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第1311話 152日目 出立。(おあづけ。)

目覚めのティータイム。

「・・・」

武雄が静かにお茶を飲んでいる。

「うぅ・・・タケオ様、すみませんでした・・・

 機嫌直してください・・・」

対面のアリスが恐々話しかけてくるが武雄は返事をせず、見返すだけに止まる。

「うぅ・・・」

アリスが反省しまくっている。


昨日のアレから武雄はアリスには無言対応をしていた。

無視をするわけでなく、アリスが話しかければ頷いたりしているのだが、笑顔はなく淡々としていたのだった。

まぁその行為にアリスがビビっている次第です。


「タケオ、悪ふざけが過ぎたのは私達も謝りますからそろそろ話しませんか?」

パナが言ってくる。

「・・・はぁ・・・そうですね。

 いつまでもへそを曲げていて良いことではありませんね。

 それに今思えば、割りと余裕ある所で手を離しましたし、パナ以外の2人が『どう?怖かった?』とか言っていましたけど・・・これも意味があるのでしょうか。

 とりあえず、アリス、良いですか?関節技関係は冗談でして良い物ではないですからね?

 次はもっと穏便な物にしてください。

 もういきなり関節技をしないのであれば許します。」

「はい!悔い改めます!

 許してくれてありがとうございます!

 次は違うこと考えます!」

アリスが若干涙目で答える。

「アリス、失敗しちゃったね。」

チビコノハがアリスの肩に乗りながら言う。

「どうせ、コノハ(この口)が原因でしょうが。」

「らへほ!ごめふにゃさゃい!あーめーてー!」

武雄がチビコノハのほっぺを引っ張りながら言う。

「で?何で関節技になったんですか?

 寝技でも良かったでしょうに。」

武雄がパナに説明を求める。

「そもそもはアリスがタケオ対策として投げ技に対抗する方法をコノハに相談した事から始まりました。」

「ええ、それで?」

「立っている状態から寝技に移行する為にはタケオのように投げる事が基本的に必要ですが・・・なかなか綺麗に投げる(・・・・・・)という概念を想像できないのがこの世界の人々なのです。

 なのでタケオにバレずに練習出来、尚且つ模擬戦や襲撃時でも使える実用性があるものとなり、飛び十字と立ち関節をアリスはコノハから学んでいました。」

「・・・実用性は確かに寝技よりありますかね。

 ちなみにどこで練習を?」

「湯浴み場とタケオが湯浴みに行っている間の寝室やちょっとした時間ですが?」

「・・・続きを。」

「立ち関節についてはアリスは完璧に使います。

 もうほれぼれするぐらいに完璧に。

 ですが、飛び十字は練習段階では1回も出来なかったのです。

 出来たとしてぶら下がる程度だったので・・・脅かすだけだったはずなのですが・・・」

「昨日、初めて成功したと。」

「はい、それに最後までしない(・・・・・・・)事が私が手を出さない条件でした。」

「折れる事も伸ばす事もないとわかった上であの煽りですか・・・」

「それとないと思っているであろう関節技をかけられた際のタケオの対処を見てみたかったというのは私の個人的な願望です。」

「及第点でしたか?」

「ええ、上出来ではないでしょうか。

 欲を言えばアリスを押さえられたら良かったですね。」

「今回の襲撃の意図は?」

「タケオ、昨日のダニエラとの一戦です。

 いくらタケオが格下でもシールドの限界を教えたのは些かお付の精霊としては不安が残ります。

 あそこは余裕がある内に退かないといけない場面だったと思われます。

 事実向こうは8割も出していなかったのではないですか?

 タケオ、タケオは兵士ではありません。

 手の内を全て見せる事は避けなければなりません。

 私は気が緩んでいるのではと思いました。」

「ふむ・・・気が緩んで居たら妻の攻撃も対応が出来ないと?」

「はい、結果は杞憂でしたが。

 タケオ、気を常に張っているのは人間は出来ません。

 ですが、常に何があっても対応出来るように気持ちを切り替えられるよう心掛けてください。

 タケオもアリスもヴィクターとジーナのようになってはいけません。」

「はい、わかりました。

 ・・・と、アリスも?」

「コノハが結構仕掛けていますよ。

 おかげで立ち関節が上手くなりましたね。」

「アリスの襟付近は持たないようにしますか。」

「当分はそれが良いでしょう。」

パナが頷くのだった。

・・

酒場に皆が集まって朝食を取っている。

タマゴサンドやハムとトマトサンド等のサンドイッチとスープといった軽い朝食なのだが。

「・・・このタマゴサンドとは何なんだ・・・」

ヴァレーリが食べかけのタマゴサンドを見ながら呟く。

「本当・・・これ何なのかしら・・・

 ゆで卵というのはわかるんだけど・・・油の味もあるし、甘いし、でもちょっと酸っぱい・・・不思議ね。」

ブリアーニも不思議そうにを見ている。

「キ・・・キタミザト子爵様、このソースはなんなのでしょうか?」

カストが目を見開き武雄に聞いて来る。

「気に入りましたか?」

「この味は素晴らしいです!

 昨日のウスターソースも凄かったですが私としてはこのソースの方がもっと素晴らしいです。

 タマゴサンドはソースに和えていますが、ハムとトマトの方にも入れていますね。

 こちらのソースを教えて頂けませんか?」

「ん~・・・これ近日、私達の街で個数限定販売をするんですよ。

 2日で5個ずつ瓶詰で販売する予定です。」

「何ですと!

 それほど貴重な物を持って来たのですか・・・」

カストがワナワナと感動している。

「当分は少数での販売ですね。

 まぁ・・・欲しいならレシピはお譲りしても構いませんが。」

「「「何だって!?」」」

ヴァレーリ、ブリアーニ、カストが席を立つ。

「ははは、今すぐは難しいですが、私とエルヴィス伯爵家の了承があればいけますよ。たぶん。」

「レシピの価格はいかほどで!?」

「・・・いくらでも」

「んんっ!」

アリスが咳払いをさせる。

「「「ん?」」」

3人がアリスを見る。

「タケオ様、レシピの公表や情報料の話はお爺さまと打ち合わせしてからにしてください。」

「はぁ・・・わかりました。

 それにどっちにしろ街で流行れば向こうにも情報は行くと思うのですけどね。」

「それでも当分はないですね。

 それを作るのはエルヴィス家(実家)の料理人ですからね?

 守秘義務ばっちりです。」

「・・・という訳ですぐに教えられるかはわかりませんが、教えられそうなら・・・シモーナさん経由でお知らせするという事で。」

「確かにこれほどのソースのレシピはしっかりと守らないといけないでしょう。

わかりました、シモーナ殿からの連絡を待ちます。」

「ええ、お願いします。

 さて、朝食は終わりましたか。

 出立までのんびりとしてください。

 私達は外でお待ちしています。」

武雄達は席を立ち部屋を後にするのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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