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第1221話 その頃の寄宿舎では。4(青田買いをする上級生。)

コートニーとルークは食事を終えると一緒に居たターラの後ろを歩いて移動していた。

2人とも父親の職業を言われて夕食の味がわからないぐらい緊張していた。


「あの~・・・先輩、どこに向かっているのですか?」

コートニーが聞く。

「もう着くわよ。

 ・・・はい、ここ。」

と一室の扉前で止まると扉をノックする。

すぐに中から返事が返って来たのでターラが扉を開ける。

「失礼します。

 ルーク・マイヤー、コートニー・ラック両名をお連れしました。」

「うん、ターラ、ご苦労様。

 さ、2人とも入って。」

「・・・失礼します。」

「失礼します。」

コートニーとルークが室内に入ると。

男女1名ずつが待っていた。

2人はターラに勧められて扉側の席に誘導される。

「初めまして、私はキティ・エメット。

 この学院の3年生です。」

「俺はモーリス・フリント。

 ターラと同じ2年生だ。」

2人とも座って挨拶をしてくる。

「さ、2人とも。」

ターラが挨拶を促す。

「はい!コートニー・ラックと言います。

 今年入学します。

 よろしくお願いします。」

「僕はルーク・マイヤーと言います。

 先輩方、よろしくお願いします。」

2人とも椅子の横で堂々と立ちながら言う。

「・・・驚いた。

 兵士の子供はこうもしっかりとしているのね。」

「そうですね。キティ先輩。

 2人とも緊張しているだろうが、何かするつもりはない。

 ちょっとした情報を2人に与えるつもりで呼んだんだ。

 座ってくれて構わない。」

「「失礼します。」」

コートニーとルークが席に座る。

ターラがお茶を用意して2人の前に出してから席に着く。

「えーっと・・・2人とも緊張しているのだけど・・・」

キティがモーリスとターラを見る。

「それはそうですよ。

 キティ先輩、宿舎に着いていきなり先輩に呼び出されるなんて普通考えもしませんって。」

ターラが苦笑しながら言う。

「そうなのかなぁ?

 でもこの2人はすぐにこっちに入れないと危ういと思ったんだよね。」

「キティ先輩の言いたい事はわかりますが・・・入学式後でも良かったのでは?」

「そうですよ。

 私も強く指示されたから実施していますが・・・本当に良かったのですか?」

モーリスとターラがキティに話している。

「2人してまだそんな事を・・・もうやってしまったのはしょうがないと思わない?」

キティが開き直って2人に言う。

「ええ・・・まぁ・・・そうですね。

 やってしまった後に何を言っても意味はありませんね。

 マイヤー君とラックさんだね。」

モーリスが諦めながら新入生2人に聞いてくる。

「私達は名前の方で結構です。」

コートニーが言う。

「そうか・・・ルーク君とコートニーさんだね。」

「先輩方、私達に敬称は不要です。」

「わかった。

 ちなみにターラ・・・2人はどうやって連れて来たんだ?」

「普通に連れてきましたよ?

 迷っていたみたいなので最初から最終手段の親御さんの役職を言いましたけど。」

ターラが普通に言う。

「・・・本当に最終手段だな。

 はぁ・・・誘い方は事後話し合おう。

 さて、ルーク、コートニー・・・2人はある事情で呼んだんだが、こっちの親の身分も言っておいた方が説明はしやすいだろう。

 まずはキティ先輩の父親は外交局 対外戦略部 次長、ターラの父親は総務局 危機管理部 部長、俺の父親は人事局 人事統括部 副部長だ。」

「「・・・」」

ルークとコートニーが難しい顔をして聞いている。

「あ~・・・モーリス君、2人とも困っている感があるよ?」

「でしょうね。

 それに父達の肩書の重さがわかっていない輩というのは困ります。

 まぁ・・・2人ともいきなりだろうが、私達は宿舎において王都側の人間となる。」

「今年は異例な事があってね。

 私達にも父親達から指示が出ているの。

 あなた達2名には最低限これから起こるであろう事を知っておいて欲しいというのが1つ、もう一つは私達の派閥に入って欲しいというのが1つ。

 派閥についてはあまり気にしなくても良いんだけど、出来れば考慮して欲しいかな?」

キティがそう宣言する。

「キティ先輩、申し訳ありませんが、1つ目の情報はありがたくお聞きします。

 ですが、2つ目の派閥に関しては保留でお願いします。」

コートニーは即答する。

「・・・」

ルークは目を瞑り考える。

「ん~・・・そうなるかぁ、まぁ致し方ないね。

 そもそも事前情報を与えようというのが本題だし、モーリス君、問題はないよね?」

キティも考えながら言う。

「はい、2人の行動を制限しないのが前提です。

 俺達もそうですが、王立学院に入って親の仕事に振り回されても面白くないでしょう。

 とは思いますが、俺達の行動で親達に迷惑をかけるというのもよろしくないという判断から2人には早々に話をするだけです。

 2人も気を楽にしてくれて構わない。」

モーリスがキティの言葉に頷き、ルークとコートニーを見る。


ルークは思う。

「コートニーもそうなんだが・・・

 どうも俺も親から何か指示が出ている事前提で話されている気がするんだよなぁ。

 実際に何も言われていないし、『エルヴィス家の次期当主が今年入学し、お付にキタミザト家の配下が付く』事と『寄宿舎内での噂は拾っておく』事ぐらいしか聞いていないんだよなぁ。

 あ・・・研究所の内容を聞かれるのか?・・・全く知らないし・・・

 『勧誘に注意しろ』と言われたけど、これは思いっきり『勧誘』されているんだよなぁ。

 親父・・・初っ端からいろいろ起きたよ。

 失敗したらごめん。」

ルークが遠い地に異動した父親と約束した王立学院に入った目的が変わりそうな事を危惧するのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 親でも対処しにくい事態になれば最終砦が動いて王都に血の雨が降るだけだから失敗しても大丈夫だよね
2021/08/25 17:06 退会済み
管理
[一言] 誘われた方が「糞真面目」で「早とちり」して「思い切りがよかった」ら ――自決騒動で、大事になるやり口だよなwwwwww
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