第1301話 さて・・・始めるとしよう。(玄米飯はじめます。)
「うおおおおおお!」
料理人は一心不乱にキャベツの千切りをしている。
「えい!えい!」
「うりゃ!うりゃ!」
アリスとエリカがジャガイモを潰しまくっていた。
「・・・」
武雄は1人マヨネーズを作っている。
見学している魔王国側の3人は何が作られるか見ながら厨房の片隅でお茶を飲んでいる。
「キタミザト子爵様はソースですかね。」
「卵使いましたよね。」
「あとレモンと油ね。
酸味の効いたドレッシングかしら?」
「あとはジャガイモを茹でて潰すのか。
簡単な料理ですね。」
「ジャガイモを酸味にする添え物なんて初めてです。」
「うんうん。」
3人は真面目に観察するのだった。
「ん~・・・」
「どうしたの?タケオ。」
コノハが聞いてくる。
「挽き肉入れたらコロッケだと思いましてね。」
「揚げ物に揚げ物?
野菜がキャベツだけになっちゃうわよ?」
「まぁそうなんですけど。
ボリュームを出した方が良いのではないかとふと思いましてね。」
「ん~・・・確かにトンカツだけでは足らないかなぁ?」
コノハがレバントをちらりと見て言ってくる。
「トカゲさんだと何が良いんでしょうか・・・
こういう時種族が違うと食生活がどうなのか困りますね。
悩むより聞いた方が良いのでしょうか。」
「そうね。
聞いてみようか。」
武雄とコノハが魔王国の3人に近寄るのだった。
・・
・
武雄とコノハはトンカツの準備をしていた。
「で・・・何でもOKとなりましたが・・・」
武雄が肉を叩きながら言う。
「参考にならなかったわね。
あ、でも意外と一番食い意地が張っているのがダニエラらしいわね。
グラートは小食とわかったぐらいか。」
「あぁ女性でシモーナさんの商隊の3番目の人ですね。
というよりシモーナさんとレバントさんから下の序列がダニエラさん、カールラさん、タローマティさんにグラートさん、フレッディさん、そして護衛。
女性が上位なんですね。」
「ん~・・・そうね。
まぁタローマティはちょっと異質だけど、たまたまじゃない?」
「そうですか。
あと数枚です・・・時間もそろそろですか。」
「薪の用意しておくわね。」
コノハが薪の確認をするのだった。
・・
・
「シモーナさん、魔王国にはこっちではいない魔物がたくさんいるんですよね?
アズパール王国で見かけない魔物とか普通に居るんですか?」
「ええ、いますが・・・でもどちらかと言えば東側なんですよ。
なので私もなかなか他種族に会わないのです。」
「そうなのですかぁ・・・
あの~・・・グラート殿がグリフォンと言われていましたが、獣状態になっていただけないでしょうかね。」
「あ~・・・私ではちょっとその辺は・・・ダニエラさんに聞いてみて欲しいです。」
「あ、わかりました。
後程聞いてみます。」
エリカがシモーナと話をしている。
「カールラさん、エルフって何を食べるのですか?」
「普通ですよ。
肉も魚もパンも・・・普通です。
伝統的に米を作っていますが・・・あまり食べられていないですね。
魔王国全体で見ても人間種と変わりないですよ。
ですよね?レバントさん。」
「ええ、私も普通に肉や野菜も食べますね。
変わりないと思いますが。」
「そうですかぁ・・・なら種族固有の何か特殊な食べ物とかはあるのですか?」
「そうだなぁ・・・あまり意識しないですよね。
強いて上げるならレバントさん達のイメージは肉ばかりのイメージがありますよね。」
「カールラさん達エルフは肉はダメのイメージですね。」
ブリアーニとレバントがお互いに「ないよね」と言っている。
「魔王国内でもそう言ったイメージなのですか?」
「「ええ。」」
「不思議ですね。」
「なんであんなイメージがあるのか不思議です。
アリス様、逆に人間種はどうなのですか?」
「私達ですか・・・ん~・・・種族としては何でも食べますよね。
あとは個人の好き嫌いですが、それも同じなのですよね?」
「ええ、私達もそこはそうですね。」
「ん~・・・あとは地域差ですからね。
魔王国だと突拍子もない物があると思ってました。」
「「ないない。」」
「そうなんですね。」
ブリアーニとレバントとアリスが話をしているのだった。
・・
・
「中火と弱火はこんな物でしょうか。
・・・やりますか。」
「やらねばならないわね。」
武雄とコノハが並々ならぬ決意でかまどの火を見ている。
「では、キタミザト子爵、最終確認よ!」
コノハが調理台に降り立ち武雄を指さす。
「はい!精霊殿!
現在、水に浸し4時間経過後に一旦水切りをし、シイタケと最初の米の量より1.5倍の出汁、塩を一つまみ入れた厚底の鍋を5個用意をいたしました!」
武雄が直立して言う。
「うむ。
今回は中火10分、弱火20分、蒸らしで10分と基本的な炊き方をするべきだと思うが?
意見はあるか?」
「ありません!
今後の為に基本的な炊き方をするのがベストであると私も思います!
作業方法として、まず中火と弱火の維持は先程確認した随時細めの木を入れる方法で実施しようと考えております。
また、5個連続という事なので中火から弱火に移行して15分後に新たに1つ始めようと思います。」
「うん、それで良い。
では、開始しよう。」
「はい!」
武雄がまず1つ目を中火にかけるのだった。
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