第1285話 ヴァレーリ、エルヴィス領の東町の東の村にて。(ヴァレーリのレザー・アーマーの素材提供主は?)
東町の東の村。
「着いたのだが・・・日が高いな。」
「そうですね。」
ヴァレーリとタローマティが空を見上げて感想を述べていた。
「ダニエラさん、タローマティさん。
宿は大き目のがあるそうなのでそこをお借りしました。
夕食も出して頂けるのでそれまで自由行動となります。」
シモーナが近寄って来てヴァレーリとタローマティに説明する。
「わかりました。
ちなみに部屋はどちらに?」
「はい、一度部屋を見た方が良いですね。
皆で見に行きましょうか。」
「ええ、お願いします。」
シモーナに連れられて部屋の確認を先に始めるのだった。
・・
・
「ふむ・・・村だな。」
「村ですね。」
「のどかですね。」
「獣の気配がしませんね。」
ヴァレーリとタローマティ、ブリアーニとカストが一緒になって村内を散策している。
シモーナとレバントは部屋で昼寝するとの事。
フレッディ達ヴァレーリの護衛とブリアーニの護衛達は村の周辺の散策に出かけていた。
「ふむ・・・村の中に何か面白い物はないものか・・・ないでしょうか」
「ダニエラ、もう止めたら?
ダニエラ自身も辛いでしょう?」
「・・・おば様とシモーナさんにはこれで通しているので・・・」
「いや・・・前から結構地が出てるわよ?」
「・・・本当に?」
「ええ、私が居るのは最近だけど、結構砕けて話している瞬間があるわ。」
「タローマティ。」
「ええ、必死に頑張っていたので言いませんでした。
その苦悩良いですね。」
「ほぉ。」
ヴァレーリが少し凄む。
「んんっ!!ダニエラ殿・・・ここは魔王国ではありません。
殺気が漏れています。」
カストが焦りながら言ってくる。
「・・・これは失敬。
まぁ良いです。今回は貫き通します。」
「ダニエラ、大丈夫?」
「平気、問題ないです。
さてと・・・タローマティにイラついても無駄に時間が過ぎてしまいます。
何をしましょうか・・・」
ヴァレーリが辺りを見回す。
回りは普通に獣人達が居た。
ヴィクターやジーナのような人間から狼に変身する型の獣人ではなく、ケモ耳と尻尾がある獣人だ。
ここはアズパール王国内でも魔王国側の村、つまりは獣人達の村だった。
「・・・ん~・・・何かある訳ではなさそうです。」
「それにしては剣やら防具を纏った者がちらほらと居ますね。」
「敵意や忌諱の視線は感じないです・・・となると冒険者でしょう。」
「冒険者・・・へぇあれが・・・私の国ではあまり居ませんから・・・」
「引きこもりの閉塞社会。」
「自給自足がなりたっているので他に行く必要がないだけですし、うちの国には差し当たって珍しい物がないだけです。
・・・それにしても装備が貧相ですね。」
「冒険者はああいう物でしょう。
フルプレートなんて着ていても普段は動きづらいだけです。
私だって城に入る前は基本的に剣とレザー・アーマーのみで旅をしていました。
フルプレートは相手が強靭な時だけですね。」
「・・・ダニエラだとただの皮ではなさそうね。
今は何の皮のレザー・アーマーを持っているの?」
「仲良くなったホワイトドラゴンの皮を貰って作りましたね。
軽くて頑丈そうです。
まぁ言っても一部分だけドラゴンの皮ですが、他はリザードドラゴンの皮です。」
「・・・下手なフルプレートよりも防御力ありそうね・・・
ところでドラゴンが皮を?
なかなか皮は手に入らないと思うんだけど・・・」
「魔王国内の住み処に居ない奴・・・方でしたからね。
ちょっと戯れたのですが、その時着ていたフルプレートがボロボロになってしまったので少し頂きました。」
「どうやって貰ったのですか?」
「酒盛りをしていて泥酔してから剥ぎましたが?」
「・・・暴れそうね。」
「ちゃんと事前と事後で了承は取っています。
傷痕はちょっと残ったかな?」
「ケアをかけてあげなかったの?」
「私、ケア使えませんから。
ポーションで回復させたので問題ないでしょう。」
「ポーションだって安くはないのに・・・」
「いや~・・・酒が抜けてからですから若干・・・ね。
それに体躯が大きいので効きが薄めでした。」
「そぉ・・・で、ドラゴンの皮を誰が加工したの?
普通の工房では上手く出来ないと思うのですけど。」
「王城でです。」
ヴァレーリが答える。
「・・・ん?どう言う事?」
「いえ・・・普通のレザー・アーマーは持っていたので普通に旅はしていましたが、いざという時のフルプレートが無くなったので丁度応募していた王城の御前試合に出たんです。
勝てば何でもくれると言うので。
噂では魔法がかかったフルプレートもあると聞いていました。」
「ねぇ・・・それって・・・もしかして。」
「まさか副賞に国王の後任があるとはね。
銀聖は貰えたので良いのですけど・・・」
「はぁ・・・という事は王城でドラゴンの皮の加工をして貰ったのね?」
「ええ、職権乱用して最高級の皮を惜しみなく使ってみました。
もちろん経費で!」
「いや・・・良いの?」
「実際の所、銀聖でも良かったのですが、通常の戦闘ではやはりレザー・アーマーの方が使い勝手が良いのですよ。
なので陛下として相応しいレザー・アーマーをと考えて提案したら通りました。」
「とんでもない物を作ったものね。」
「皆そんなものですよ。
ここ一番の時はフルプレートですけど、それ以外の戦場では質の良いレザー・アーマーを装備するというのが普通でしょう。
王軍の幹部達は基本、2つ持っていますね。」
「そうなのね・・・まぁ私はフルプレートは着ないから質の良いレザー・アーマーしか着ないけど。
王軍や領主達はフルプレートのイメージなのよ。」
「他国や見栄えを気にする時もフルプレートですね。
あれの方が豪勢でしょう?」
「そうね。
それにしてもドラゴンの皮のレザー・アーマーかぁ・・・私も欲しいわ。」
「ドラゴンと知り合いになれば皮を頂けるのではないですか?」
「皮を剥いでも怒らない凄く穏和なドラゴンを見つけないといけないわね。」
ブリアーニが呆れるのだった。
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