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第1327話 農業関係者の魔法授業。4(才ある者。)

ベルテ一家の畑の隅っこ。


「やっぱり私は才能がないのか!?」

フローラがへこたれていた。

「まぁまぁ。いきなり出来るなんて思っちゃダメよ。

 フローラ。頑張ってね。」

ボーナが優しく諭す。

「それ・・・前にも聞いた。

 ケアは皆普通に出来たけど・・・アクア!」

フローラが発動されると手からちょろちょろと出て来る。

「うぅ・・・」

「・・・アクア。」

隣のエンマが発動させるとサパッと水が出てくる。

「エンマ、器用すぎ・・・アクア・・・あぁぁぁぁ・・・」

フローラがいじける。

「アクア!アクア!」

「アクア~!」

ニルデとジルダはそこら中に水を撒いていた。

本人達もびっしょりになっている。

「こら~!2人とも風邪引いちゃうぞ?そろそろ終わるよ。」

「「もうちょっと!」」

ドナートが2人を見ながら注意をしている。

「ははは、とりあえずこれでキタミザト様に頼まれたファイアとアクアとケアは出来るようになりましたね。」

テイラーがドナートの横で苦笑している。

「いや~・・・この4日間朝から晩までありがとうございました。

 畑も手伝って頂いてすみません。」

「いえいえ、畑仕事は初めてですが、面白かったですよ。

 それにしても覚えが早いですね。

 特にジルダが・・・キタミザト様しか出来ない白いファイアが出来るとは。」

「ええ、初めて見ました。

 驚きました。

 ジルダは発想が柔らかいのでしょう。」

「そうですね。

 で・・・フローラさんが・・・」

「はい、ファイアも自分なりに練習をしているのですが・・・飛ばすのもやっとのようで。」

「ふむ・・・」

テイラーがこの辺の小枝を拾ってフローラの所に行く。

「テイラー店長・・・」

「ちなみにフローラさん、飛ばさないで掌にアクアは出せますか?」

「はい・・・こうです。

 アクア。」

先程と同じように手からちょろちょろと出て来る。

「・・・ふむ、量は問題ないか・・・これ持ってください。」

テイラーが小枝を渡す。

「フローラさん、この小枝を濡らさないようにして(・・・・・・・・・・)アクアで覆って(・・・・・・・)ください」

「?・・・濡らさずに?」

「ええ、見本を見せると・・・」

テイラーが違う小枝を持ち、無詠唱でアクアを発動、水が2本の紐のようになり、らせん状に交差しながら小枝を覆っていき小枝全体を水で包む。

「おおぉぉぉ・・・水が動き続けている・・・凄い・・・」

フローラが魅入る。

「・・・」

と今度は今の逆再生のようにらせん状に水がひいていき地面にこぼれていく。

「ええぇぇぇ・・・!?」

「・・・」

テイラーが無言で持っていた小枝をフローラに渡す。

「?・・・??・・・濡れてない・・・」

フローラが小枝をいろいろな角度で見たり触ったりするがどこも濡れていない。

「さ、やってみましょう。」

テイラーがにこやかに言う。

「えぇぇぇ!?量も多くないし。」

「大丈夫ですよ。」

「ファイアも上手く飛ばせないんですが。」

「問題ありません。」

「うぅ・・・失敗しませんかね?」

「最初は誰もが失敗しますよ。

 最初から歩ける人が居ないのと一緒です。

 努力すれば良いだけですが・・・ん~・・・ならフローラさんはこっちを見せた方が良いのでしょうね。」

「?・・・どういう?」

フローラがテイラーの言葉の意味が解らず不思議そうな顔をしている。

「とりあえず、集中してください。

 言葉で誘導しますからね。

 フローラさんは私の言葉をイメージしてください。」

「はぁ・・・」

「では両手の小指の付け根辺りで小枝の下を挟むようにして・・・指先は重ねて・・そうそう。

 水をすくうような手の形にしてください。

 ではそのまま、目を閉じて。」

「閉じるのですか?」

「はい、発動は出来るのはわかりましたから、イメージしやすいように目を閉じましょう。」

「・・・」

フローラは言われた通りに目を閉じる。

「では・・・

 溢れない程度のアクア。」

「アクア。」

「・・・」

ゆっくりとだが、フローラが手の中に水を溜めだし、水がこぼれないようにそして棒も倒さないようにしっかりと手に力を入れる。

「ここに種を入れます。」

とフローラは水面に何かが入れられるのを感じるが目を閉じたまま種が入って来たイメージをする。

「種から芽が出て、葉が1枚、2枚と増えて行くと共に幹がゆっくりと成長していきます。」

フローラはテイラーの言われた通り一生懸命にイメージをしている。

「「えっ?」」

「おぉ?」

「はぁ~♪」

「わぁ♪」

いつの間にか周りに皆が居るのだろう声が聞こえるが・・・今どうなっているのか気になる。

フローラは目を開けたい衝動に駆られる。

「フローラさん、集中。

 皆さん静かに。」

テイラーに注意され皆が黙る。

フローラは静かにまたイメージをして行く。

「細い幹がゆっくりと育ち太くなり、枝が増え、葉も生い茂って行きます。」

「・・・」

フローラが何も言わずにイメージをしている。

「・・・フローラさん、ゆっくりと目を開けてください。」

テイラーの言葉でフローラが目を開けると手の中にイメージしていた木がアクアで出来ていた。

「あ♪」

ザバッ・・・

物の1秒もしない内に崩れ去った。

「!?」

フローラが絶望した顔でテイラーを見上げる。

「これが操作系魔法師の魔法の使い方ですよ。

 イメージで魔法を操作するのです。

 それにしても良くもまぁ初めてでここまで出来る物ですね。」

テイラーが呆れている。

「え?」

「魔法師専門学院の生徒でも最初は動かす所に相当苦労するのですけどね。

 まったく・・・貴女達は優秀過ぎです。」

「でも・・・目を開けたら崩れて・・・」

「それは当たり前ですよ。

 見た瞬間、イメージするのを止めたでしょう?」

「あ・・・」

フローラが思い出した。

確かに見た瞬間「綺麗」と思って木のイメージが飛んでしまっていた。

「イメージが続けばあの木はずっと形を保っていられたのですか?」

「ええ、ですが・・目を開けてのイメージは結構大変ですよ。

 慣れるまでは目を閉じてイメージして、目を開けてイメージが続くようにしないといけません。」

「努力が必要なのですね。」

「ええ、でも人間の16歳程度の子が出来るのですから訓練していれば出来ますよ。

 まぁ・・・今回は初回だったのでちょっと補助もしましたけど。」

テイラーはフローラの手の中の水の中から宝石を1個取り出す。

「イメージを増幅させる宝石です。」

「あ・・・その宝石があったから・・・」

フローラがちょっとショックを受ける。

「無くても出来るようになりますよ。

 今回はここまで上手く行くとは思いませんでしたけど、操作系の魔法を見せてあげたかっただけです。

 それにファイアやアクアの練習自体もしておかないと実用性はないですね。

  そちらは人並みと言った感じですが。」

「そこも訓練なのですね。」

「当たり前です。

 何でも最初から完璧に出来る訳ないですよ。

 地道な努力が必要です。」

「テイラー店長、出来ました。」

ニルデがフローラのように両手にアクアを溜めてそこから小さな花を一輪咲かせていた。

「やっぱり私は才能がないんだ!?」

フローラが再びへこたれるのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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