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第1262話 来ちまった。1(シモーナからの伝令。)

武雄はヴィクターと共にエルヴィス邸に帰宅していた。

そしてすぐに客間に行くとフレデリックが扉前に控えており、ノックと確認をして扉を開けてくれる。

「失礼します。

 タケオ様がお戻りです。」

「すみません、遅れました。」

武雄とヴィクターが入って来る。

客間にはエルヴィス爺さん、アリス、エリカ、夕霧、ビエラ達チビッ子が居た。

「うむ、問題ないの。

 伝令が突然に来たからの。

 アリスとエリカ殿も散策を止めて集合したという訳じゃ。

 エリカ殿にはしばらく口外禁止の文言も取ってあるからの。」

「そこは大丈夫ですよ。

 ちゃんとします。」

エルヴィス爺さんとエリカが苦笑している。

「はい、ありがとうございます。

 で、商売の方で緊急と伺いましたが。」

武雄が席に座りながら聞いて来る。

「うむ、ヴィクター。」

「はい、今しがた魔王国のシモーナより伝令が来ました。

 正確にはシモーナより関の兵士に頼み、伝令を走らせたとの事です。

 一報がフレデリック様の方に行き私の元に来ました。

 フレデリック様と手分けをして皆様を招集させていただきました。」

「うむ、ご苦労じゃった。

 フレデリック、伝令に休息を与えておくのじゃ。」

「実施しています。

 もしかしたら向こうに伝令を走らせないといけませんので休息と待機を命じています。」

「うむ。

 ヴィクター続きを。」

「はい、フレデリック様も私も軽く中を確認しております。

 内容としては米500㎏の搬入を行うという事と堅魚の干物60㎏の手配が完了し、こちらに向かっているとの事です。

 関への到着は・・・明日と。」

「・・・うん、そこまではこうまでの緊急ではないですね。

 それで他には?」

武雄がヴィクターに続きを促す。

「はい、向こうからの追加要請として。

 年252本の輸入で今回2回目が終わっている状況ではありますが、出来れば一括で、少なくとも数か月分をまとめて納入して欲しいとの依頼です。」

「ふむ・・・タケオ、どう思う?」

「魔王国で認知されたという事でしょう。

 ですが、一気に一括となると私達と同等かもっと上・・・魔王国の上層部からの要望と捉えるのが普通かと思います。」

「確かに一括というのは恐ろしい要求ですね。

 こういった輸入品は月毎に区切って調整をしているのが普通です。

 それを前倒しで納入を要請するとは・・・相当無理難題に近いかと。

 ですが、シモーナ殿は商売人、無理難題とわかっていても断れないような方からの要望というのはわかりますね。」

フレデリックが説明する。

「横暴だから断るというのは簡単ですが・・・米で尽力してくれていますし、今後のウォルトウィスキーやウスターソースの輸出も考えないといけないですからね。

 シモーナ殿の要望にはそれなりに応えないといけないですかね。」

「ふむ・・・さて、どうした物かの・・・

 タケオ、現状では魔王国向けには252本じゃったの?」

「はい、ローさんとの打ち合わせで対領地外用450本を用意しています。

 現状の在庫については確認が必要かとは思いますが・・・

 キタミザト家で買ったような物なのですが、残りは王都とゴドウィンさんに送ろうかと思っていました。」

「最低数か月分という事はじゃ・・・3か月か4か月が妥当じゃろうの。」

「そうですね。

 そこで一旦区切りでしょうね。」

「タケオさん、どうして区切りなのですか?

 4か月という事は8月ですよね?」

「エリカさん、これから内密な事を言いますからね。

 知っているのは、王都では陛下だけです。」

「う・・・わかりました。

 覚悟します。」

エリカが深呼吸をして覚悟をする。

「8月以降にゴドウィン領内で慣例の戦争の可能性かあるのです。

 これはシモーナ・・・あぁ面倒ですね、その辺もついでに簡単に話しましょう。

 まずヴィクターは元伯爵です。紆余曲折あって数か月前に奴隷に身を落としてしまいました。

 現在はファロン子爵、ヴィクターの甥っ子が領地を治めていますが、シモーナさんというのは向こうの街で商いをしているヴィクターの妹さんです。

 そこと輸出入をしています。」

「な・・・内通ですか?」

「ギリギリしていません。

 お互いに言葉を濁して衝突を避けようとしていますけどね。

 確かシモーナさんからは『今年後半の頭にパーニ伯爵領にて慣例の行事がある為、荷物を多く納入する可能性がある』という話があったのです。

 そこからエルヴィス伯爵とフレデリックさんが検討をして、陛下に奏上しています。」

「・・・慣例の行事なのに可能性があるというのですか・・・変な言い回しですね。」

エリカが考える。

「ふむ、流石にエリカ殿は話が早いの。

 そこの矛盾点から突発に起こり長年している事は慣例の戦争という結論に達したのじゃ。」

「なるほど、わかりました。

 それを陛下も知っているというのであれば私も口外はいたしません。」

「うむ、当分は頼むの。

 今回の慣例の戦争はきな臭いのじゃ。

 ウィリアム殿下の出馬は無いと思うが・・・エリカ殿、向こうの議論がどうなるかわからぬが、出馬せぬよう仕向けてくれると助かるの。」

「・・・確かに、その辺は確かアルマ殿下とレイラ殿下の出産予定日です。

 その線で押し留めます。」

「うむ、頼むの。」

「ヴィクター。どう思いますか?」

武雄がヴィクターに振る。

「そういった内容が来ていたのは驚きました。

 確かに魔王国は次期国王の選定中と思われます。

 伯爵様が考えるように何かしらの選考基準が向こう側であっても不思議ではなく、慣例の戦争も何かしら意図が隠されていると考えるのが普通かと。」

「本当はヴィクターとジーナには正式な宣戦布告文が来てからと思っていたのですけどね。

 とりあえずヴィクターは心に留めておきなさい。

 今すぐ何かする必要はないでしょう。」

「はい、畏まりました。」

ヴィクターが礼をするのだった。


ここまで読んで下さりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] そもそも自家の商談関係の話に エリカさん居るのがおかしい
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