第1329話 155日目 エルヴィス家の報告。(武雄達もうすぐ越境。)
エルヴィス伯爵邸の客間。
留守番をしてたエルヴィス家の面々や身支度を整えたエリカ、配達を終えたヴィクターも居て、一通りヴィクターとエリカが報告をしていた。
「・・・魔王国もトップが遊びに来るのじゃの。
何事もなくて良かったの。」
「・・・ですね。」
エルヴィス爺さんとフレデリックが深いため息をつく。
「エリカ殿は印象はどうであったかの?」
「グリフォン凄かったです♪
まさか見れるとは思いませんでした。
あ・・・来て頂いていた方々は教えられた時は驚きましたが、至って普通でした。」
「まぁ、そうじゃろうの。
本人達からすれば遊びに来ただけじゃろうからな。
では、ヴィクター、輸出入については問題はないのじゃの?」
「はい、米の輸入、ウォルトウィスキーの輸出については問題はございませんでした。
ウスターソースの輸出については増産要請がその日のうちに出されておりましたが、領内の方が先と念を押しておきましたので、シモーナの所で提供する程度の量で問題ないとなっております。
ですが、マヨネーズの製法については・・・これは伯爵様と主で話し合わないといけない事かと思われます。」
「ふむ・・・マヨネーズはこの地でもいつ発表させるかは文官でも意見が割れておる、わしらは養鶏場が始まり次第という事でまとめようとしておるが・・・向こうで準備もなしに広めると些かマズいと思うがの。
フレデリックはどう思うかの?」
「教える事自体はタケオ様と主で話し合えば良いと思われます、いつかは製造方法は流出するのですから早い段階で正式に教えておいた方が後々に良い事かと思われますが、向こうではどの程度まで広めるおつもりがあるのかによるかと思われます。」
「個人や家族で楽しむ分には市場が混乱はせぬが・・・
レシピの流出は避けられぬだろう・・・作り方も簡単だしの。」
「契約上で個人、一家に限るとするわけにもいきませんしね。
確か第3皇子一家にもタケオ様はお教えしましたが・・・エリカ殿、第3皇子一家ではどういう扱いですか?」
「・・・タケオさんからお教えいただいたレシピは王家のみで使用します。
あとは邸宅などで客人をお招きする際には出す予定です。
街への公表はもう少し先かと思います。」
「ふむ・・・手軽さと美味しさで特別感を出させるのも手じゃの。
向こうがそう思ってくれれば良いのじゃが・・・」
「それもタケオが戻ってからだろうの。
今回の受け取りは問題ないという事で一旦終わらせようかの。
こちらからは夕霧。」
「ん、タケオ達が出立してからの領内と王都の情報です。」
夕霧が説明を始めるのだった。
・・
・
「ジーナ達もタケオ達も問題ないという事じゃ。」
「主達は順調に南下しているのですね。」
「うむ、じゃが、オークとの戦闘があったようじゃ。」
「??・・・クゥ殿とビエラ殿が居てオークが近寄るのですか?」
「そうなのじゃ・・・ドラゴンに近寄る魔物が居るのかの?」
「普通は居ないと思うのですが・・・」
「まぁ何かしらあるのじゃろう。
エリカ殿、ヴィクター、ご苦労じゃったの。
今日はゆっくり休むと良いの。」
「はい、ご厚意感謝いたします。
明日からまた政策の確認をさせて貰えませんか?」
「うむ、こちらからも頼むの。
何かあれば庁舎や現地に行ってもいいからの。
フレデリック。」
「はい、執事達にも言っておきます。」
「よろしくお願いします。」
エリカが頭を下げるのだった。
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武雄達はというと小休憩をしていた。
「この道を行けば村に行くのですね?」
「シウンが上空から他のスライム達も先行して道が繋がっていると確認しました。」
初雪が頷く。
「なら・・・ビエラ、ネックレス返してください。」
「あ~?」
「これから村に行くのですからオーク達を連れていけないでしょう?」
「あ~・・・あ!」
ビエラが体を捻ってイヤイヤをしている。
「こらこら・・・それはアスセナさんから預かっているんですからね。
もうしまいますよ?」
「あ~・・・」
ビエラが名残惜しそうにネックレスを見ている。
「では、代わりにゴドウィン伯爵の所で小さいの買いますから、それで良いですか?」
「あ?」
ビエラが顔を上げる。
「ですが、高いのは買えませんよ?
でも気に入ったのを買ってあげます。どうですか?」
「はい!」
ビエラがネックレスを外して武雄に渡してくる。
武雄は受け取ったネックレスをリュックにしまうのだった。
「やっぱりあのネックレスが問題でしたか。
タケオ様からアスセナさんが所持していた物を付けてみようと言われた時はどういうことかと思いましたが。」
アリスがため息を付いている。
「確かにあの時はビエラ殿が居るにもかかわらずオークが来ましたからね。
意識を失っていたアスセナ殿を荷車に乗せる時に身に着けていた物は外して所長が保管していていましたし、気が付いたアスセナ殿にネックレスの譲渡を了承して貰っていますから問題はないのでしょうけど・・・
所長は最初から気になっていたのでしょうけど・・・今しか確認する時が無かったのでしょうね。」
「まぁ、町や村では試せないでしょうしね。
今なら山の中ですし、いざとなれば逃げれば良いだけですからね。
それにしても順番に着けましたけど・・・私達よりミア殿の方が効果がありましたよね。
まさかあんなにオークが居るとは思いませんでしたが・・・」
「何か呼び寄せる強さのような物があるのだろうな。
まぁあとは後日検討するしかないか。」
マイヤーもベイノンもお茶を飲みながら疲れを癒している。
「ん~・・・あの魔法具が問題だったかぁ。
何か変な魔法がかかっているとは思ったけど・・・オークを呼び寄せるのは初めて見たかも。」
「ネックレスに限らず魔物を呼び寄せる方法はありますよね。
今回はたまたまネックレスだったということですね。」
「でもあの大きさで特定の種族を呼び寄せる物なんてあったっけ?」
「確かに聞いた事ありませんね・・・という事は・・・」
「誰かしら作ったんだろうね~。
呼び寄せるのは匂いが一般的だろうけど・・・オークにだけ効く匂いを発する魔法具かぁ・・・」
「注意だけしておかないといけないかもしれませんね。」
コノハとパナが話し合っているのだった。
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