第1283話 揚げ物と米。(街の方で普及をさせたいね。)
「おぉ、小魚の揚げ物も美味しいですね。
骨は思ったほど気になりません。」
「本当、臭みも余り気にならないし。
魚の揚げ物と聞いていたからもっとジメッとするかと思ったけど揚げたてだからでしょうか。
割とサクサクですね。」
「これはなかなかですね。」
アリスとエリカ、カサンドラが小魚にウスターソースを少しかけて食べている横で。
「あ~♪」
「きゅ♪」
「・・・2人とも魚よりタルタルソースの方が多いですよ?
それにそこにウスターソースをかけて『ダブルソース♪』ってなんですか。
いったい何をやっているんですか。」
ミアが満面の笑顔でタルタルソースとウスターソースをかけるのを呆れながら見ている。
「あ!」
「きゅ!」
「『味が濃くなると美味い!』とか言わない!
どこの親父ですか。」
「あ~♪」
「きゅ~♪」
ビエラとクゥが明後日の方を指さす。
「いや、伯爵様がやっていても貴女達とは違うでしょう。
2人ともそんなに濃い味好きでしたか?」
「あ~♪」
ビエラがウンウン頷くとクゥも同意したのか頷いている。
「『マヨネーズにウスターソースは最高♪』じゃないですよ。
濃すぎでしょう。」
「あ♪」
「きゅ♪」
「2人から『お子様ね♪』とか言われるいわれはありません。
私は軽く塩をかけてレモンを絞ってから食べるのが良いと思っています。
はい、ビエラ絞ってください。」
「あ。」
ビエラがレモンを取りミアの分の揚げ物の上で片手で握りつぶす。
結果、ミアの小魚の揚げ物は絞り汁でびちゃびちゃになりました。
「・・・ビエラ・・・加減を知りましょう。
・・・かけすぎです。」
「あ~・・・」
ビエラが「確かに・・・すまなかった」と謝る。
「まぁこれでも良いですけどね。
中和させるのに少しタルタルソースをかけますか。」
ミアがタルタルソースを取りに行くのだった。
「これはこれで酒のツマミにはなりますね。」
「昼間でなければなぁ~・・・」
「鮮度的にこの町のみでしか食べれないんですよね。」
「生魚を輸送するのは難しいからなぁ。」
試験小隊の4人にも好評なようだ。
「所長、おやつにしては本格的ですね。」
マイヤーが武雄に言う。
「おやつという感覚ではないですが・・・まぁ軽く作っただけですけどね。
それにしてもなかなか干物以外では魚を食べれないのは残念ですよね。」
「主、これを街に持って行く方法はありますか?」
「幌馬車の荷台に水が漏れないような容器を設置して生きたまま輸送する方法かあとは凍らせる方法はありますかね。」
「幌馬車で2日の距離・・・・ん~・・・1匹当たりの値段が高そうですね。」
「そうですね。
この町で食べる時と比べれば運送費が追加ですからね。
これみたいに雑魚なら単価も安いみたいなので費用は抑えられるかもしれませんが・・・街の方にここまで生魚を扱える酒場やレストランがあるのでしょうかね。」
「干物を戻してからなので・・・多少は困惑してもすぐに対応出来ると思います。
まぁ肉料理と魚料理、どちらが人気かといえば肉なのですけども。
ですが、選べる料理が増えるという点は評価できるのではないでしょうか。」
「私も選べる料理が増える事を望んでいるからこそ紅魚の養殖事業なのですが・・・
それにベアリングや幌馬車の改造が上手く行けば1日で行き来出来るようになるかもしれませんよ。」
「朝東町を出て夕方街にですか。
魚の単価は下がりそうですね。」
「余った紅魚は上手く干物にして出荷ですね。」
「あとは魚料理をどう増やすかですか・・・
主は何か考えているのですか?」
「・・・いや、特には考えていませんよ。
養殖事業はおいそれと結果は出ないでしょう。
数年から十数年の期間を考えながらする事業です。
なのでその時に考えれば良いとしか思っていませんよ。
今は米です。」
「そちらはすぐにでも料理に出来るからですね。」
「ええ、輸入量500㎏、料理用に300㎏ですが、今年上手く作付け出来れば輸入米から作付けに回す量は減らせるでしょうね。」
「・・・ベルテ一家の今年作付けが上手く行った場合、残りの9年間以降は料理に500㎏使う事になります。
大丈夫でしょうか。」
ヴィクターが捌けるのか不安そうな顔をさせる。
「大丈夫ですよ。」
武雄が即答する。
「・・・はい。」
「平気、平気。
カレーもあるし、チャーハンだって丼物だって使い方はいろいろあります。
味が多少悪くてもパエリアのように味を誤魔化せば何とかなるでしょう。
それに500㎏なんてやり方によって喫茶店だけで1か月で消費できますよ。」
「それほどですか。」
「ええ、だから安心しなさい。
たかが500㎏程度に臆する事はありません。
喫茶店で出せるようになれば採算も取れるでしょう。
ですが、むしろ今は・・・精米の仕方なんですよね・・・
はぁ・・・コノハからやり方聞きましたが・・・出来るのは循環方式でしょうか・・・
これが出来ないと美味しい料理には行きつきません。
木臼と同じ機構を使って回転数を増やせるようにすればたぶん行けるはず・・・
・・・もうこうなったら鈴音とステノ技研を総動員させて開発させますか。」
武雄の顔が陰りながらボソッと呟くのだった。
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