
今回は陛下がブリアーニ女王陛下がアズパール王国に遊びに行くというのを聞きつけ、旅に出たのが始まりです。」
フレッディが説明を始めるが。
「・・・フレッディ?そこは省いて良かったのではないか?」
ヴァレーリがジト目で見る。
「正確な情報が必要でしょう。
ちなみに行く際に第2軍の訓練に参加されたのは皆さん知っているでしょう。」
フレッディが言うと皆が頷く。
「・・・そういう条件だったじゃないか・・・」
「7割の治療室送りはやり過ぎです・・・」
「皆治ったし・・・問題ないだろう?」
「「・・・」」
「・・・フレッディ、続きを頼む。」
ヴァレーリが目を細め、目線を下に向けて呟く。
「はっ!
道中については割愛ですね。
特に何もなく関に到着しました。
そこでの向こうの関の感想を言っておきましょうか。」
フレッディが説明をしていくのだった。
・・
・
「以上が、今回の視察での報告になります。
詳しくは後日、報告書で各軍に回しますのでお願いします。」
フレッディが席に着く。
「さて・・・どうだ?」
ヴァレーリが席の皆に聞く。
「ふぅ~・・・何と申しましょうか・・・」
「あぁ・・・カトランダ帝国への技術提供については確認させます。」
「うちの部下が・・・行方不明だったのですが、アズパール王国にですか。」
「ん~・・・あまり良い結果ではないですね。」
各軍の指揮官が疲れた顔をさせる。
「今すぐ対処が必要なのは第3軍だろう。
報告自体は時間もかかる。
早めに事実を確認しろ。」
「はっ!了解しました。」
第3軍の指揮官が答える。
「それとキタミザト子爵からの私信にあった第4軍のアズパール王国に採用された者はわかっているか?」
「はい、一緒に送った者を落札している間に他の者に落札されてしまったようで作戦行動中行方不明という事で探っている最中でした。
生きてて良かった・・・
陛下・・・どういたしましょうか?」
「キタミザト子爵の感じだと奴隷という身分だが・・・待遇に問題はなさそうだな。
だが、キタミザト子爵の部下ではないから近況は王都に出向いて貰って聞いてもらうしかないだろう。
今回の旅のお礼の手紙を書かないとな・・・その際に聞いて貰うように依頼するか?」
「はい、そのようにお願いします。
部隊の者や潜入している補佐官には連絡を入れておきます。
ご家族にも長期の出張という事にしておきます。」
「それで良いだろう。
一応、彼の者が持っていたと思われる情報はどんな物か確認しておけ。
奴隷であれば偽証というのは出来ないかもしれない。
なので知っている情報は向こうも知っているという事だ。」
「それは報告書にまとめます。」
「扱いとしてはアズパール王国に潜入と国家間技術研修としておけ、不運ではあるが向こうの軍隊経験が積めるというのは中々ない経験だろう。
それと25年も身を削って仕事をするんだ、1階級即昇進させて給金も毎月しっかりと積み立てておくように。
奴隷契約終了後は向こうで住むにしてもしっかりと25年分の給料は支払ってやれよ。
それと潜入中の者達の安否を再度確認し、同じ境遇の者で残りたい者は同様の待遇をさせ、帰国したい者は即買い取らせて帰路の手配をし内勤勤務にさせろ。
これは厳命だ!」
「はっ!陛下、確実に実行させます!」
第4軍の指揮官が頭を下げるのだった。
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