第1265話 手配をしに行こう。(緊急依頼をさばける商店。)
ローのお店にて。
「もうすぐ昼ですが、おはようございます。
ローさん、居ますか?」
武雄が店内に入っていく。
「ほほほ、キタミザト様、いらっしゃいませ。
今、王城から例の精力剤の注文が来て準備していました。」
ローが店の奥のカウンターに小瓶を並べていた。
「・・・ウィリアム殿下、正室も側室も身籠りましたよね・・・
今回の注文は王城からなんですよね?」
「はい、ウィリアム殿下ではなく、王城からです。
部署は総監局とあります。
正式に注文が来ましたので発送しますよ。ほほほ。」
「普通に注文が来ているのなら対応するのは当然ですが・・・レイラさんと料理長に連絡しておきますか。
他に情報は?」
「えーっと・・・ウォルトウィスキーですが・・・王都守備隊から注文が来ています。
これはキタミザト様が?」
「王都へは陛下とウィリアム殿下にしか持って行っていませんが・・・まぁ、うちの人員が王都守備隊出身が多いのでそこから伝わったのでしょうね。
ちなみに部隊はどこかわかりますか?」
「第八兵舎の第二情報分隊 ラックという方宛ですね。」
「・・・あぁ・・・あの店用ですね。」
武雄が考えながら呟く。
「キタミザト様との打ち合わせで領外用は後198本となっておりますが、いかがしますか?」
「・・・あそこは私の同期と飲む場所にしたいのですよね・・・
要請は何本ですか?」
「言い値で良いので出来るだけと。
価格については定価に輸送料金で良いのですが・・・本数ですね。」
「・・・とりあえず王都守備隊に20本、陛下に5本、ウィリアム殿下に5本で行きましょう。
あとは私が王都に行く時に持って行くという形で行きましょう。」
「畏まりました。
言伝はありますか?」
「ラックさん宛には『また行く』と書いておいてください。
陛下とウィリアム殿下宛には『キタミザト家からの贈り物』と書いて布に包んで送っておいてください。」
「はい、承りました。
王都でも定期的な卸す場が出来そうでなによりです。ほほほ。
それでキタミザト様はどういった御用で?」
「緊急なのですけど・・・私の客先から6か月分、126本の一括納品依頼が来ました。
その後は3か月毎で交渉する予定なのですが・・・今回は向こうからも視察に来るようなのです。
良い所を見せたいので、今日中に何本用意出来ますか?」
「そうですね・・・・お待ちください。
えーっと・・・こことここは融通が利きますかね・・・
ここは・・・ん~・・・こっちとこっちの3等分させれば・・・・」
ローがすぐにリストを取り出して考え始める。
「・・・」
武雄は何も言わずにローの確認を待っている。
「・・・ふむ・・・結局の所は領外向けの21本をどう回すか・・・ですかな。
となると・・・こっちの方が・・・いや、こっちを増やした方がその後の取引的には良いのか・・・
キタミザト様、この後は?」
「特に用事は作っていません。
出立は明日の朝一ですのでそれまで準備です。」
「急な仕事ですな。ほほほ。
お互いに忙しい事で。」
「おじさんには私が持ち込んでいるので何も言えません。
頭を下げるのであれば私が下げます。
在庫平気ですか?どこか行きますか?」
「ふむ・・・実はウォルトさんからは2か月分毎に入れて貰っているのです。
なので、毎月では250本ですが2か月毎に500本送ってくれます。
3月と4月は一緒ですので、在庫は残っているのですよ。
追加の要請をすれば1週間程度でウォルトさんから届きますが、契約上各店には一括卸しなのです。
要は納期が2日程度遅れる可能性があるのですが、その説明を受け入れてくれるかどうかでしょう。ほほほ。」
「・・・問題になりそうな店は何軒ですか?」
「そうですね、キタミザト様の名を出しても良いというのなら・・・1軒ですね。
この酒場は4月の頭からウォルトウィスキー週間と銘打って料理を出させるそうなのです。
ここに来月は50本の予定なのです。」
「・・・50本では特別週間の1週間を乗り切れないような気もしますが・・・
まぁ良いです、そこの取り分が足りないと?」
「ええ、3月分は皆に配っていますので、初日に何本消費させるのか、触れ込みもしているでしょうし・・・たぶん初日の客数が頼みの面もあるはずなのです。
今日が3月23日・・・到着して確認して配達して・・・やはりギリギリです。」
「そこには分割として先行何本、週の後半に何本とするのはどうですか?」
「2日間であればいけそうではありますが・・・んー・・・」
ローが悩む。
「おじさん、説明に行きましょう。
ダメならダメで私の方を何とかします。
あと、ウォルト社長には今すぐ送ってくれるように指示を。」
「そうですな。
そっちはすぐに手配しましょう。
キタミザト様、少しお待ちください。息子に言ってウォルトさん宛の伝令を兵士の方に頼むように依頼させます。」
「あ、費用が掛かるなら私が出しますよ。」
「ほほほ、それには及びません。
これも商売です。必要経費は入っていますので。」
「よろしくお願いします。」
武雄が頭を下げるのだった。
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