第1315話 王都に到着。2(引っ越し作業。)
寄宿舎内のジーナの部屋。
室内に入るといつぞやの戦利品の机だけある・・・わけではなかった。
木箱が何個か部屋の奥に積まれていた。
鍵を開けジーナとエイミーとドネリーが入って来る。
「・・・昨日の夕方送られて来ましたので部屋に置いておきましたが。」
ドネリーがそう伝える。
「スミス様の所でもお聞きしましたが、お手数をかけて申し訳ありませんでした。」
ジーナが礼をする。
「いやジーナ、良いのよ。
でも・・・ベッドないんだけど、平気?」
「ベッドは数日かけて選ぼうと思っています。
木箱の中に毛布と枕はあるので、それで寝れます。」
ジーナが答える。
「・・・ジーナ、一応聞くけど・・・スミスも?」
エイミーが額を押さえながら聞いて来る。
「はい。了承されています。
私はこの後外にいきますので、王都守備隊に挨拶とスミス様の制服を取ってこようかと思います。」
「・・・貴族の跡継ぎがベッドのない部屋なんて・・・
まぁ良いわ、スミスは今日は外出しないだろうからね。
家具屋は明日にでも行く?」
「はい、前にスミス様とエイミー殿下が行った家具屋を見てみようかと。」
「あ~・・・あそこね。
お金はある?」
「はい、えーっと・・・この木箱に。」
ジーナが積まれている木箱の1つを開けて革袋を取り出す。
「・・・無防備に送って来たわね。
ジーナ、そのお金はさっき渡された生徒カードに入れておきなさい。
冒険者組合に行けば出来るわ。」
「わかりました。
では荷物の整理をして私は外出します。」
「うん、寄宿舎の出入りは基本受付で管理するから出る時は対応してね。」
「はい、すみませんが、スミス様をお願いします。」
「平気よ、説明と言っても座談みたいなものだしね。
ジーナも無事に用事を済ませてきなさい。」
「はい、畏まりました。」
ジーナが礼をするのだった。
・・
・
で、エイミー達も一旦自室に戻り、ジーナ1人で机に腰かけていた。
「・・・来ましたか。」
とクローゼットの天井部分が少し開いたかと思うとロロがやって来る。
(お久しぶりです、ジーナ様。)
(ええ、お久しぶりです。
様付けは良いのですが・・・まぁ誰に聞かれるわけではないでしょう。
今日までの動きで何かありましたか?)
(この屋敷では人間が数人入れ替わっています。
ジーナ様の単語もちらほらと聞いていますが、すぐに何か行動をするようには思われません。
また学院の敷地内の建物の情報についても動向を監視しておりますが、ジーナ様がすぐに行動するような情報はないと思われます。)
(ふむ・・・わかりました。
詳しい話は夜に聞きましょう。
こっちの方はこの部屋には私と私の精霊であるパラス、そしてエルダームーンスライムの磯風です。)
ジーナはそう言いながら磯風をバックから出し机に座らせる。
(今度のスライムは獣なのですね。)
(ええ、仲良くしてください。)
(スライムに遅れはとりませんが・・・わかりました。)
「シャー」
ロロが軽く鳴く。
「磯風、この白蛇がこの建物の主です。
夕霧と初雪が前にスライムを撒いていますから引継ぎをしてください。」
「はい、了解しました。」
と磯風が20体くらいスライム(青)を作り出す。
「ロロ、すみませんが、方々に散らせてください。
お前達も夕霧と初雪のスライムが居たら引継ぎよろしくね。」
ジーナがそう言うとスライムがくるくると右回りをしてロロが出て来た天井裏に入って行く。
「シャー。」
ロロも挨拶をして天井裏に帰って行き、天井の板も綺麗に元に戻していった。
「さて・・・報告は夜ですね。
荷物を出すのは後で良いから・・・さっさと挨拶して制服を取りに行きますかね。」
「ジーナ・・・あの蛇のおやつ買わないとね。」
パラスが指摘してくる。
「あ~・・・確か食べごたえのある穀物と言っていてご主人様から大豆が良いと言っていましたか。
大豆は第2皇子一家の特産品でしたね。
ん~・・・出発前にエイミー殿下にどの穀物問屋さんに行けば良いか聞いた方が良いかもしれません。」
「なら、行動あるべきね。」
「そうしましょうか。
磯風、出ますよ。」
「はい。」
パラスはジーナの肩に、磯風はバックに入るのだった。
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スミスの部屋。
「ん~・・・ベッドとか家具は明日から見に行くから問題ないとして。」
スミスが木箱を開封して服をクローゼットにかけている。
「主、勉強机は必要ですね。」
「そうだね~本棚も欲しいよね。
前にマリから言われたけど、ベッドは扉側の方が良いのかなぁ?」
「それも一考の価値ありです。
実際は主が使いやすいようにされるのが一番でしょう。」
「マリは何で扉側にベッドを提案したの?」
「防衛の為ですね。」
「扉側にあったらすぐに襲われそうだけど・・・」
「それは平気でしょう。敵の接近は我で感知出来ますからね。
入り口に物があった方が多数で入って来るのに時間がかかりますので対応しやすいかと。
あとベッドを立てれば入り口を封鎖出来ますので便利かと考えました。」
「なるほどね。
その考えだと入っていきなり本棚があっても良いんだね。」
「なるほど、こっちに本棚、裏にベッドも良いですな。
ですが些か本棚が倒れやすくなるかと。
その配置にするなら肩ぐらいまでの本棚を2列に配置して倒れ辛くさせなくてはいけませんね。」
「これはエイミー殿下の説明が終わってから部屋の配置をもう一度考えた方が良いね。」
「ええ、それがよろしいでしょう。」
と扉がノックされ許可を出すとジーナが入って来る。
「失礼します。
スミス様、外出をいたします。」
「はい、ジーナ、気を付けてね。
こっちはこっちで説明は受けておくから。」
「はい、出来るだけ早く戻って来ます。」
「うん、夕食までにお願いね。」
「はい、では。」
とジーナが扉を閉めて去って行くが、すぐに扉をノックされドネリーが「エルヴィス様、エイミー殿下が1階のフリースペースで説明をするとの事です。」と伝えにくるのだった。
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