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第1239話 午後の訓練場。(上司と部下の面談。)

試験小隊の休憩所内。

「外楽しそうですね。」

鈴音が武雄が淹れたお茶を飲みながら言う。

武雄と鈴音は机にお菓子とお茶、そして2人ともノートと鉛筆を用意して座っていた。

「私達は本職でないですからね。

 あっちには参加出来ませんよ。」

「あぁ・・・私も魔法使いたかったです。」

鈴音が少しガッカリした顔をさせる。

「まぁしょうがないですよ。

 常時発動型でしたか。

 直感なんですから剣道や柔道でもしていれば戦闘時に避けられたりしたかもしれませんね。」

「私は研究員ですから争い事はごめん被ります。」

「ええ。全くです。

 その辺はテトにでもさせておきなさい。

 テト、パナ、お茶が入りましたよ。」

「「はーい。」」

テトとパナが実体化し机に座る。

「・・・武雄さん、面談なんですよね。」

「ええ、そうですよ?

 何か?」

「いえ・・・お茶をしながらですか?」

「??・・・ええ、普通そうでしょう?」

武雄と鈴音が首を傾げながら聞き合う。

「・・・タケオ、スズネが言いたいのは『ティータイムのような気軽さで良いのか』という事だと思うわよ。」

テトがお茶を飲みながら言ってくる。

「・・・あぁ、鈴音は高校生時代からこっちでしたね。

 教師との2者面談か3者面談でも想像しましたか?」

「は・・・はい。」

鈴音が頷く。

「そうかぁ・・・

 私的な意見ですが、高校時代は教師がお願いして生徒に勉強をさせる、大学時代は学生がお願いして勉強をさせて貰う、企業は上司と部下が話し合って仕事をすると上と下の立場が変わっているんです。」

「高校時代が教師がお願いして・・・ですか?」

「あくまで私的な意見ですよ。

 高校は滅多なことがなければ退学ってないでしょう?

 成人未満の子供達を預かるというのは接し方も難しいのはわかります、言葉使いやら指導方法やら気を使う事も多々あるでしょう。なので上と下の立場があいまいなんですよ。

 大学はそもそも単位制ですから満たさなければ退学するだけです。

 勉強したくないなら来なければ良い・・・極論を言えば大学はそんな所です。

 企業は来なければ良いなんて言えません。

 使える使えない等の才能に関係なく利益を出す事が求められます。

 ・・・上司から一方的な指示だけで動いた方が良い場合もありますし、部下が率先して動く方が良い場合もあります。

 業種や職種によっていろいろありますが・・・

 少なくとも現状では私の研究所は上司と部下で話し合って問題意識の共有をした方が良いと思っていますよ。

 今日はその1回目です。

 リラックスして話したいのでこんな感じになりました。」

「ん~・・・お茶もお菓子もあって良い物なのですね。」

「別に叱る為に呼んだわけではありません。

 それに仕事でミスが出て叱るにしても1対1でなんてしませんよ。」

「う・・・そうなのですか?」

「ええ、1対1で怒っても意味はありません。

 ミスというのは個人的な物ではありますが、そのミスは皆で共有する物です。

 共有する事で他者が補助に回って事なきを得る事が多々あります。

 進捗状況の確認というのは上司の仕事の一つですけど。

 あれは順調に行っていない場合、どう補填するかの判断をする為にあります。

 全てが順調に行っていれば進捗管理というのは必要ないんですけど・・・物事って上手く行かないのが当たり前ですからね。

 納期、品質、工程、予算・・・んー・・・面倒ですね。」

武雄が腕を組んで首を傾げる。

「私はどんなことをすれば良いのですか?」

「それは仕事内容という事ではないですね。」

「はい。」

「まぁ、週一で報告する時は『今何をしていて目標の何%の出来高か、納期に間に合うのか、現状の問題はないのか』ですね。

 どういった項目を必要とするかはトレーシーさんと話し合いなさい。」

「はい。」

鈴音が頷く。


「さて・・・面談をしましょうかね。

 鈴音、この街に来て約1か月ですが、どうですか?」

「どうと言われても・・・」

鈴音が困る。

「暇ですか?」

「いやいやいや!?

 めちゃくちゃ忙しいんですけど。」

「忙しいかぁ~・・・

 まだ本格的に駆動部の研究は始まっていないですよね。」

「はい・・・ですけど、なんだかんだと警棒だったり拳銃だったりミシンだったり槍の柄の装置だったり・・・ほぼ毎日図面描いてます。」

「うん、良い事ですね。

 サテラ製作所のキャロルさんはしっかりしてくれているみたいですね。」

「う・・・図面の赤ペンチェック激しいです。

 ・・・真っ当な言い分なので・・・私の力不足なのはわかるのですが・・・」

「しっかりと見て頂けるのなら良い事ですよ。

 最初から甘々だと大変です。

 ・・・そうだ、鈴音、赤鉛筆が近々ハワース商会から発売されると思いますよ。」

「・・・本当に赤ペンチェックですね。」

「あと青色と緑色も頼んでいますからその内出来るでしょう。」

「その内注文しに行きます。」

鈴音が頷く。

「街の生活はどうですか?

 結構カトランダ帝国と違うと思いますが。」

「いえ・・・これと言って・・・ないですね。

 親方達は仕事に邁進していますし、懐中時計も注文がひっきりなしで暇はないですし・・・

 あ、懐中時計ですけど、親方から人員増強の話聞いていますか?」

「キャロルさんと話し合いなさいと言いましたけど?

 何かありますか?」

「あ・・・話が行っているなら問題ないです。

 職人さん達が手先が器用なんですよ。

 あのレベルの職人さん達が欲しいですね。」

「手先が器用というと意匠系ですかね?

 ボイドさん辺りがしっかり指導しているのでしょうか。」

「はい、ですが若手の職人も欲しいなぁと言っていました。

 ですが、懐中時計を一通り作ったら辞められる可能性も高いので良し悪しだなぁと言っています。」

「その辺は私は何とも言えませんね。

 ブラッドリーさん達に任せます。

 今回引き込まなかった工房からの嫌がらせ等は?」

「いえ、何もありません。

 武雄さんやキャロルさんが居るのでないのではないですか?

 それに私達の作っているのは他の工房と被ってはいませんので・・・あまり気にはかけられていません。」

「ふむふむ・・・

 街北側の街中はどうですか?」

「ん~・・・流石に街道に面した表通りに比べれば若干、活気は抑えめですけど・・・

 何だか再開発というか・・・今建物の1階を改修する工事が所々見受けられますね。」

「ふむ・・・店舗に?」

「元々店舗だったのかもしれませんが工事しています。

 数十というわけではないのですが・・・ステノ技研周辺から始めている感じはあります。」

「なるほど。

 それはエルヴィス家でも聞いてみましょうか。

 他にありますか?」

「そうですねぇ・・・」

武雄と鈴音の面談が進むのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] いやいや、タケオさんも、自身の魔法の最長発動距離を確認するのは大事だと思うのですが。 どのくらい遠くまでシールド飛ばせる?かとか気になります。 あとシールドって、例えば 「5m先 縦横…
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