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第1280話 そう簡単には流行らせられない。(どういう交渉をするのか。)

東町局長と主だった者達と酒場の店主との話。


「出来そうでしょうか。」

東町局長が酒場の店主に聞いていた。

「川魚の練り物・・・これは面白そうですね。

 つみれはスープに入れるのが良さそうですね。

 このちくわというのも工夫のし甲斐がありそうです。

 ですが、このレシピの数々を作るとなると少し多めに集取しないといけないでしょう。

 町の住民に合う味も考えないといけないですね。

 それにこのレシピは基本という感じなのでキタミザト様も言っている味の試作も多くしないといけないですね。」

「なるほど、なるほど。

 ならばこちらも漁獲量をしっかりと管理しないといけないわけですね。」

「はい、ですが、この調理方法が上手く行ったとしても人々に出すのに今のままの量で良いのか。

 増やす方法がないかを検討しないといけないでしょう。」

「漁獲量を増やす・・・ふーむ、増やすだけなら問題はないでしょうけど、根本は生息数を増やすという事ですよね。」

東町局長が考えながら言う。

頭の片隅には「紅魚の養殖事業」という似たような事業の項目が浮かんでいた。

「・・・簡単に言えば新たに消費する分だけ増やすという事・・・」

「そうなりますね。

 今は焼き魚用で買っていますからね。

 これをこのレシピの通りに作って味も調節して・・・すり身が町で人気になった際の増加分を毎日もしくは毎週定数を卸せるのか。

 これが一番の問題です。」

「今は試作をお願いします。

 大々的に皆にお披露目するかは少し考えないといけないですね。」

「わかりました。

 少しずつ作っていきます。

 試食はいつまでにされますか?」

「あ~・・・再来週末にしましょう。

 それまでに何個か試作できていれば良いのですが。」

「わかりました。

 それまでにこのレシピで言うちくわ、つみれ、さつま揚げのレシピ通りの物と私の方で味を調節した物を数点用意いたします。」

「はい、お願いします。

 それと今日の午後のキタミザト様達との打ち合わせと明日の昼過ぎの会談の場所は。」

「奥の個室を用意しますので問題ありません。

 厨房もご使用ください。」

「よろしくお願いします。」

東町局長は席を立つのだった。


------------------------

マイヤー達も武雄達に合流し、会議室でのんびりとしていた。

「んー・・・ヴィクター・・・こっちから出せるウォルトウィスキーの量は現状の252本で行くしかないんですよね。」

「そうなりますね。

 いくら買いたいと言ってもここで向こうの要求を飲むのは少し早い気がいたします。

 売り先として要求があるのであれば応えたいというのもわかりますが。」

「・・・そうですよね。

 それにまだこっちも領内の分で手一杯ですからね。

 あと2年、3年後の1回目の増産体制完了後にいくら出せるかですけど・・・領外には1800本と今は決めていますが分配は決めていませんね。」

「はい、今の状況で向こうに3年後の輸出量の確約は難しいかと思います。

 特に魔王国では国王が変わろうとしています。

 次期国王がヴァレーリ陛下のように酒好きならば王城での消費量も増え、さらに他領への分配でかなりの量を出せるかもしれませんが、酒嫌いとなると現状のままで良いかもしれません。」

「ふむ・・・なるほどね。

 となるとウォルトウィスキーを交渉には使い辛いとなりますか。」

「はい、あとはウスターソースですが、こちらはまだまだです。

 輸出に関しては他国よりもまずはゴドウィン伯爵領、テンプル伯爵領、ウィリアム殿下領を優先的にしないといけないかと。

 他国へは数十樽が精々となるかと思います。」

「ん~・・・今回食べさせたいですね。」

「となると・・・シモーナの所で新たに流行らせるという事は出来るかと思います。」

「他国全域ではなくて・・・ですね?」

「はい、例えば変な話ではあるとは思いますが、ファロン子爵領で美味しい物が出されるという形にして、他領からの旅人や要人を招くという事が出来れば、優位が保てるかと思います。

 今の当主のやり方によるでしょうが・・・」

「なるほどね。

 局地的に出させて結果、全域から認識させる。

 上手い手ですね。

 ですが、シモーナさんの政治力によりますね。」

「あいつはその辺は上手いですよ。」

「名うての商売人ならこちらが出せる個数を知ればやり方は思いつくでしょうね。

 うん、シモーナさんを使いましょう。」

「はい、それがよろしいかと。」

武雄とヴィクターが頷くのだった。


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武雄達の横で。

「ん~・・・防御が弱いですか?」

アリスがマイヤー達と話をしていた。

「はい、堀がありましたが、壁も低めですし・・・魔王国との最前線の町としては弱いかと。」

「あ~・・・あまり堀は作られないんですよ。

 この町くらいしか私達の所ではしていないですね。」

「あれは魔王国相手用ではないのですか?」

「深さ1mで幅2、3m程度の堀は用意していますが、この周辺の魔物への対策ですね。

 本格的な魔物の進攻にはあまり役にも立たないと考えています。

 日常の防御用でしかありません。」

「資金面ですか?」

「それもあります。

 その分の資金は関の強化に使っているはずです。」

「ん~・・・関のみですか。」

「現状で潤沢な資金はありませんので・・・まずは関の強化です。

 それにタケオ様や初雪達のおかげで少しずつ他の対応もしていますけどね。」

アリスが苦笑する。

「んー・・・その辺の話は所長からされていませんね。

 今度聞こうかと思います。」

「はい、お願いします。

 マイヤー殿達の意見も聞いて色々と対策をさせないといけませんからね。」

アリスが頷くのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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