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第1217話 ピーマンを美味しく食べたい。(ジルダは天才なのでは?)

「鉄のトレイに入れてっと・・・はい、終了。」

武雄がキャラメルを流し込んで満足顔をしている。

「おう、お疲れ。」

「ありがとうございます。

 さっきの話の続きですけど。」

「ん?どうした?」

「プリンは卵の品薄から価格高騰に繋がる恐れがあるので見送りましたけど、茶碗蒸しは良いのですか?」

「あ~・・・

 茶碗蒸しはレストランに、から揚げは酒場に教える予定だ。

 レストランなら卵の高騰までさせる事なく限定的にするだろうという考えからだ。

 出汁はどちらにも教える予定だ。

 プリンについては料理人の勘が良いなら作られるかもしれないが・・・たぶん無理だろうな。」

「出来そうですけど?」

「ん~・・・プリンはほのめかしておくか。

 そうすれば均一なプリンが一斉に提供出来るだろうし、そちらの方が話題にもなるだろうし・・・」

料理長が考えながら言う。

「加減はお任せします。」

武雄が頷く。


武雄としては茶碗蒸しの具材が楽しみだった。

「海老とシイタケと鶏肉」、「シイタケと豆と貝」の茶碗蒸しは出てきているし、「肉ばかり」、「シイタケ祭り」なんていうのもあったりした。

これが街中に出だすとどんな具材を入れるのか。

密かな楽しみが出来るのだった。


「今日の夕食は野菜炒めでしたね。」

「そうだな~・・・

 とりあえず、タケオの要望通り、ウスターソースの材料以外で街中で買える物は揃えてみた。」

料理長が顔を向けた先に色とりどり野菜が居る。

「何でも出来そうですね。」

「あぁ・・・だが、こう考えるとウスターソースというのは奇跡のソースだな。

 街で買える物のみで作れるとは・・・いやはや長生きはしてみる物だな。」

「料理長も十分若いですよ。

 えーっと・・・これは?」

武雄はその内の1つを持ち上げる。

明らかにピーマンだが今まで食卓には上がっていなかった。

「あぁ、元々はテンプル伯爵領で取れるピーマンとかいうトウガラシの一種だそうだ。

 うちの領地でも少数だが栽培が始まったそうでな。買ってみたんだが・・・

『辛みは無いが、苦みが強くて子供達に嫌われている』と店員は言っていたそうだ。」

「へぇ・・・」

しゃくり。

武雄がそのまま少しかじる。

「・・・苦い・・・」

武雄がガックリとしながら身悶えてる。

その様子を料理人達が苦笑しながら見ている。

「言っている傍から・・・ほら・・・水だ。」

料理長がコップに水を入れて渡す。

「・・・すみません。

 はぁ・・・舌に苦みが残りますね・・・」

だが、味もピーマンなのを確認。

「使うか?」

「ええ、十分に可能性はあるでしょう。

 他は?」

「これなんてどうだ?」

料理長が武雄が見た事ない野菜を持ちあげる。

「これまた・・・じゃ、頂きます。」

武雄が受け取りかじるのだった。


------------------------

ベルテ一家の屋敷にて。

「あれ?皆さんが居ますね。」

「ほんとだ。」

アリス達が到着するとマイヤー達がベルテ一家と共にお茶をしていた。

「おや?アリス殿。ごきげんよう。」

マイヤーが気が付き会釈してくる。

「はい、お疲れ様です。

 こちらには?」

「制服も頼んだので主要な場所の見学会です。」

「・・・一見すれば近所の男連中が集まっている感じですね。

 それも異様な力量の人達が。」

エリカが呆れている。

「まぁここに居るのは、ほとんど王都守備隊ですけどね。

 アリス殿とエリカ殿は?」

「日課の散歩です。

 で、タンポポ茶をお願いしようかと来たのですが。」

「あぁ、なるほど。

 ですが、まだ実っては居ないようですね。」

マイヤーが畑を見ながら言う。

「タンポポって・・・種蒔きどうするのでしょうかね?」

「さぁ・・・普通に耕すのでしょうか。」

「「ん~・・・」」

アリスとマイヤーが首を傾げる。


「あ、アリス様、いらっしゃいませ。」

ボーナがやって来る。

「はい、タンポポ茶を頂きたいのですが。」

「畏まりました。

 ニルデとジルダに言ってきます。」

とボーナが奥に行くとドタドタドタと足音と共にニルデとジルダがやって来る。

「アリス様!」

「聞いてー!」

「2人ともこんにちは。

 元気にしていますか?」

「「元気ー!」」

「はい。良い返事ですね。

 で、どうしましたか?」

「ジルダが朝出来たんです!」

「見て見てー!」

ジルダが掌に手のひらサイズのファイアを行い白色の炎を出す。

「おお!白い!」

アリスが驚く。

「「「なんだって!?」」」

試験小隊の面々が駆け寄って来る。

「へへへ♪

 本当はキタミザト様に見せようと思ったんだけどアリス様にも見て欲しかったのー!」

ジルダがファイアを止めて満面の笑顔をアリスに向ける。

「はい!凄いですね!

 これはタケオ様も見たら驚くんじゃないですか?」

「キタミザト様褒めてくれるかなぁ?」

「ええ。絶対褒めてくれますよ。

 どうやったのですか?」

「えーっと・・・私のファイア大きかったんです。

 で、テイラーさんから『水の一滴くらい小さく』って言われて小さくしようと考えたらこうなった!」

ジルダの説明を試験小隊の面々は「いや、それは水の一滴くらい小さい魔力という意味では?」と思っている。

「ジルダ殿・・・サイズを小さくしたのですか?」

マイヤーが皆を代表して聞く。

「うん、こう・・・パンを小さくするみたいに!」

ジルダが手をギュッギュッと握りながら言う。

「・・・魔法の圧縮かぁ・・・」

マイヤーが考えながら言う。

「マイヤー殿、これは?」

「いや、強度や威力を高める方法として使われています。

 私達も出来ますが・・・色が変わる程というのは・・・

 ちなみにジルダ殿、何をイメージしましたか?」

「キタミザト様の見せた白いファイアって太陽なのかもって思って!

 太陽って小さいけど温かくて凄いなぁって!」

ジルダが嬉しそうに言う。

「太陽・・・考えた事もなかったですね。」

「ええ・・これはある意味で革新的な考えなのかもしれません。」

「一度してみましょうか・・・出来るかなぁ・・・」

試験小隊の面々が慄いている。

「はぁ・・・画期的な事なんでしょうね。

 ジルダ、タケオ様に報告はしておきますが、こればかりだといけませんよ?」

「まだファイアしかしていないんです。」

「あら?そうだったの?

 そうかぁ・・・なら次を教えて貰う前にしっかりと小さく出来るようにならないとね。」

「うん!目指すはもう少し小さく・・・これぐらいにします!」

ジルダが拳を見せる。

「ええ、ジルダなら出来ますよ。」

「へへ♪」

「良し、私も頑張らないと!」

ニルデもやる気になるのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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