第1245話 午後の訓練場。(後片付け。)
「・・・当たったようですね。」
パナが言う。
「ええ、ああも左右に1体分動くのを何回も見せられたら。
撃つ方向を変えますよ。
・・・パナ、ビエラの容態は?」
「・・・無傷っぽいですが・・・」
「小銃改1の2倍以上の威力で作って貰っているんですけど・・・」
「タケオ、それをどこに使う気だったのですか?」
「攻城兵器・・・門とかの蝶番を狙って壊そうかと思ったのですが・・・ビエラに傷を負わせられないとは・・・作り直しかな?」
「城に向かって使った事はあるのですか?」
「城を攻めるのもした事ないですからね・・・ついでにスコープの再調整です。」
「あ~・・・厚手の鉄板でも用意して撃ってみてから評価するべきではないですか?
ついでに言えば向こうで避けていますからスコープの調整用として標的が合ってるのでしょうか。」
「・・・準備不足でしょうね。
まぁ・・・良いです。
またすれば良いのですからね。」
「そうですか・・・あとどのくらいしますか?」
「今、何時ですか?」
「15時45分ですね。」
「16時には止めますか。
ハワース商会に行きたいですしね。」
「では・・・連続で当てて行きましょうか。」
「当たれば良いですね。」
そう言いながら武雄が小銃改3を構えるのだった。
・・
・
「所長、お疲れ様でした。」
マイヤーが武雄と話している。
「はーい、お疲れ様です。
皆さんも気を付けて。」
武雄がクゥを抱えているビエラと一緒に訓練場を去って行く。
「で、だが・・・結局所長何発撃ったんでしょうか・・・」
ブレアが呆れながら言う。
「・・・拳銃と合わせれば・・・数百か?」
「確か拳銃って1発撃つ魔力量75だったか?」
「小銃改3と1も1発150でしたよね・・・なら軽く10000以上?」
「「規格外だよなぁ。」」
皆が武雄の仕様に呆れるのだった。
「さて・・・後片付けをするか。」
「「はーい。」」
皆が動き始めるのだった。
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ハワース商会に向かう途中。
「あ~♪」
ビエラが上機嫌で歩いていた。
「きゅ♪」
クゥも頷いている。
「いや・・・ビエラ、クゥ、主が当てて来た時狼狽しましたよね?」
「あ?」
「きゅ?」
「さっきの事をもう忘れてる・・・
主~、ビエラもクゥも主の小銃改が当たったら驚いていたんですよ?」
「へぇ~・・・それは良い事ですね。
だからその後大きく避けたのですね。
ビエラ、クゥどうやって避けていたのですか?」
「あ?」
「きゅ?」
「だからそれは2人だけですって・・・主、この2人は主が撃ったのを確認して避けていたんですよ。
良くあの距離を見れると思いませんか?」
「1km先を見るのは普通では出来ませんね。」
「ですよね~。」
「まぁ私が扱う小銃改シリーズは直線で飛んでいきますが、皆が皆そうではありませんからね。
避けるにしても相手を見て判断しないといけませんね。」
「あ?」
「きゅ?」
ビエラとクゥが首を傾げる。
「例を上げればパラスでしょうね。
彼女は飛ばす物を補正してきます。
ジーナがこれを使ったらパラスが補正をしてくるでしょう。
なので・・・全弾が当たってもおかしくありませんね。」
「きゅ?」
「主~?撃った後に体1つ分飛ぶ方向を変更出来るのですか?」
クゥとミアが聞いて来る。
「むしろ出来ないという風に考えるのが違うでしょう。
魔法があるんですよ?
考え方を変えれば『当たる位置が確定している』ならば体1つ分を移動しても当てられる可能性がありますよ。」
「あ~?」
「主、ビエラが『そんな事可能なの?』と言っていますよ?」
「残念ですが、不可と言える程、世の中を知りませんからね。
なので避けるのも注意をしながらする必要があるでしょうね。」
「なるほりょ~。」
ビエラが頷くのだった。
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テイラーの魔法具商店。
「ただいま~。」
鈴音が店の玄関から入って来る。
「おかえりなさい。
キタミザト様との打ち合わせは終わりましたか?」
「おー戻ったか。」
テイラーとニオはカウンターで大き目の紙を見ている。
「はい、新しい物の話をしてきましたよ?」
「ほぉ。どんな物ですか?」
「脱水機です!」
「脱水・・・木?」
「ううーん・・・あ!手洗いした服を箱に入れてグルグル回すんですよ。
そうすると中に入れた服の水が取れて生乾きの感じになるので干すのが短時間で良いんですよ。」
「う・・・うん、なるほど。
それは上手く行きそうですか?」
「たぶん!なのでこれから図面引きに行ってきます!
ではー!」
鈴音が奥に行ってしまう。
「・・・んー・・・木を回すのか?叩くのではなく?
箱?・・・何?」
テイラーが首を傾げている。
「いや・・・テイラー、そこは洗濯機と言ってな。
生えている木ではないぞ。」
ニオがカウンターの上に居ながらテイラーに言う。
「はぁ・・・まぁ、全体の図面を見せて貰えばわかるでしょうかね。
さてと・・・こっちの図面はどうしようかな。」
「んー・・・単発式の拳銃で小銃改4の弾丸仕様だな。」
テイラーとニオがカウンターの上の図面を見ながら言う。
「うん、手のひらサイズならいけるんじゃないかな?
それに毎回弾丸の精製から始めるから連射性もないし。」
「まぁ売り先は貴族か王家だろうがな。
・・・デリンジャーなぁ・・・」
「ダメかな?」
「まぁこの手の考えはあって然るべきだろう。
だが、タケオの判断を待たないと実物を作るのはやめておいた方が良いだろう。」
「うん、なら今度キタミザト様が来るまでに図面を書いておくよ。」
「そうだな。」
テイラーの言葉にニオが頷くのだった。
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