第1307話 打ち上げ。(酒のツマミだな。)
酒場にて護衛達もいる個室でない方で皆で飲んでいた。
マイヤー達はここぞとばかりにフレッディ達ヴァレーリの護衛やブリアーニの護衛と酒を交わして談笑をしていた。
「ほぉ・・・魔王国の東とはそれほどまでなのですか。」
「ええ、貴国の方面では・・・こう言っては何ですが戦功が上げられないので。」
「まぁ・・・そうですね。
武官というのは本来戦場の方で武功を立てるものですしね。」
「はい、実際に東部への例えばカスト領の魔物の討伐の手伝いに行く際は結構武功も立てられるのです。
貴国ではどうやって武功を?」
「地方は貴族領なのでやり方がいろいろあると思いますが、中央では魔物の討伐でしょうか。
といっても高位の魔物は出て来ませんし、討伐の依頼も冒険者に出していますので武功と言うのはなかなか、討伐に参加する事はないですがね。」
「となると・・・アズパール王国ではどうやって昇進を?」
「御前競技会という・・・まぁ模擬戦での結果や訓練や勤務態度、たまにある魔物討伐時の指揮者としての評価でですかね?」
「ん~・・・アズパール王国は武官にとっては難しい所なのですね。」
「部隊単位での想定訓練での実地は多いですけどね。」
「それではアズパール王国の中央軍は実戦は少ないと。」
「そうですね。貴族領の騎士団や兵士の方が多いでしょう。
そういえば魔王国の中央の王軍はアズパール王国との戦争に来たという報告を見た事が無いのですが。」
「あぁ、そこは・・・まぁ・・・大きい声では言えませんが、『慣例の戦争』ですからね・・・
いつも通りならば地方領の貴族軍のみで対応というのが中央の考え方です。
その次の段階ですと、東側の領主が手伝いに行く事がある時もありますが、この時は魔法師が行く手はずになっているのですが・・・なにかしら意図はあるでしょうか。
本格侵攻の時は王軍も参加しますが、現魔王国陛下は他国と戦争は望んでおりませんので当分は西側に行く機会はないと思いますね。」
「では、当分は東側で武功を立てに行くのですね。」
「そうなります。」
マイヤーとフレッディが話をしているのだった。
「ん~・・・私の作ったのが人気だとは・・・2切しか手に入らなかった・・・」
「私もグラート殿のも兵士達に取られましたね。
上位の私達が作ったというのが珍しいのでしょう。」
ヴァレーリが難しい顔をさせて自分の皿を見て呟くのをブリアーニは宥めていた。
「気持ちはわかるが・・・料理としても珍しいかもしれないが・・・もっと食べたいなぁ。
それに私が作ったからというのは気にする事ではない気がするんだが・・・
お、キタミザト子爵殿が作ったリザードマンの焼き物は酒に合うな。
なるほど・・・焼きながらウスターソースを付けるとこうなるのか。」
ヴァレーリが感心している。
「増々欲しくなるわね。」
「そうだなぁ・・・作り始めたばかりだと言うし、まずは自領内と言うのもわかるんだが・・・」
「そうね~、欲しいよね~・・・距離かぁ・・・」
「・・・カールラ、次期王に頼めよ。
我は何も出来ないからな?」
「一刻も早く次期陛下に伝えたいわね。」
ブリアーニが笑顔で言うのだった。
「シモーナさん!レバントさん!
魔王国での最近の流行りは何ですか?」
「「流行り?」」
「ええ、この間我が国の王都にも行ったのですが、向こうでは各地からいろいろな物産を取り扱っているのです。
そこで目に留まり、皆の話題になれば流行るのです。
で、私達の今の強みは料理もありますが、シモーナさんを通じての輸入です!
何か輸入出来る物はありませんか?」
「私はその辺は・・・おばさん、どうですか?」
「王都での流行りですか・・・
そうですね・・・服とかは流行り廃りがありますね。
あとは料理も多少は流行りというのに影響はされますが・・・ん~・・・魔王国全体での流行りと呼べるまでの規模ではないですかね。」
レバントが考えながら言う。
「では、魔王国の王都ではどうでしょうか?」
「野菜ね。」
「野菜ですか。」
「ええ、今野菜が注目されています。
王都では各地から珍しい野菜を仕入れ、料理に出しているのをよく見かけますね。
とは言っても魔王国では肉があって、添え物としての野菜という区切りなので大々的には流行ってはいませんが。」
「それは人間種でも食べられる物でしょうか?」
「アリス殿、野菜が気になりますか?」
「はい、気になります。」
「でも、野菜は日持ちがしなくてですね。
輸出は出来ないですね。」
「ん~・・・そうですか。
野菜も干し肉みたいに乾燥出来たら良いのですけどね。」
「それは思いますね。
でも乾燥出来たからといって味が良いかは別物なのですよね。
肉だから乾燥させられるというのはあると思います。」
「魔王国で食べられる不思議な野菜・・・売れそうなんだけどなぁ。」
「アリス殿もキタミザト子爵様のように商売人ですね。」
「タケオ様と比べられると些か商売人の資質的に落ちますね。
でも珍しい物は売れるというのはタケオ様の横に居るとわかりますね。」
「私達にとってはウスターソースですね。
アリス殿、ウスターソースの生産力を高める方策は無いでしょうか?」
「んん~・・・専用の畑もこれから作っていますから追々としか言えませんね。
これだけ要望が強かったというのは農業関係の担当者には伝えておきます。」
「はい、今はそれで結構です。」
シモーナが頭を下げるのだった。
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