第1275話 目的地に移動して。(部屋は用意されています。)
アンダーセンの部屋。
「では、アンダーセン殿、私達はこれで。」
「ああ、持って来た物も運んでくれてすまなかったな。」
「いえ、問題はありません。
明日は昼頃に裏城門の試験小隊の訓練場でお待ちしています。
では。」
「よし!次は2人の独身部屋だね。
アニータ、ミルコ行くよー。」
「「はーい。」」
アーキン達が去って行く。
「・・・引っ越しが終わったな。
部屋はどうだい?」
玄関でアーキン達を見送ったアンダーセンがリビングに入りそこに居る妻のデリアと娘に声をかける。
「ドム!どれも家具が新品なんですけど!」
「お父さん!部屋のベッドふかふかだよ!」
「そうか。
良い物件に当たったようだな。
で、これが置いて行った書類ということか。
まずはこの部屋の契約と注意事項、制服の割引書・・・これは何だろうか?・・・まぁ明日聞くから良いか。
こっちがこの周辺の地図になると。」
「そうね。
とりあえず地図を見ながら夕食が取れる場所に行ってみる?
家具とかは明日見れば良いし。」
「ああ、そうだ・・・と、待てよ、今日の湯浴みの薪を確認しておくか。
足らないなら買わないといけないし。」
「あ、そうね。
ならついでに毛布とかも見に行きたいな。
こっちは王都より若干気温低いらしいからね。」
「なら雑貨屋だな。
えーっと・・・地図にお勧めの店と書いてあるな。
ここで夕食を取ってから雑貨屋だな。」
「うん、そうしよう。」
デリアが頷くのだった。
・・
・
「「ここが独身寮?」」
パメラとケイが建物を見上げて呟く。普通の家だった。
「2人共、魔法師専門学院の寮や兵舎を考えてた?
残念、私達は下宿です。
大家さんが1階に住んでいて朝食は作ってくれているわ。
それ以外は掃除も洗濯も自分でする、これが独身寮の規則ね。」
「朝食は出るのですか?」
「毎日ご用意してくれるんだけど・・・結構、朝から量が出るかな?
毎月の寮費は銀貨8枚で自分の給料から払う事になるから。
まぁ、その辺はこの後、夕食時に話そうかな。」
「それじゃあ、2人とも大家さんに挨拶して部屋の確認だな。
ブルック、後は任せた。
俺とミルコは馬車を処理してくる。」
アーキンとミルコが馬車を走らせて行ってしまう。
「さてと。 アニータ。」
「はい、大家さん達に面会をお願いしてきます。」
アニータが先に玄関を入って行く。
「覚悟は良いかな?
アーキン達が戻って来る30分間に挨拶と部屋の確認を済ませましょう。」
「「はい!」」
パメラとケイが緊張しながら返事をするのだった。
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武雄達一行はというと。
「・・・着いた・・・んだよな?」
ベイノンが町の入り口で呟く。
「はい、着いたと。
ブレア、馬を頼む。」
マイヤーが馬を降りると幌馬車に近づく。
「皆様、着きました。」
荷台に居る人達に声をかける。
「着いちゃいましたか。
時間は・・・20時40分・・・早いですね。」
武雄が時計を見て頷き、降りて来る。
「早すぎですね。
これもケアを皆にかけ続けた所長のおかげでしょう。
まぁケアの後遺症で馬がこの後動くか心配ではありますが。」
「まぁケアが一役買ったというのは喜ばしいですが、夜間行軍を実施している人達が操ってくれたというのも大きいでしょうね。
皆さん、お疲れ様です。」
「ははは、前のに比べたら楽でした。」
「あぁ、あの時は4日間朝晩休みなくだったし・・・尋常ではなかったな。」
「確かに、積み荷の心配はしたが、まぁ楽な部類ですね。」
「予定より早いという事は道が思ったほど悪くなかったという事ですね。」
皆が馬を降りて笑い合っている。
「マイヤーさん、試験小隊の人員は良い人が揃っているみたいですね。
こういった事を笑顔で終われるのは優秀な証拠でしょうね。」
「所長、この面子ならこの程度は当たり前です。
ですが、これからもこういった者を採用しないといけないでしょう。」
「アンダーセンさんとマイヤーさんに任せます。
と・・・さて、東町は初めてなんですよね。」
と武雄がキョロキョロと周りを見ている。
「タケオ様、この後はどうしますか?」
アリスやエリカ達も荷台から降りて来る。
「とりあえず宿を探したいのですけど・・・」
武雄がキョロキョロして人を見ているようだ。
「?」
アリスが首を傾げている。
と男性が数名やって来る。
「キタミザト様!アリス様!
御無事のご到着何よりです!」
男性が武雄とアリスに頭を下げながら話している。
「こんばんは、すみません。
予想以上に早く着きました。」
「大丈夫ですよ。
ですが、いきなり来てすみません。」
武雄とアリスが頭を下げる。
「いえ!フレデリック様から予定では21時30分頃だろうと言われていましたので、今お茶の用意をしていました。
遅れてすみません。」
「いえいえ、とりあえず宿が空いていれば良いのですが、どのような状況でしょうか。」
「はい、今朝方、伝令が到着して準備しています。
まずは宿に移動をしますか?」
「はい、先導をお願いします。
マイヤーさん、ヴィクター、移動です。」
「「はい」」
2人が返事をし、皆で移動するのだった。
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