第1297話 仕分けするぞ。(ヴァレーリ達も束の間の買い物。)
酒場の店先では。
「さぁ!テキパキしよう!
ほらっ!手を動かす。」
「「「はいはーい。」」」
コノハの音頭でアリス達が仕分けしている。
「うんうん、あと47袋よ!」
「数言わないで~。」
「やる気をなくすので数を教えるのは拒否します。」
「・・・」
「あ~・・・タケオ様、どんな料理作ってくれるんでしょうか?」
「それだけが楽しみですよね。」
4人はワイワイ言いながらやっている。
酒場内では。
「「「・・・」」」
ブレア、オールストン、ベイノンの3人がこちらは黙々と交代しながら木臼を回している。
そしてベイノンが木臼から落ちてきた玄米と籾殻を集めて隣の袋に。
で、その横で袋から適当に取り出し。
「あ。」
「きゅ。」
「あ。」
「きゅ。」
ビエラが玄米と籾殻をボールに取り上に軽く中身を投げてクゥが風を横から当てて籾殻を飛ばしている。
それを数回すると先程とは違う袋に。
さらにその横では。
「「「・・・」」」
武雄とチビパナとミアが黙々と玄米と籾殻、ゴミを取り除いて隣の袋に入れている。
店内の床は籾殻が四散していたりするが、初雪が軽く掃除をしながら歩き、こっそりと吸収し回っている。
「お邪魔しまーす。」
ブリアーニとシモーナとレバントがやって来る。
「おぉぉ。やってる。」
「木臼なのですか・・・石臼ではないのですね。」
「あ・・・これ粉になってない。」
「・・・小麦とは違いますね。」
「この中身を・・・かぁ。」
3人とも籾摺りされた玄米と籾を手に取りマジマジと見ている。
「来ましたか。」
武雄が顔を上げてにこやかに出迎える。
「キタミザト子爵、これは粉には?」
「しませんね~。
この状態で料理に使いますよ。」
「ほぉ・・・んー・・・」
ブリアーニが木臼を見ている。
「気になりますか?」
「ええ、もしかしたら我が国の食料事情が変わりますので・・・
この木臼には隙間があるのですね。
これはこの粒を挽かない為ですか?」
「ええ、わかりますか。」
「粒より若干狭くして・・・いや、これは溝があるという事は半分くらいの隙間ですね。
んー・・・なるほどこうすれば皮だけを取れると、なるほど。」
ブリアーニが真面目に見ている。
「さらに木臼の隙間は中心に向かって傾斜がついています。
木臼を回転させていくと外に向かって米が動き排出されます。」
「ふむふむ・・・米は小麦より傾斜がありそうですが・・・若干なのでしょうね。
これは国に帰ってからの研究課題ですね。」
ブリアーニがメモを取りながら頷いている。
「で、こっちで殻と実を選別しているのですね。」
シモーナがビエラとクゥを見ている。
「美味しい物を食べたいなら仕事をしないといけませんからね。」
「まぁ・・・確かに。
あ、木臼を回させて頂けますか?」
ブリアーニが聞いて来る。
「え?構いませんが・・・よろしいのですか?」
「ええ、やってみたいです。」
「わかりました。
では木臼をお願いします。」
「はい。」
ブリアーニが木臼を回しているブレア達に近寄り回すのを変わる。
「あ!思ったより軽い。
そうかぁ・・・粉にするのと違って隙間がある分だけ軽いと・・・
これはなるほど・・・」
ブリアーニが頷きながら言う。
「・・・木臼かぁ・・・」
「シモーナさんやる?」
「ん~・・・今日頂く料理が美味しければうちの領内でも輸入して食してみようかと思いますが・・・
その際は木臼が必要ですよね。
作るかぁ・・・もしくはカールラさんに作って貰いますかね。」
「あ、それもありね。」
シモーナとレバントも興味深々なのだった。
・・
・
「よし!だいぶ溜ってきましたね。
私は調理しに行きます。
あとはよろしく。」
武雄が席を立つ。
「「はーい」」
パナとミアが武雄を見送る。
「タケオ、そろそろ・・・あ、やるのね。」
ちょうどコノハが飛んでくる。
「やりますか!」
「やるよー!」
武雄の肩にコノハが座り気合一新厨房に向かって行く。
「カールラさん!」
「はい!私達も行きましょう!」
「ワクワク!」
魔王国3人も厨房に入って行くのだった。
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ヴァレーリ達は。
「ほぉ・・・これは結構な年代が経っているな。
本数もまあまああるな。
フレッディ、どうだこれを今度の王軍の慰労会で出すか?」
ヴァレーリが赤ワインを見ながら言う。
「そうですねぇ・・・あ、割と高めですね。
ダニエラ殿、慰労会のワインの購入費が幹部持ちの伝統止めませんか?
結構、財布に打撃があるのですけど。」
「それは知らんぞ、あ!・・・それは知りません。
あれは前からの伝統という事で陛下も関知しておりませんし、今さら変えられないでしょう。
ですが、部下達に安ワインを出せるわけありませんよね?」
「一応、幹部達の面子があってですね。」
「高給取りなんですから兵士達に奢ってください。」
「・・・陛下達出席しませんよね?」
「当たり前です。
兵士達と飲んでしまうと委縮してしまう可能性がありますからね。
裏でこっそりと覗いて楽しんでいます。」
「はぁ・・・今年も自腹ですか・・・」
フレッディがガックリとする。
「ご愁傷様です、グラート殿は何かありましたか?」
「私達は飲みませんから・・・隣国のボナ殿達用ですね。」
「あぁ・・・あの飲んだくれか・・・
んんっ!安い酒もダメですが、あまり高くなくて良いでしょう。
こういった時は店主に聞くのが一番です。
そこそこの値段で人に贈っても無難な酒を選んで貰いましょう。」
「はい、わかりました。」
ヴァレーリ達も何だかんだと異国の酒屋を満喫するのだった。
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