第1330話 156日目 入学式。(夕方は剣術の集中的訓練。)
王都の王立学院の講堂と言う名の大広間。
王立学院の全生徒や教師達が集まっている。
グレースが学院長の前に立ち宣誓をしていた。
「我ら48名。本日王立学院に入学し、王国の礎となる為の学業を開始します。
我ら新入生は、この恵まれた環境中で、仲間と共に真摯に勉学に励み、学院生活が実りあるものとなるよう努力していきたいと思います。
教職員の皆様、諸先輩方、私たちは未熟ではありますが、何卒、厳しくそして温かくご指導くださいますようお願いいたします。
新入生筆頭 グレース・フィル・アズパール。」
そして礼をして壇上を去り列に戻る。
「オーブリー・ボブ・クラーク伯爵より訓示。」
「皆さん、入学おめでとう。
この王立学院は・・・」
入学式が順調に進んでいくのだった。
・・
・
「以上!入学式を終える。
各学年は教職員の指示に従うように。」
司会進行の言葉で式が終わる。
「はい!1年生はこの後、教室に行きます。
皆さん!忘れ物ないように!
移動します。」
教員と思われる人が1年生達の横に来て声をかけている。
「スミス様、移動だそうです。」
1列目に居るスミスの所にジーナが近づいてきて声をかける。
「うん、そうらしいね。
忘れ物ないね。」
「はい、このあとは今後の授業の概要説明だと思われます。」
「流石、ジーナだね。
あと必要な物は後で買いに行こうね。」
「はい、スミス様。」
「スミス、お付にばかり気を取られないでくださいね。
まずは学友と話をしないといけませんよ?」
隣に居たグレースがスミスに声をかけ席を立つ。
「はい、グレース殿下、ありがとうございます。」
そう答え、スミスは声に出さないが、顔をジーナに向け謝る。
ジーナは目礼するのだった。
「そうだぞ、スミス。
もっと俺らを構ってくれ。」
スミスの肩を抱きながらアルダーソンの息子のイーデンが言ってくる
「イーデン・・・確かに名前呼びで行こうという事になりましたが・・・些か馴れ馴れしいですよ?」
スミスが真っ直ぐ前を向きながら答える。
「うん?・・・カイル、普通だよな?」
イーデンが隣にいるボールドの息子のカイルに聞く。
「普通ではないですね。
スミスの方が至って普通です。
というよりイーデンがフランクすぎますよ。
数日でここまで気を許す人は普通居ないと思いますが?」
「そうかぁ?
ん~・・・まぁこれが俺だし?」
「そこはなんとなくわかって来ています。
なのでスミス、彼を矯正するのは諦めた方が良いでしょう。」
「・・・カイルは慣れるのが早いですね。
僕は・・・」
スミスがイーデンの顔を見る。
「おっ♪」
イーデンが期待した顔をむけるが。
「・・・あと1か月で更生させましょうか。」
「スミス、俺は更生なんてされないぜ!」
「・・・まぁ追々していきましょうか。
ほら行きますよ。」
スミスが先に歩きだすのだった。
そんな主人達をお付たちは見ているのだが。
「ジーナ様。」
エイミーのお付のドネリーがジーナの後ろからやって来て声をかける。
「ドネリー様、いかがしま」
「私を名前で呼んで欲しいのですが・・・」
「・・・ドネリー様、何でしょうか。」
「寄宿舎に戻ってからどこか行かれますか?」
「いえ・・・今日から夕食まで会議室を借りれましたので、私とスミス様は夕食の時間まで剣術の稽古をしますが・・・」
「そうですか、わかりました。
では後ほど。」
ドネリーが軽く礼をして去って行く。
「はぁ・・・後ほど??」
ジーナが首を傾げる。
「ジーナ様、主人達が行ってしまいますよ?」
「はい!すみません!」
他のお付と一緒に移動するのだった。
・・
・
王立学院での初日が終わり寄宿舎に帰ってきてからの寄宿舎の会議室。
「「55・・・56・・・57・・・」」
スミスとジーナ(体操服)が黙々と腕立てをしていた。
マリとパラスは人間大になり2人の様子を見守っている。
「・・・剣技の訓練よね?」
「そう伺っています。
ですが、腹筋と腕立てですね。」
「基礎訓練は大事よ。
剣を振るだけが訓練ではないわよ。」
エイミーとドネリーとアルが部屋の隅でお茶をのみながらスミスとジーナの訓練を見守っている。
「それにしても・・・マリ、腹筋と腕立て100回ずつなの?」
「うむ、軽く体を解すには丁度良い回数だろう。」
「・・・マジで?
ジーナ、女の子よ?」
「むしろジーナの方が余裕で熟すがな?」
「マジかぁ・・・
で、何をするの?」
「ここでは基本的な素振りのみだな。
週1で訓練場で組手をする予定だ。」
「訓練場??」
アルが首を傾げる。
「うむ、王都守備隊の訓練場と聞いているが・・・」
「「王都守備隊の訓練場?」」
エイミーとドネリーが聞き返す。
「うむ、ジーナが交渉してきてな。
週1で王都守備隊の相手をするそうだ。」
「そうかぁ、大人達相手なら良い訓練になりそうね。」
「うむ、2人とも準備を怠らないようにさせている。
あとは出たとこ勝負だろう。」
「「・・・」」
エイミーとドネリーが顔を見合わせる。
「「・・・100・・・」」
100回終わったのかスミスとジーナの2人とも腹ばいで軽く息が上がっている。ちなみにジーナは自動回復は切らされています。
「良し、2人とも素振りを始める。
この某の特製、短くとも振った感覚は一緒の木剣を使ってするぞ。
まずは中段からの素振り100回。」
「「はーい。」」
スミスとジーナがのろのろ立ち上がり木剣を構え始めるのだった。
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