第1266話 手配をしに行こう。(準備する面々。)
試験小隊の訓練場。
「ヴィクター殿、わかりました。
準備しましょう。」
マイヤーが頷いている。
「よろしくお願いします。」
ヴィクターが礼をする。
「良し、ブルック、幌馬車の売り先はわかるか?」
「ローチ工房です。
あそこがこの街で幌馬車の整備や売り買いをしてくれていると文官の方に教えて貰い、そこに持って行きました。」
「ローチ工房?」
ヴィクターが首を傾げている。
「ん?ヴィクター殿、どうしましたか?」
「いえ、主が今日の朝そこで社長さんと打ち合わせしていましたが・・・」
「あ~・・・あそこ研究所の身内になったんですね。」
ブルックが何とも言えない顔をさせている。
「ブルック1台買い戻してこい。
所長の名を出して東町までと言えば整備もしてくれるだろう。」
「了解~。
アニータ、ミルコも一緒に行ってついでに点検箇所の勉強もするわよ。」
「「はい!」」
ブルックの言葉にアニータとミルコが返事をする。
「アーリス、アーキンと一緒に馬の手配をしろ。
所長とアリス殿、エリカ殿とカサンドラ殿は最初は馬だろう。
ヴィクター殿と交代しながら御者をするから・・・6頭ぐらいか
他にも幌馬車用の馬も用立てておけ。」
「了解です。」
「わかりました。」
2人が頷く。
「ブレア、オールストン。
夜間行軍用の備品の手配をしておけ、隣町までだからと言って手を抜くな。
場所は・・・エルヴィス邸の正面玄関前に置かせて貰え。」
「はい!」
「雑貨屋巡りですか、2時間もあれば終わりますね。」
2人が買う物を考え始める。
「ベイノン、総監部に行って道順の確認をしてこい。」
「はい、了解です。」
「ふむ・・・こんな物か。
ヴィクター殿は?」
「幌馬車をロー様の酒屋に持って行く予定でしたが、その部分はブルック様にお任せします。
私はベイノン様と一緒に総監部に行って道順の確認をしてきます。」
「わかりました。
ベイノン、一緒に行け。」
「はい。」
「ちなみにマイヤー殿は?」
ブルックが聞いて来る。
「総監部の部屋だな。
この街から向こうまでの行程書作りと荷台に乗せた物リスト作りだよ。
あと向こうでの書くだろう即興の報告書の雛型作成だ。」
「「よろしくお願いします!」」
皆が面倒な書類作成をマイヤーがすると聞いて軽く礼をするのだった。
------------------------
アリスとエリカ、カサンドラは街中に買い出しに来ていた。
「えーっと・・・料理長に言われた干し肉は買ったよね。
行きのスイーツは作って貰っているし・・・エリカさん、夜の移動はしたことありますか?」
「街外では手習い程度ですね。
4、5回が精々です。
アリス殿は?」
「私は戦には行かないですし、練習もした事はないですね。
移動は日中で夜は寝るのが一般的です。」
「まぁ、そうですよね。
女子は尚更、城壁外に行きませんよね。
試験小隊の5名が付きますから夜間行軍の練習は出来ているでしょうね。」
「どうやるんですか?」
「カトランダ帝国だと先導の一団が松明等で街道を照らしていましたね、たぶん大きくは変わらないかと思います。
日中よりかは速度は落としますが、結構、前進しますよ。
まぁ、東町までなら街道もしっかりしているでしょうから、気を付けるのは突発的な窪みとか魔物の襲撃ですが、ビエラ殿が居れば魔物は近寄っては来ないでしょう。」
「・・・となると、気を付けるのは窪みとかの街道の不整備箇所ですね。」
アリスが考えながら言ってくる。
「昨日の資料は農業関係でしたね。
街道関係も見ておけば良かったかもしれません。」
「年間予算決まっているらしいですよ。
私もちらりと見たことがありますけど、毎年の予算変動は多くなかったと思います。
窪みがあったら補修するといった感じだったと思います。」
「夜間に幌馬車、乗せているのは酒かぁ・・・そこそこゆっくりでしょうかね。」
「でしょうね。
まぁそこら辺は試験小隊の方々に従うのみです。
さてと・・・あ、エリカさん、カサンドラさん、トレンチコートどうしますか?」
「市販品はすぐに手に入るのでしたっけ?」
「サイズが合えば、それに魔法適性があれば簡単な強化の魔法も入れられますよ。」
「・・・どの程度ですか?」
「確か・・・少々の怪我はしなくなる程度で刃物を通さない程度です。」
「有効性は高そうですね。
うん、買いましょう。
カサンドラも良いでしょう?」
「はい、お願いします。」
「じゃあ、ラルフさんの仕立て屋に寄ってからテイラー店長の所ですね。」
アリス達が移動するのだった。
------------------------
試験小隊の訓練場の片隅。
マイヤー達が去って。
「というわけで、東町に行ってきます。」
「あ~♪」
「きゅ♪」
いつものようにコラの頭の上に座ったミアが鷲と狼の主に言う。
「ニャ!」
「えー?・・・コラ来るのですか?」
「ニャ?」
コラが鷲と狼に向かって鳴くが。
「クルッ!」
「ガウッ!」
「ニャ~・・」
ダメだったようだ。
「コラ、来たいのはわかりますけど、今は南西の森の監視をしっかりとしないといけません。
なのでコラも留守番です。」
「ニャ・・・」
「クルッ!」
「ニャ!?」
鷲が何か言ったのかコラが驚き顔を向ける。
「まぁ・・・そのぐらいは良いですけど・・・
たぶんそれ夕霧達がしますよ?」
「クルッ!?」
「上空監視なんてもう既に始まっているかもしれないですね。
まぁコラ達も状況が知りたいと言うなら南西の森の監視体制に影響がない範囲で実施すれば良いと思います。」
「クルッ!」
「ニャ~・・・」
「はい、コラ、妬かない。
こっちはビエラもクゥもいますから平気ですよ。
コラ、主達が居ない状態で戦闘を始めないように。
鷲と狼も良いですね?」
「ニャ。」
「クルッ。」
「ガウッ。」
3体が返事をするのだった。
ここまで読んで下さりありがとうございます。




