第1337話 ヴァレーリの帰還。(アリスのアルバイト終了。)
魔王国王城。
「陛下御帰還!陛下御帰還!」
「第1軍は近衛と警備で手の空いている者は玄関に集合!!」
「「「「はっ!」」」」
王城がわたわたしている。
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一方のヴァレーリ達はレバントの所まで一緒に行き、軽く挨拶をしたのちに出立し、のんびりと帰還の途についていた。
「着いたなぁ。」
「陛下、今回の旅いかがでしたか?」
隣のフレッディが聞いて来る。
「一言で言えば有意義だったな。
輸出入の件も上手く行くだろう・・・キタミザト殿は国、種族を問わず製品を見るという事がわかったし、我の退官後の地域の事がわかったのも良い事だな。」
「はぁ・・・今後の事も考えないといけませんね。」
「ふむ・・・旅の時に相談したがどう思う?」
「机上の空論と今までなら言っていましたが・・・キタミザト子爵のヴィクター殿とベルテ一家の経緯を聞いてしまうと・・検討事項になってしまうと思われます。
それと領地移動自体は国益はあるのはわかりますが、国内の移動時の負担がどうなるかでしょうか。
それに領地の入れ替えだけは2貴族から反発はあるでしょう。
なので2貴族の方でも利益がなければいけません。」
「・・・だな、それとカールラの方は問題なさそうだがな。」
「ブリアーニ女王の方は人攫いや蟲で悩まれていますからね。
元々移動を望まれているでしょう。
それにエルヴィス伯爵領と対峙して頂けるというのであれば国防上も魔王国として問題ないと思われますね。」
「国防上なぁ・・・早く言えばアズパール王国との緩衝地帯という事だが、逆に言えば外交上なにかあれば我らと敵対する可能性もあるということなんだがな。
まぁ国力的に我らに本格的に敵対出来るとは思わないが・・・」
「外交上も両国の中継地としてして貰った方が良いかもしれませんね。」
「そこは今後の検討事項だろう。
領地移動は想像するだけなら楽しそうだが・・・実際は大変だな。」
「ですね。
ブリアーニ女王へはこの後?」
「王城に着いてからだな・・・夕食後と前どちらが良いと思う?」
「後でしょうね。」
「そうか・・・そういえばカールラがエイクスを食べたいそうだ。」
「用意させましょう。」
「頼む。
はぁ・・・どこまで話すかなぁ・・・」
「帰ったら会議ですね。」
「幹部を呼んでおけ。」
「畏まりました。」
フレッディが頷くのだった。
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アリス達はというと。
「終わった・・・」
「きゅ・・・」
アリスとクゥがやっぱり机に突っ伏しながら呟く。
「ふぅ・・・これは疲れるわね。」
ジェシーも手首を揉みながら言う。
何事も無くイベントは無事終了。
「皆さま、お疲れ様でございました。」
店長が皆を労う。
「領民の声が聞けて良かったわ。」
「はい、ジェシー様、皆様お祝いを言われていましたね。」
「長かったからねぇ~♪」
「いえいえ、子が出来た、この事がお祝い事でございます。
女子でも男子でも構いません。
丈夫な子が生まれてくることを望んでいます。」
「そこもなんとも言えないわよね。
今出来る事では食事もしっかりとして散策も適度にしているわよ。」
「出産は体力勝負ですからね。
お腹が大きくなると運動も大変ですから今から体力が落ちないようにするのは大事でしょう。」
店長が頷いている。
「今回いろいろな所からの助言を元に出産計画がなされていてね。その一環で体を動かしているのよ。
でも貴族や豪商だと安静第一が一般的らしいわ。
街中では違うの?」
「それはそうでしょう。
ですが、庶民は仕事もしないといけない事が多いですしね。
ま、重い物を持たせたり長い間立たせるといった無理をさせる事はありませんが、体は動かしているので体力はあまり落ちません。
でもそういった妻達ですら出産は疲労困憊ですからね。
ジェシー様もその辺の覚悟は必要ですよ。」
「んん~・・・アリスやスミスの出産の時も見ていたけど・・・大変そうよね。
そこだけは不安よ。」
「ええ、ですが、生まれた瞬間苦しかったことが嘘のように幸せになると妻達は言っております。」
「こればっかりは経験がないからなぁ・・・店長、旦那達はどうなの?」
「不安と期待で吐き気が・・・」
「そこまでかぁ・・・うちの旦那は平気かしら。」
「伯爵様は・・・頑張って頂きましょう。
あ、それとこれはまだ上層部、組合での話ですが出産のお祝いはどうなりますか?」
「そこまでもう話し合うの?
ん~・・・すぐにとはいかないかな?
子供を見せびらかしたいとは思うけど、どうなるかわからないし・・・予定日も少し寒くなっていそうだからなぁ。」
「皆楽しみたいのですよ。
確か9月上旬頃と伺っています。」
「ありがたいけどなぁ・・・予定は予定だけどお披露目はまだ未定ね。
だけど組合には定期的に私の体調が伝わると思うわ。」
「それだけでも楽しみが増えるというものです。」
「わかったわ。
よし、アリス、クゥちゃん、ご飯食べに行きましょう。」
「は~い。」
「きゅ~。」
2人が疲れながら返事をするのだった。
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