第1215話 武雄久しぶりにキャラメル作り。(エンマとフローラは人気者?)
エルヴィス家の厨房。
「ふぅふぅ・・・熱い!」
「おータケオ、頑張れ。
もう少しで出来るな。
今日はなんでまた?誰かにさせても良いんだが。」
武雄がキャラメルを作っている横で料理長が献立を決めている。
「久しぶりにキャラメル作りですね。
たまにしないと大変さがわからなくて感謝の気持ちが出ませんからね。」
「もう予備はないのか?」
「ええ、明日からアスセナさんの研修で総監部と試験小隊の面々が来たので軍務局に持って行ったら終わりました。
なので、明日は他の部署に持って行きますよ!」
「おお、殊勝な心掛けだな。」
「賄賂は重要です。」
「そうだな。
そうだ、そろそろエルヴィス家が皆に料理を教えるようだぞ?」
「・・・へぇ・・・聞いていますか?」
「エルヴィス家としてはマヨネーズは外せないと思っているようだが・・・
タケオ、これが流行るとどうなると思う?」
「卵とレモンの価格上昇を招きますよ。」
「だよなぁ・・・俺もそう思う。
養鶏場が始まっていない段階では難しいと言っておいた。
養鶏場が始まり卵が定数確保出来るようになってからマヨネーズとタルタルソースの公表するべきだとな。
フレデリックも意見を同じにしてくれてな。
とりあえず卵関係は保留だ。」
「そうですか。
他には?」
「シイタケと小魚の出汁と茶碗蒸しは公表する事になったな。
あとタケオが好きな『から揚げ』もな。」
「あ~そう言えば・・・普段は肉に下味は付けないんですってね。
初めて聞いた時は不思議でした。」
「いや、俺らも驚いたぞ。
味は衣に付けると思っていたからな。
肉には塩やハーブ系で下ごしらえすると思っていたからな。
まさか魚醤やウスターソースに漬けるとはな・・・」
「なかなか美味しいでしょう?」
「いや、見事だった。」
「それは良かった。
バターは購入品ですが、ホイップクリームやバターサンドは?」
「それも保留だな。
牛乳が今の所、潤沢にないんだ。
養鶏場が始まれば次は人工湖と紅魚養殖事業だが、養殖事業着手後に酪農を推奨する話になるそうだ。」
「どれも生き物相手ですからね。
数年後をみながらになるでしょうか?」
「そうだな。
酪農は早ければ今年末に領民に説明会をしてから来年4月の実施、乳製品が増えるのは再来年か3年後だろうな。」
「3年・・・もっとかかるかもしれないですよね。」
「そりゃあ3年と言うのは子牛も成牛も購入出来ればという見込みどおりならという事だろう。
購入先が他領だろうから上手く行く事を想定してとなる。
これが子牛だけとなると話が違ってくるか。」
「・・・街中で美味しいスイーツが増えるのはまだまだ先ですね。」
「だな。
当分はエルヴィス家とキタミザト家だけで楽しむしかないな。」
「わかりました。
喫茶店での販売は何を?」
「マヨネーズは2日に5個、週に15個程度の販売になるだろうな。
料理人達で瓶詰するんだ。」
「・・・思ったよりも少ないですね。」
「そうは言ってもなぁ・・・料理の合間で作るからな。
それにあまり大々的にしても粗悪品や類似品が出る可能性が高くてな。
常連客の注文に応じようかとも思っている。
今の所、日持ちの期間を1週間程度としているが、レモンの量や卵の鮮度でどう変わるか・・・
売り出すまでに確認する事が多いのも気がかりではあるな。」
「・・・実質的には製造から3日とかですかね。」
「かもしれない。
価格も少し高めになるはずだ。」
「実質の販売となると難しいですね。」
「まぁなぁ。
伯爵家と子爵家の料理人だろう?
下手な物を売るとタケオや伯爵様の評判にも影響が出るからな。
まずは信用が置ける客のみの販売だ。」
「・・・そう言われるとその通りですね。
私は気ままに新しい物を作ります。」
「おう、頼むぞ。
と、そう言えばフレデリックから聞いたが、研究所の引き渡しが4月15日なんだってな?」
「ヴィクターからそう聞いています。
調理器具はどうなっているのですか?」
「そっちは発注済みだ。
食器も手配は終わっていてな。
まぁ喫茶店で文官達身内だけだから意匠がほぼない食器にしている。」
「無地の方が料理人の盛り付け加減の練習になるでしょうね。」
「そうだな。
まぁ将来出店する気がある者にとっては腕試しという所だろう。
それと2週間分の献立を作って材料を手配する事になった。」
「へぇ・・・
献立は事前発表されるのですか?」
「?・・・必要か?」
料理長が首を傾げる。
「私は食券を購入した人達には事前にお知らせした方が良いと思いますが。」
「何が出るか楽しみにした方が良いと思っていたが。」
「苦手な食材があって食べに来てそれが出たら嫌な気分になると思います。
なので、事前にわかっている方が今日は喫茶店で食べる、今日は他に食べに行くと前々から考えて貰えた方が昼食を楽しめそうですからね。」
「なるほどな。
皆でその辺は考えてみる。」
「はい。」
「あとは・・・配膳や食器洗いの短時間の給仕係だがな。」
「ええ、ダメでしたか?」
「いや、なんとかなりそうなんだが・・・
タケオ、この間のエルフの2人は雇えるか?」
「エンマさんとフローラさんですか?
農作業が仕事ですから毎日は出来ませんよ?」
「あぁ、毎日でなくても良いんだ。
週に1、2回出来ないか?」
「・・・理由は?」
「元メイドや元料理人達は使い勝手は良い。
だが、慣れ過ぎているというのが少し問題でな。
早く言えばうちらの身内だ。
なのでないとは思うが、見えない所で昔の序列を持ち出して仕事をされる可能性もある。
外から他の目を入れておいて緊張感を出させたいんだ。
あの2名ならエルフで見た目も良いから客受けもするだろうし、タケオの直属だろう?大まかな分類では身内だが、他家所属となる為、監視としても十分に機能する。
全くの部外者でないという所が理想的な監視員だな。」
「んー・・・私としては問題ないと思いますけど、まぁあの2人の小遣い稼ぎと言う所で話を振りますかね。
強制はさせません、本人達がしたいならという条件でどうですか?」
「あぁ、それで頼む。
これが給料と仕事内容の概要だ。」
料理長が武雄に紙を渡す。
「はい、相談してきます。」
「あぁ、一応、事前に2日程研修はさせるからその時は時間を作ってくれ。」
「わかりました。」
武雄が頷くのだった。
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