第1314話 王都に到着。(エイミー・・・緊張し過ぎ。)
王都の城門にて。
手続きを終えたスミスが待機している兵士達と話している。
「ここで皆さんとはお別れですかね?」
「ええ、スミ・・・いえエルヴィス様。
短い間でしたが、一緒に旅が出来て嬉しく思います。」
「僕達の方こそ感謝を。
僕達が居なければもっと早くに着けたでしょうに。
迷惑をかけてすみません。」
「いえいえ、ゆっくりとした充実した旅でした。
エルヴィス様、寄宿舎生活を満喫してください。」
「はい、ありがとうございます。
皆さんも王都で活躍される話が聞けるのを楽しみに待ってます。」
「はい、我らは所属してた地域は違えど同じ魔王国に面した者達。
領民を守り、そして皆が生き残る方法を王都の方々に見せて行こうと思います。」
「はい。
エルヴィス家の者達はもう少しお願いします。」
「はい、寄宿舎まで護衛いたします。
と言っても私達も同じ場所に向かうので受付を遅らすだけなんですけどね。」
兵士が頷く。
「すみません。お待たせしました。」
ジーナが磯風を抱えて林の方から戻ってくる。
兵士達の認識では磯風はジーナのペットだった。
鳴きも暴れもせずジーナのバックから顔だけだしている大人しい魔物と思われており、ジーナが磯風を休憩毎に皆から少し離れてトイレをさせていると思われていた。
「構いませんよ。
ジーナ、ここからはエルヴィス家の者だけになります。」
「畏まりました。
2伯爵領の皆様、ここまでありがとうございました。
では、スミス様、出立しましょう。」
軽くお辞儀をしたジーナとスミスが馬車に乗込む。
すると馬車が動き出す。
「もうすぐ寄宿舎だね。
ジーナ、僕達が最初に決めなきゃいけないのはベッドかな?」
「ん~・・・まずは制服を取りにいかないといけませんね。
ベッドも今すぐでなくても・・・最大1週間くらいなら毛布と枕だけで生活出来ますよね。
むしろ机セットの方が必要ではないでしょうか。」
「ジーナも逞しいね。
ベッドはエイミー殿下の話ではないけど勢いで決めてはいけないかもね。
これは数日見て考えた方が良いか。
服は送ったよね。」
「最低限の物は・・・ですが、服は後日仕立てに行きましょう。
今日は部屋に持って来た荷物を置いて、エイミー殿下に挨拶して・・・王城に行きますか?」
「そうだね。
レイラお姉様・・・は、いつも居るだろうから挨拶しようか。」
「わかりました。」
ジーナが頷くのだった。
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エイミーは寄宿舎の玄関横にあるフリースペースでお付の女性と座っている。
だが、明らかにエイミーは焦がれていた。
「はぁ・・・エイミー殿下・・・」
「わかっているわよ・・・わかっているわ。」
そう言いながらもソワソワが収まらない。
「エイミー、そんなに緊張しなくても・・・スミスとジーナよ?」
アルが肩に乗りながら言う。
「そうなのよ・・・わかっているのよ・・・でもわからないのよ・・・
・・・はぁ・・・」
エイミーが懐中時計を見る。
「?・・・エイミーそろそろよ。
マリとパラスの気配がします。」
アルが玄関の方を見ながら言う。
「よし来た!」
エイミーが立ち上がり、軽く身だしなみを整えるのだった。
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寄宿舎の玄関前。
「着きましたね。」
「城門からあっという間だったね。」
ジーナとスミスが馬車から降りて来る。
御者台にいた者や護衛の者達がスミス達の荷物を降ろし始める。
「スミス、来たわね。」
玄関からエイミーとお付の女性が出て来る。
「エイミー殿下、お出迎え感謝します。
無事、着くことが出来ました。」
「うん・・・待ってたわ。」
「「・・・」」
2人が見つめ合う。
そっとジーナにエイミーのお付が近づいてくる。
「ジーナ様、お久しぶりでございます。」
「ドネリー様、お久しぶりでございます。」
「ジーナ様、私の事は名前でよろしいのですのに。」
「そういうわけには・・・で・・・あれはどうしたのですか?」
「エイミー殿下、昨日から寝てないようなのです。
頭が回っていないのではないですかね?」
「・・・エイミー殿下・・・ちなみにスミス様はぐっすりでした。」
「男の子ですね。」
「男女関係ないのではないでは・・・」
「で、護衛の方々はよろしいのですか?」
「そうでした。
失礼します。」
ジーナが傍を離れて護衛の方々に指示を出しに行く。
「んんっ。
スミス、この後はどうするの?」
「部屋に持って来た荷物を置いてからエイミー殿下に挨拶をと思っていたのですが・・・」
「そう・・・ならスミスにこれからの予定の話をしないといけないわね。
あとスミス以外の貴族と王家はもう来ているから挨拶に行きましょう。」
「わかりました。
ジーナにはしないのですか?」
「・・・王家の者と言えど他の者のお付には命令も指示もしないのよ。
お付は主人の物だからね。
命令も責任も主人がするものよ。」
「そうですか。
で、ジーナ。」
「はい、スミス様。」
ジーナがスミスの後ろに来る。
「何かある?」
「えーっと・・・すみません。
護衛の方々に指示を出していましたのでお二人の話を聞いていませんでした。」
「あ・・・そうか、そっちに挨拶は・・・行っちゃったのね?」
「皆さんがおっしゃっていましたが『寄宿舎楽しんで』だそうです。
あとエルヴィス家の馬車は第八兵舎に持って行くそうです。」
「そうなの?」
「はい、王城で元々決まっていたそうで、スミス様が受付をされている間にエルヴィス家の馬車は王都守備隊にて保管と伝えられたとの事らしいです。
あとで私が挨拶に行ってきます。」
「うん、ジーナならキタミザト家の者としても挨拶に行けるから大丈夫だね。
すまないけどよろしくね。
それとこの後の予定だけど僕はエイミー殿下に今後の予定を聞くことになったよ。」
「はい、わかりました。
では、その間に向こうに行ってきます。
あ、それと夕飯や朝食、湯浴み場の使用方法の事は聞いておいてください。」
「うん、そこは抜かりないよ。
挨拶はよろしくね。」
ジーナとスミスが次々と予定を決めて行く。
「2人とも手際が良いわね。」
エイミーが感心するのだった。
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