第1325話 153日目 関にて。(明日への活力。)
関に戻って来た4人は泥だらけになったので4人でズボンや上着、トレンチコートに着いた泥を水洗いしていた。
下のズボンは関の詰め所で借りていた。
「崖を登るのがこうも大変だったとは・・・」
「足場がないとあれほど大変なのですね。」
「この土塁は有効ですね。
あ、アリス殿そこは軽くこするだけで良いんですよ。」
「はい!わかりました。
ビエラちゃんも大丈夫ね。」
「あ~♪」
4人が洗っている横で。
「あれだけの仕様ならゴドウィン伯爵側の関で実施しても良いでしょうね。
あと補修用のスライム35体もついでに貸し出しで。」
武雄は大き目の脚立の一番上に座りながら、洗った箇所の水気を絞り大まかに抜いた衣服をハンガーにかけ、下から大きな袋に入れ、「エアロ」と「ファイア」で温風を出し続けて乾かし始めている。
ちょっとした温風乾燥機を実施していた。
「おふ・・・熱風が来るなぁ・・・」
「タケオ様、洗い終わりました。
ここにかけておきますね。」
「はいはーい。
アリス達は夕飯の用意をしてくださいね。」
「はーい。」
・・
・
皆の服の乾燥を終えて、武雄達が野外の野宿場所で夕食を取っていた。
借りていたズボンは軽く布で拭き、同じく乾燥をさせて・・・なんだかんだと時間がかかり武雄は夕食の支度には合流出来なかった。
「意外と時間がかかった・・・」
武雄がスープを飲みながら疲れを癒していた。
「でも、凄いですね。
野宿で服がこんなに短時間で乾くなんてあるんですね。」
「所長・・・これは何をしたのですか?」
「袋に入れて「エアロ」と「ファイア」で温風を出し続けたんですよ。
・・・ほら、暑い日だと洗濯物は早く乾くじゃないですか。
だから袋の中だけでも暑い日を作れれば乾燥が早いと思ったのですよ。」
「「「ほぉ。」」」
3人が感心する。
「タケオ、次はズボンプレッサーね。」
コノハが言ってくる。
「・・・私ズボンプレッサーを使った事ないんですけど・・・
あれって慣れれば楽という話でしたが。」
「アイロン不要でズボンを機械にセットすれば15分後にはなにもしなくても折り目がしっかりつくからね~。
使っている営業マンは多いはずよ。」
「「!?」」
マイヤーとベイノンが驚く。
「でもあれって電熱方式だったはずです、電熱方式が使えるならアイロンの方が先に開発したいですね。」
「タケオ、他の白物家電は何か作れそう?」
「そうですね・・・
洗濯機は鈴音も考えていましたけど、今は脱水機に注力していますよ。
他はまだ考えていませんね。」
「白物は難しいかぁ・・・脱水機だけでも出来たら洗濯の時間は減るかなぁ。
でもなぁ~・・・」
「脱水機単体だと売れそうにないですけどね。」
「だよね~・・・高価な脱水機は買わないわよね。
大量に毎日洗濯物が出るなら恩恵に預かれるだろうけど、やっぱり一般家庭では洗濯機が一緒でないと買わないよね~。
ちなみにタケオ、脱水機という事は・・・」
「初期型遠心分離機で純度の高いバターが量産出来る可能性がありますよね。」
「おぉー!流石タケオ、脱水機より分離機の方が重要よー♪
タケオ出来たら何をするの?」
「バタークッキーの量産。」
「おし!クッキー最高!
これで私の醤油が出来れば・・・醤油バターが出来るわね!」
「醤油バターですって!?
鈴音に言って、遠心分離機を最優先で作らせますか・・・脱水機よりこっちの方が・・・いや、でも構造的には脱水機が初めにあって次に遠心分離機の考えの方が・・・」
「「「!?」」」
アリスとマイヤーとベイノンは武雄の食いつきに驚く。
「タ・・・タケオ様、その醤油バターとは何ですか?
バターはわかるのですが・・・醤油とは魚醤のようなものでしたよね?
それを合わせるだけなのですか?」
「え?ええ、醤油とバターは最強の組み合わせの1つです。」
「さ・・・最強・・・」
「そうよ!アリス!
醤油バターは奇跡のソースよ。
蒸かしジャガイモにも合うし、お肉にも合うし、パスタにも合わせられる。
和食と洋食の最高のコラボ!これこそ食の素晴らしい所よ!
塩、バター、トマト、ウスター、醤油に次ぐ第6の味!醤油バター!
タケオの国の人間なら8割方拒否はされない国民に愛される味!」
「「「第6の味・・・」」」
「タケオ!これはアズパール王国内で料理対決があったら勝ったも同然ね!」
「そんな料理対決なんてないでしょうよ。
・・・じゃあ第7の味はゴマ油ですね。」
「タケオ!胡麻を探す旅に出るわよ!
ここに来て中華料理が参戦ね!最高よ!」
「一応、王都の穀物問屋で胡麻が普及していない事は確認しています。
当分は情報を集めるしかないでしょう。」
「・・・タケオ、次何作る?」
「ラー油もどき、オリーブオイルとトウガラシ、ニンニクで作りますよ。
ただ・・・ピリッとした山椒や癖のある八角は未発見ですけどね。
ま、あっさりした癖のないラー油でしょうね。」
「あ~、それがあれば料理にアクセントをつけやすいか。
ペペロンチーノもすぐに出来そうね。」
「まぁ、ササッと作るのに便利ですからね。」
「それは他の料理にも使えますか?」
アリスが聞いてくる。
「野菜炒めにも使えますし、肉にも使えるでしょうね。
探せば既製品であるかもしれませんけど・・・自分達で中身を変えながら試行錯誤すればエルヴィス家オリジナルのオイルが作れるわけですよ。」
「「へぇ~。」」
「あ~。」
「きゅ~。」
武雄とコノハの熱弁にその場の皆がただただ頷くのだった。
結局この日の夕食は武雄達は食べ物の話で盛り上がり、将来作り出される料理を楽しみにするのだった。
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