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第1286話 150日目 寝る前に確認しておこう。

夕食も終わり武雄は一人ボーっとしながら宛てがわれた部屋の窓際で窓を開けてキセルを嗜んでいる。

アリスはエリカやチビッ子達と湯浴みに行き、初雪は屋根上で彩雲達と情報の共有中。

マイヤー達は自由行動をしていた。

軽く飲んでいるのだろうと武雄は考えている。

ヴィクターもそっちの組に入っている。


「はぁ・・・ん~・・・」

武雄はため息をついたり、軽く考えたりしている。


明日の会議、シモーナ相手なら普通に中卸同士の話し合いで終始出来るし、問題点があってもお互いに引き際があるだろうからその探り合いを軽くすれば良いだけだが、向こうは米の生産者とウォルトウィスキーの消費者を連れてくる。

これは極論を言えば農業団体と小売組合の幹部を連れてくるような物で、シモーナにとってはかなりやり辛い交渉になるはず。


「良くもまぁ客先を連れて来るものですね。」

武雄はついつい呟いてしまう。


交渉というのは千差万別、終始強気で来る者、弱気な者、押してから引く者、引いてから押して来る者・・・

上手い営業なら相手に会わせて臨機応変に対応するのだろうが・・・なかなかそうは上手くは行かない。

上手く対応できる人間は一握り、他は2手か3手くらい対応方法を持っているが、臨機応変という形ではなく場に合わせて(見繕って)いるだけなのが本当の所。

武雄的には自分は優秀な営業マンではないと思っている。

そもそも交渉時間が早いのは、余計な議題(・・・・・)が出されて判断出来ない可能性を排除する為、自分が想定した議題のみで終わらせる為なのだ。

それに即決をしている風に見せているが、実際は事前に線引きをしっかりとして、許容できるかの判断からであり、線引きする為に必要な最低限の情報を頭に入れて打ち合わせに臨んでいるだけだった。


「ヴィクターの話ではシモーナさんはやり手の商売人でしたか・・・

 となると今後の取引の為に多くを売り込み、多くを受注できる所を私達に見せたいという所ですかね。

 米は10年間の輸入は決まっているとして、その後の追加が餌になりそうですけど。

 食べて見ないとなぁ。

 ウォルトウィスキーは・・・とりあえずの要請はクリアしたと考えられるけど、3年後の増産終了後の出荷量については流石に今は明言出来ないですかね。

 ウスターソースもお披露目するけど出荷は先だし、月2樽とかだろうなぁ。

 ・・・はぁ・・・やはりヴィクターと話した内容以上の手札はないかぁ。」

武雄がガックリとうな垂れる。

と扉がノックされ武雄が返事をするとアリスとチビッ子達が入って来る。

「タケオ様、戻りました。」

「あ~♪」

「きゅ。」

「ふぃ~・・・お茶飲まないといけませんね。」

「はい、皆さんおかえりなさい。」

武雄が返事をする。

「タケオ様、考えがまとまりましたか?」

アリスが武雄の隣に座って聞いて来る。

「こちらから出せる手が少ないのはわかりましたね。

 アリス、髪を乾かしますね。」

「は~い。」

武雄が立ち、アリスの髪を乾かし始める。

「手が少ないのですか?」

「ええ、今回来る魔王国側の高官達にシモーナさんがやり手の商売人であるというのを見せつければ、今後、米だけでなくいろいろと品物が来る可能性があるのですよね。

 なのでシモーナさんに優秀な交渉人だという成果を出させてあげたいんですが、ウォルトウィスキーは決まった量しかないですし、ウスターソースは販売しても毎月2樽程度です。」

「ウスターソースは領内がまず最初ですからね。」

アリスがため息をつく。

「どういう流れで交渉が動くのか・・・覚悟はしておかないといけないかもしれません。」

「ですね。」

武雄の言葉にアリスも頷くのだった。


------------------------

酒場にて。

「部屋までの案内はベイノンとブレアだな。

 幌馬車の見張りはアーリスか。

 オールストンは会議室内で待機と。」

マイヤーがメモ書きを見ながら言う。

「マイヤー殿はヴィクター殿と所長と一緒に街道から町に入る分岐点から少し離れた所で確認業務ですね。

 見送った後、ここに来ると。」

「そうなるが・・・軽く下見はしたが、ここまでだと少し時間がかかるな。」

「アリス殿とエリカ殿とカサンドラ殿に場を繋いでいただくしかないですね。」

「そうだなぁ・・・まぁ鮮紅殿の逸話は向こうでもある程度知られているだろうからな。

 そこに食いついて貰えれば良いのだが・・・」

「あとヴィクター殿が参加するかは確認してからでしたね。」

「あぁそうなる。

 宿の手配は文官方から貰っていたな。」

「はい、私達とは違う所ですね。

 部屋の確認も実施済みです。」

「あとは・・・ヴィクター殿、何かありますか?」

「馬を繋ぐところですが少々狭い気がします。

 先の連絡では主要な人員数しか書いてありませんでしたが、執事や侍女の護衛用の馬の繋ぐ所が・・・」

「ん~・・・隣に借りますか?」

「それも手だな、一応朝一で確認しておこう。」

「わかりました。」

ベイノンが頷く。

「奥の部屋は主要な人員が入りますが、護衛用の方々の待機する場所は今居るここですね。」

「お茶を出す事になっています。」

「なにかつまめる物を用意した方が良さそうですね。

 これは店長にお願いする事にします。」

アーリスが頷く。

「えーっと・・・他はありますか?」

試験小隊の面々とヴィクターはその後も打ち合わせをするのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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