第1252話 続旅の2組。(王都組の反省会。)
挨拶が終わったパメラ達の部屋では。
「「・・・」」
「はぁ・・・」
ジーニーとケイが難しい顔をさせ、そんな2人を見ながらパメラがため息をついていた。
「なんで挨拶が終わったのに難しい顔を?」
「緊張が解けないのよ。
・・・ケイ、あれがスミス様なんだね。」
「そうね。
まさかあれほどしっかりとしているとは思わなかった。」
「そうなの?
普通じゃないの?」
「13歳であんなにしっかりとしているなんて普通じゃないわよ。」
「そうなのかなぁ?
貴族の当主としての教育とかで教わっているんじゃないの?」
「そうなのかもしれない・・・私が知っている13歳は街中の子供だけだし、街中の子供と比べるのも意味がないのは確かだけど、それにしてもしっかりしていると思ったわ。」
「うん、それは私もそうだけど。
まぁ・・・ジーニー達は将来はスミス様の命令で動くけど、しっかりしてそうで良かった。」
「そうね。
スミス様が王立学院でどう成長されるかによって方針は変わるけど、性格が大きく変わるとは思えないからちゃんとした施政者になられるだろうね。
ケイとパメラは大丈夫かしら?」
「・・・わからない。」
「・・・想像もつかない。」
ケイとパメラが難しい顔をさせる。
「2人とも頑張ってね。」
ジーニーが苦笑しながら言う。
「頑張るけど・・・ケイちゃん、試験小隊って毎日何をするんだろうね?」
「仕事内容はそれとなく聞いているけど、毎日何をするかは聞いていないから行ってから新たに知る事が多いとは覚悟はしている。
事前に使えそうな資料は用意したし。」
「うん、毎日過去の戦闘報告書を写していたよね!」
「私も向こうについたら頑張らないとなぁ。
まずは魔法師小隊で中間を狙わないと!」
「「中間?」」
ジーニーの宣言にケイとパメラが首を傾げる。
「ちゅ・・・中間。
上位は難しいかと。」
「志低くない?」
「ジーニーちゃんならもっと上に行けるんじゃないの?」
「・・・いや!中間ぐらいしか行けないと思う!
その後コツコツと上位に食い込んでいけないかと・・・」
「はぁ・・・ジーニーは慎重ね。」
「でもそれがジーニーちゃんだよね。」
「な・・・なによ。
2人はどうなのよ?」
「「最下位からの脱出。」」
「・・・低いわね。」
「周りは王都守備隊だし。」
「この前居たエルフの子供・・・私達より上そうだし。」
「なら2人が最下位争い?」
「「うん!」」
ケイとパメラが笑顔で頷くのだった。
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アンダーセンの部屋。
「いや~・・・ジーナ殿は知っていたけど、スミス殿も中々貫禄があったね。
立派な貴族様だ。」
トレーシーが楽しそうに言う。
「そうだな・・・パット殿下は大変そうだ。
あれと比べられるとなぁ」
アンダーセンもヤレヤレとしながら首を振る。
「お母さん!あのお兄さんの肩にも人形っぽいのが居ました!」
「そうねぇ。
あのお兄さんにも居たね。」
「あれは何なの?
どうして肩に人形を置いているの?なんで肩から落ちないの?」
「あれは何なの?あれはどこで売っているの?」
「子供達よ・・・私にもわからない事が多いんですよ。」
デリアとセシリーが子供達から質問攻めになっていた。
「あっち助ける?」
「もう少ししたらこっちに来るだろう?」
「そうだね。」
トレーシーとアンダーセンが妻達のやり取りを見ながら出番を待っていた。
・・
・
「つまりお姉さんとお兄さんの肩に居たのは精霊と呼ばれる者達であの2人は精霊魔法師なのよ。
この国で数名しかいない程貴重な存在よ。」
「「「ほぉ~。」」」
子供達が頷いているが「あ、これわかってないな」と親達は思っている。
「お父さん達の上司であるキタミザト様も精霊魔法師だし、奥様のアリス様もそうだな。」
「「「アリス様!」」」
「アリス様も精霊なの!?」
「私も頑張れば精霊になれるの!?」
「精霊になればアリス様と一緒に戦えるの!?」
子供達が食いつく。
「いやいやいや!精霊にはなれないからね?
それにアリス様は精霊魔法師だけど聞く限り精霊がいなくてもとんでもない人だから!」
「はい、皆静まれー!
精霊魔法師は精霊と契約している人を指します。
精霊に見いだされるのは本当に極一部の人達のみです。
頑張れば精霊魔法師になれるかもしれませんが、それは王立学院や魔法師専門学院に入って1番、2番くらいにならないと機会すら貰えません、なので今は勉強をしっかりとしなくてはいけません。」
「「「ええーー!ヤダー!」」」
「ヤダじゃない!」
デリアとセシリーが子供達と討論を始める。
「ははは、アリス殿の名は轟いているね。」
「精霊になると言い出すとは・・・
まぁ・・・今回の事でどうも精霊魔法師選定会というのが出来るらしいな。」
「ふ~ん、それはそれで楽しみだね。
それはどこから?」
「王都守備隊関係から・・・と言っておこうか。」
「信憑性が高そうだ。
まぁこっちも知っているけどね。」
「それはどこからだ?」
「嫁の実家。」
「確実だな。」
「うん、確実。
ただ誰でも・・・というわけではなくてね。
当分は王立学院と魔法師専門学院の卒業予定者上位5名ずつが最有力候補らしい。」
「なるほどな。
大きな特典となるだろう。」
「他に選定方法があるなら言ってくれたら嫁の実家の方に言うけど?」
「あとは各貴族の推薦ぐらいしか思いつかないさ。」
「そうだね。
僕もそう報告している。
あとは所長に聞いてみようと思うんだよね。」
「奇抜な答えを期待するなよ?」
「してないよ。
するわけない。」
トレーシーが良い笑顔で言うのをアンダーセンは「絶対面白がっている」と思うのだった。
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