第1261話 幌馬車の改造をしてみよう。2(コンテナ船とコンテナ馬車。)
「ふむ・・コンテナを1つ乗せられる馬車。
そしてコンテナを3つ乗せれるようにする船。
となると荷馬車と船とでコンテナをスムーズに移動させる方法が必要と・・・
なるほど、ここにもベアリングを用いれば・・・」
キャロルが紙に書かれている内容を見ながら考えている。
「馬車の方の荷台は徹底的に軽量化が必要ですね。
コンテナを乗せるという事は・・・うん、こちらの板は外してしまいますか。」
ローチが部下に持って来させた幌馬車の図面と照らし合わせて考えている。
「ん~・・・熱心ですね。
ローチ社長、キャロルさん。どうですか?」
「いや・・・これは上手くすれば流通が変わります。
それにこのコンテナという箱を用意するというのは面白い。
これに施錠をすれば輸送時の信頼性も高くなるでしょう。」
「荷馬車の方も何とかこのコンテナを積めるようにします。
問題は・・・どうやって船とコンテナのやり取りをするか・・・ですね?」
キャロルとローチが考えながら話している。
「んー・・・一つはコンテナを上に上げて、船もしくは荷台の上まで移動させて降ろすという方法。
一つは、スライド・・・横移動をさせる方法。」
「上に上げて・・・んー・・・それでは結構大掛かりな施設が必要ですね。
私としては横移動が良いかと。」
キャロルが考えながら言う。
「横移動かぁ・・・となると荷馬車の船に対しての停車位置が問題になるか。
正確な位置というのは難しいなぁ。」
「どうやるかはこれからですが、今私の頭の中だと・・・
船を横付けしますよね。
ここでまず船を固定出来ると想定して、船にレールを組み込んでおく。
そのレールに合わせて陸地側からレールを繋げて幌馬車の所まで持って行く。」
皆が武雄が書いていくのを食い入りながら見ている。
「なるほど・・・レール、つまりは支持する物を用意しておくのですね。」
キャロルが頷きながら言ってくる。
「ええ、そのレールと同じ幅でコンテナの底面に凹みを作り、何個か球体もしくはベアリングを仕込んでおきます。」
「なるほど、レールからズレないようにし、乗せる物が軽く移動させるようにする。
確かにこれは出来ると思わせますね。
となると荷台の高さから船の高さへの傾斜があるので、それのバランスもしくは衝突防止でロープで荷馬車の方から引いておく物が必要ですね。
キャロルさん、これはどうしましょうか。」
ローチも考えている。
「荷馬車に取り付けるのは些か不安定になると考えられるから・・・荷馬車が止まる所に何か櫓のような物を用意しておいてそこからロープを出させるようにした方が良いか。
それとコンテナの屋根部に何か仕込めるフックを用意しておけば、移動させるコンテナの位置を微調整しながら移動が出来るか。」
「荷馬車へのレールは最初の部分は荷馬車に搭載しておいた方が良いのかも・・・そうすれば後は途中のレールで船までの調整が出来るようになるのか。
うん、こういう事ならある程度の停車位置の誤差は考えなくて良くなる。
キタミザト様、これは行けそうですね。」
ローチとキャロルが顔を上げて武雄に言ってくる。
「あらあら、2人ともやる気になってくれてありがたいですね。
ですが、これは当分は試作は無しです。
机上での検討から始めないといけないでしょう。」
「「はい。」」
「この考えを元に船の大まかな大きさを考えないといけません。
そこで船の設計が出来る者を呼んだのですが、エルヴィス家の文官達も人工湖と船着き場周りの話をしたいという事です。
エルヴィス家にとって港は新たな事業ですからね。
船を維持するのに必要な事を確認したいのでしょう。」
「なるほど・・・着いて早々にこの船の概要は伝えないといけないですね。」
ローチが頷いている。
「そうだな。
その席にキタミザト様も居ていただければありがたいが、予定が合わなければ私達でするしかないだろう。」
キャロルも頷いている。
「楽しそうですね。
まぁ私は広範囲で色々としていますので、いつでもとはいかないので予定だけ教えてください。
あとはその時の予定が合えば参加ですね。」
「「わかりました。」」
キャロルとローチが返事をし他の面々は頷いている。
と。
「失礼します。
こちらにキタミザト様はお出でで?」
「はい、居ますよ。
誰か来ましたか?」
会議している所に工房の者が入って来て声をかけてくる。
「はい、ヴィクターと仰る方が緊急との事で来ています。」
「通してください。」
「はい。」
すぐに工房の者が下がって行く。
「緊急ね・・・
キャロルさん、ローチ社長、今日はこれまでですね。」
「「はい。」」
「とりあえず当面は幌馬車の改造からです。
気を付けて。怪我をしても誰も喜びません。」
「心得ています。」
ローチが礼をする。
「失礼します。
主、領外より伝令が来ています。
すぐにエルヴィス邸にお戻りください。」
「戦ですか?」
「違います。商売の方です。」
「はい、すぐに戻りましょう。
では、皆さん、また今度。」
「「本日はありがとうございました。」」
武雄が皆に見送られて退出していくのだった。
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