第1334話 157日目 武雄達は関に向け出立。(皆の朝は。)
ゴドウィン伯爵家の玄関。
アリスとジェシー、クゥが皆を見送っていた。
「「いってらっしゃーい。」」
「きゅ~♪」
・・
・
「行きましたね。」
「行ったわね。」
「きゅ。」
「お姉様、何かあるのですよね?」
「ん~・・・大した事ではないわよ。
ちょっと街中を歩くのに付き合ってという所ね。」
「ジェシーお姉様とレイラお姉様が大した事ないと言う時は何かあるのが私の幼少体験なのですが。」
「厳しくした覚えはないわよ?」
「あれで?」
「うん、あれで。
まぁ、良いじゃない。
散策に付き合ってね。
では、外出の支度しましょうか。
あ、アリスの服も用意しないとね。」
「わかりました。
クゥちゃん、今日は外で昼食みたいよ。」
「きゅ~。」
アリス達は外出の用意をするのだった。
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エルヴィス家総監部の庁舎内のキタミザト家執事室(仮)。
「ヴィクター様、おはようございます。」
アスセナが綺麗なお辞儀をする。
「うん、アスセナ、昨日は休めましたか?」
ヴィクターが事務机に座りながら頷いている。
「はい、初期研修が終わり、昨日は休養を頂きましてありがとうございました。」
「顔色も良さそうですね。
研修はどうでしたか?」
「はい、ヴィクター様、ジーナ様の受けられていた執事研修とは違い、私の方は基礎的な執事研修と総務局と財政局、経済局の3つの業務研修が終わりました。
一応、キタミザト家の収支の方法等金銭関係に特化されたという感じでした。」
「うん、アスセナは元販売員という事で主が帳簿の作成や各精算を任せるという事で採用しました。
お客等の対応は私かジーナがしますので、支払いの準備や収入の管理をお願いします。」
「はい、畏まりました。」
「机はジーナの向かい側を空けておきました。
研究所が出来れば正式に部署が立ち上がりますが・・・今はまだ名前がありませんね。」
「キタミザト様はその辺は何も指示がないのですね?」
「そう言えば私もお聞きしていませんでした。
戻り次第、各署の部署名を正式に決めましょう。
それと研修で習ったと思いますが、基本目上や部署以外の人には『様』付けになります。
キタミザト家の執事としてその辺はしっかりとお願いします。」
「はい、わかりました。
今日は何をしましょうか。」
「そうですね・・・私は昼過ぎから研究所の建方の現場に行って進捗を見て来ます。
アスセナもそれに同行する事。
午前中はノートに帳簿の書式作成をお願いします。
今はまだ入出金が多くありません。
今の内に出来るだけ記入する物を作っておきましょう。
主が戻ってから皆様に給金の配布等がありますのでそれに必要な物の検討とリスト化ですね。」
「はい、では・・・まず給金のリスト化をしてから帳簿の作成を開始します。
最低は・・・半年分は作ります。
様式は研修でも使ったエルヴィス家と同じでよろしいのですね?」
「はい、同じ地に居て別々の書式にする必要もないでしょう。
エルヴィス家の書式に基本は合わせる事にします。
あと・・・これが現状の研究所とキタミザト家の人員を記載したノートとアスセナ専用の筆記具一式になります。」
「はい、預かります。
では、始めます。」
アスセナが席に座り、作業を開始するのだった。
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エルヴィス家のエルヴィス爺さんの執務室。
「んん~・・・ヴィクターやエリカ殿の話とこのタケオからの報告書。
輸出入は問題なさそうじゃの。
フレデリック、米の作付け工程計画案はどうなっておる?」
「当分はこの街の農家に作付けの依頼をする予定です。
ですが、大きく長い目で見るとウスターソースやウォルトウィスキー関連で北町、西町の作付けする物が大きく変わって来ています。
個人的には野菜に特化する西町で多くの米の栽培が出来ればと思っていますが、まだ私も口にはしていませんのでどこまで本気で取り組んで良いのか・・・
エリカ殿やヴィクターの感想からあまり不安視はしていませんが、実際に食べてみないと判断に困ります。」
「そうじゃの。
これはタケオが戻ってからかの。」
「はい、畏まりました。」
「あとは、槍の柄の材料はどうだ?」
「輸入した材木は基本的にステノ技研預かりとしました。
今、向こうから槍先を作製、柄の加工と取付等の見積もりを依頼中です。
また一部はハワース商会に回し、国内中の木で同じような特性がある物を探して貰おうと思います。」
「ふむ・・・フレデリック、モニカに頼んで国内で取れる木々の一覧とその特性をリスト化して出させるようにしてくれるか?
もしかしたら槍以外でも見直しが必要な木材製品があるかもしれないからの。
その時にどういった木材が手に入るのかというのが一目で分かるようにしたいのじゃ。」
「はい、畏まりました。
それと各地の養鶏場の経過報告をしようと思います。」
「うむ・・・まずは養鶏場が軌道に乗らねばマヨネーズの公表もずれ込む可能性があるからの。
しっかりとやるしかないのじゃ。」
「はい、その通りかと。
まずは現状の施設の出来から報告を始めます。
北町の方では小屋の設置が・・・」
エルヴィス爺さんはフレデリックの説明を聞きながら指示を出していくのだった。
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