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第1224話 その頃の寄宿舎では。7(あとは若い者に任せましょう。)

ルークはコートニーに「ちょっと外で話をしよう」と誘われ宿舎を出ていた。


「コートニー、さっきの話をするんだよな?」

「そうだよ。

 適切な場所でしないとマズいからね。

 どこにどんな人が居るか分かった物じゃないし。」

「そこは良い判断だと思うんだが・・・で、ここ歓楽街に続く道だよな?」

ルークが目線を左右に向けて確認する。

「大丈夫!今から行くのは安全なお店だから!

 変な勧誘に引っかからないでね!

 ルーク1人で来るとボッタクリに遭いそうだからね!必ず私を同伴させなさい!」

「・・・いや・・・歓楽街に女性と来るのか?」

「ふふん♪

 2人きりになるような場所に行く?」

「行かない。」

「そこは少し考えて欲しかったなぁ。

 こんな麗しい女性が」

「それ2回目。」

「今度、お姉様方に教えて貰おう。」

「お姉様?」

「ん~ん。こっちの話。

 さて、もうすぐだよ。」

コートニーが先導するのだった。

・・

王城近くの飲食店の玄関にて。

「さぁ、ここ。」

「王城近くなんだな。」

「まぁね~。

 さ、中に入ろう。」

「準備中の札があるが?」

「平気、平気。」

2人が中に入る。


「いらっしゃいませ、まだ開店前で・・・ん?コートニーちゃん?」

出迎えた着飾った女性が不思議そうな顔をさせる。

「フォレットさん、こんにちは。

 すみません、開店前に。」

「お邪魔します。」

コートニーが挨拶をし、ルークも恐る恐る挨拶をする。

「そこは良いんだけど・・・隊長に?」

フォレットがルークを見ながらコートニーに言う。

「はい、父は居ますか?」

「あ~・・・じゃあカウンターに居てね。」

フォレットが奥に行く。

「はい。すみません。」

コートニーが礼をする。

「隊長?」

「そこはこれからわかるって。」

と、男性が速足で向かってきてルークの肩をガシッと掴む。

「コートニーとはどういう関係だ!?」

「え?」

「父さん、落ち着け!」

コートニーがバーテンの格好をした男性の脇腹を殴る。

「ぐふっ・・・」

コートニーに父と呼ばれた男性が崩れ落ちる。

「あれ?・・・違ったの?」

フォレットが笑いながらやって来る。

「フォレットさん、どう説明したんですか?」

「ちゃんと『コートニーちゃんが男を連れて来た』って言ったよ?」

「・・・はぁ・・・で、この醜態ですか・・・

 父さん、こちらはルーク・マイヤー君。

 名前でわかるでしょう?」

「マ・・・マイヤー殿の息子さんか・・・

 娘よ、良い男を引っ掛け、ぐふっ・・・」

「寝言は後でね。」

コートニーがよろよろと立ち上がったラックのさっき打ち込んだ同一箇所を再び殴る。


「君がマイヤー殿の息子さんかぁ。

 お父さん達、エルヴィス領に無事に着いたって伝令が来たよ。」

フォレットが親子漫才を無視してルークに声をかける。

「初めまして・・・あの~・・・ここは?」

「それは私が説明してあげるわ。

 隊長、開店2時間くらい延ばしますからね?」

フォレットがそう言うと脇腹を押さえてうずくまるラックが手を挙げている。

「よし、じゃあ奥の席に行こうか。

 おーい、若者が来たよー。」

「「なになにー?」」

フォレットがそう言うと奥の着飾った女性達も反応するのだった。

・・

「えーっと・・・じゃあ、ここは第1騎士団と王都守備隊の訓練場なのですか?」

ルークがフォレット達から説明を受けて考えながら復唱していた。

「そう。

 まぁ軍務局とか警備局の幹部はここの存在は知っているし、外交局と財政局の幹部も知っているかな?

 基本的に兵士系の幹部は皆ここは知っているから悪い人間は来ないわよ。

 あとはキタミザト家は知っている。

 他には秘密かな。

 そうしないと仕事にならないしね。」

「そうですか。」

ルークが頷く。

「ルーク、説明は受けた?」

コートニーがルークの隣に座る。

「ああ、こんな所があったんだな。」

「うん、うちの母さんも文官として働いているから私は幼少時からここに来ているんだけどね。

 店で働いてくれるお姉様方に勉強も剣技も習っているの。」

「コートニーのお母さんは働いているんだ。」

「うん、私のお母さんも元兵士なんだけど、結婚を機に財政局にね。

 で、この店関係の事をしているの。」

「・・・ん?・・・という事は?」

「あはは、この店は公私混同でラック家が使っているの。」

コートニーが笑う。

「そうは言ってもね。

 ラック財政官殿は凄腕なのよね。」

傍にいた違う女性が話し出す。

「財政官ですか?」

「うん、実際に財政官という役職はないのよ。

 正確には財政局 予算管理部 次長殿なんだけど、私達は皆『ラック財政官殿』と言っているのよ。

 ここのお酒とか服とか結構お金がかかってね。

 予算が全部次長頼みだから奉っているの。」

「そうそう聞いた所だとこの店を作ったのも『敵地に潜入させるのに訓練もなしだとか女性隊員を見殺しにするのか!命を張る隊員に最低限の訓練をさせるのが国家の勤めだろう!』とか言ってくれたんだって。

 ありがたいよね~。」

「頭の固い財政局を動かしてくれたのだって大変だったろうしね。」

「ラック財政官のおかげで第1騎士団や王都守備隊での女性待遇も良くなったよね。

 第1騎士団も王都守備隊も頭が固いっちゃ固いけど、女性を大切にしようと努力しているし、有休増えたよね。」

「あれ、ありがたい、私重い方だからさ。」

「だよね~・・・月2日だけだけど、隊員皆で何とかしようとしてくれるしね。」

「第1騎士団と王都守備隊への女性兵士の受験率良くなってるらしいよ。」

「それはそうだよ~。

 待遇良いもん。任務はきついけど。」

「同じ仕事なら待遇良い方が良いよね。」

「そうそう。

 あ、そう言えばブルック殿からこの間手紙来てたよ。」

「なんだって~?」

「向こうは楽しいのかな?」

「ここに手紙が。」

「「おぉぉ。」」

「読んじゃおう!」

ルークを余所に女性達が話に花を咲かせるのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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