第1296話 受け渡し後の雑談。(8手目、シモーナへ問い合わせ。)
「さてと・・・商品は受け渡しましたが、シモーナさん。
米ですが、追加の購入は出来るのですか?」
武雄が受け取った貨幣を終いながら言ってくる。
「はい?」
シモーナが動きを止める。
正確にはブリアーニも驚き顔で止まっている。
「ん?・・・あ~・・・いえ、今すぐ追加という訳でないですよ?」
武雄が周りを見て苦笑している。
「はぁ・・・たぶん出来るとは思いますが・・・
本気ですか?」
「今回の500㎏ですけどね。
まぁ食べてみてから向こうで協議はしますが・・・うん、もしかしたら追加になる可能性もあります。」
「・・・キタミザト子爵様・・・私も米という物は食べた事がないのですが、こちらのカールラ殿達生産をしている方々でさえ持て余しているような穀物なのですが・・・」
「らしいですね。
ま、だからこの値段なのですし、今後10年間・・・今年は終わりですからあと9年間はこの値段なのですけど・・・
シモーナさん、私達がこの穀物の価値を上げたからと言って値上げされますか?」
「・・・いえ、私も商売人です。
一度10年と言ったのです、カールラ殿ともそういう話になっています。」
「はい、ありがとうございます。
・・・うん、良いでしょう。
私達今日米を試作して食べるのですが、シモーナさん、食べてみたいでしょう?」
「ええ、そこまで美味しいという物なら食べてみたいですね。」
「わかりました。
私達が考えた米の調理法をお教えします。
アリス、エリカさん。」
「「はい。」」
アリスとエリカが席を立つ。
「当初の予定通りこれから袋の詰め替えをしてください。」
「はい、わかりました。
では、皆様、失礼します。」
「失礼します。」
アリスとエリカが出て行く。
「・・・キタミザト子爵様、詰め替えるとは?」
「あ~・・・ゴミの取り除きです。
石や草が入っていたら取り除いてから保管しようという事です。
他意はないですよ。」
「はぁ・・・」
「ブレアさん、ベイノンさん、大き目のシーツを2枚持って来てください・・・
えーっと・・・この部屋の前の場所を借りましょう。
そこで籾摺り・・・米の外皮を取りましょうか。」
「わかりました。
シーツを持ってきます。
皆様失礼いたします。」
ベイノンとブレアが席を立って退出して行く。
「と、いう訳で私達は夕飯に向け下準備をします。
シモーナさん達はご自由にどうぞ。
・・・あ!そうだ。
シモーナさん、ウォルトウィスキーを卸している業者からエルフの方から『シュワシュワな白ワイン』を手に入れて欲しいと依頼があったのです。」
「・・・炭酸ワインでしょうか?」
武雄の問いかけにシモーナが首を傾げる。
「さぁ?・・・飲み比べたいので探してくれませんか?」
「わかりました。
そちらも目途が立ったらお知らせします。」
「ええ、お願いします。
では・・・シモーナさん達は一度宿にご案内した方が良いでしょうか。
マイヤーさん。」
「はい、畏まりました。
宿にお連れ致します。
その後はご自由で結構です、夕食はこの場所でお出ししますのでお呼びいたしますが、町中に居てください。
といっても護衛の方々にお声をかければ問題ないとは思いますが。」
「はい、わかりました。
おばさん、ダニエラさん達も平気ですか?」
「「大丈夫。」」
シモーナが聞くと魔王国側の面々が返事をする。
「わかりました。
では、参りましょう。」
マイヤーが席を立ちその後を魔王国の面々がついて行く。
残ったのは武雄とビエラとクゥのみ。
「あ~・・・」
「一時はどうなるかと思いましたが、何とか上手く行きましたね。」
ビエラとミアが扉の方を見ながら呟く。
「・・・はぁ・・・とりあえず、伝える事はしましたから、後は米の評価だけですね。」
「あ?」
「きゅ?」
「主、米は美味しいのですか?」
チビッ子3人が聞いて来る。
「玄米ですからね・・・まぁお腹には溜まりますね。
味は・・・これからでしょうか。
まぁ食べてみて考えましょう。
ビエラもクゥもいっぱい食べて良いですからね。」
「「は~い。」」
「きゅ~。」
チビッ子3人が未知の料理に興味深々なのだった。
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シモーナ達の宿。
各自部屋に案内されていた。
皆で各々が自由行動となり夕食時になったらさっきの酒場に集合となっていた。
「はぁ・・・疲れたぁ・・・」
シモーナがベッドに横になる。
このまま寝ていたい気持ちになるが。
「・・・うぅ・・・米の調理法見ないとなぁ・・・
ウスターソースというのも食べさせてくれるらしいし・・・
顔と手を洗って気分をスッキリさせるかぁ。」
シモーナがもぞもぞとベッドから起きるのだった。
「・・・何でお前と同室なのだ?」
ヴァレーリが目の前のタローマティに毒づいていた。
「2人部屋ですし。
ブリアーニ殿を男性と同室とは出来ないでしょう。
シモーナ殿やレバント殿も同様。カスト伯爵やフレッディ殿は相部屋です。」
タローマティがしれっと言う。
「1人部屋が良い。」
「子供みたいな事を言いますね。
ダメです。」
「考慮もされんか・・・」
「主を1人部屋なんかにしたら夜な夜なフラッと出掛けて朝まで帰ってこない可能性がありますからね。」
「・・・旅の最中くらい良いじゃないか。」
「ダメです。」
「むぅ・・・今日は飲むからな?」
「飲む分には構いませんよ。
適度なら。」
「・・・」
ヴァレーリが明後日の方向を見ながら考えている。
「適度。」
「わかっておるわ!」
と扉がノックされタローマティが対応する。
「陛下、ブリアーニ殿です。」
「ん、通せ。」
とブリアーニが入って来る。
「ダニエラ、この後どうする?」
「カールラは米だろう?」
「ええ。」
「私は・・・酒屋だ!飲めない分は買って帰る!」
「了解♪
じゃあ夕食時にあの店でね。」
「おう。」
ヴァレーリはブリアーニを見送る。
「さて・・・酒屋に直行だな。」
「はぁ・・・大袋持ちましたか?」
「当然だろう。」
ヴァレーリが張り切って部屋を出て行くのだった。
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