第1214話 挨拶は大事。(着々と準備中。)
エルヴィス邸がある街の庁舎の総監部の部屋にて。
「明日から部下がお世話になります。
よろしくお願いします。
では、失礼します。」
武雄が扉を閉める。
「主・・・もしかして私達の時も?」
「はい、当日でしたがしましたよ。
はぁ・・・キャラメルの残りがあって良かった。
総監部は終了っと。
残りは・・・1箱かぁ・・・ヴィクター、アスセナさんの最初の研修先は?」
武雄がリュックから箱を取り出して個数を確認しながら話している。
「私達と同じ内容ですと総監部での座学が数日、財政局と総務局で数日でしょうか。
メイドをするとは聞いておりませんので、エルヴィス邸での実習があるかはわかりません。」
「ん~・・・となると・・・他の局は後日でも良いのか。
残りは・・・あ、マイヤーさん達関係で軍務局か。
門を毎日通るし挨拶しておいた方が良いかもしれませんね。」
「そうですね。
そちらに挨拶に行かれますか?」
「ええ、城門横の兵士の詰め所と騎士団の詰め所には後日ですね。」
「はい、では先導をいたします。」
「は~い。」
武雄が付いて行くのだった。
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ラルフ店長の仕立て屋にて。
「・・・こちらがトレンチコートの全サイズです。
制服の上からですので、今の服装の上に着て確認をお願いします。」
「・・・なるほど。
こうなるのか。私はLLサイズで。」
マイヤーがカウンターの所でトレンチコートを着て確認している。
「畏まりました。」
店員が記帳している。
「はぁ・・・久しぶりに採寸したな。」
奥からベイノンが出て来る。
「おー、次はこっちのトレンチコートだぞ。」
「こっちは着るだけだから問題なさそうだな。」
ベイノンがカウンターに来る。
「これが所長やアーキン達が着ているコートだな。」
「4種類のサイズだそうだ。」
「ほー。」
ベイノンがLサイズを着てみる。
「・・・小さいな。」
「ではLLサイズだな。
ん?」
マイヤーがカウンターの隅でアーキンとミルコと店員が話しているのに気が付く。
「何を話しているんだ?」
「あ~、所長が男性向けの新しい下着を考え付きましてね。
それの試験に協力して欲しいと持ち掛けられていたんです。」
「男性用下着?」
「はい、ボクサーパンツとブリーフという2つです。
今まで男性用はトランクスしかありませんでした。
キタミザト様が運動等の激しい動きをした際の汗の吸収が良くなりそうな密着型の下着を作ってみるのも面白いと言われまして。
現在開発中なのです。
実際に使って頂こうと思いましてお声をかけました。」
「開発・・・」
「マイヤー殿、この店は所長の協力工房の1つですよ。」
「あぁ、なるほど。
ちなみに男性用があるという事は・・・」
「当然女性用も作っております。
こちらはジーナ様とアリス様、ブルック様とアニータ様に試供して頂いています。
改良も進みそろそろ売り出そうかと思っております。」
「そうなのか・・・
男性用は安くなりそうなんですか?」
「少し高くはなってしまいますね。
売れ行き次第で多少は・・・と考えていますが、それでも雑貨屋等で売られている物と比べてしまうと・・・
そこは割り切っております。
街中で売られている物よりも品質で勝らないといけません。
そこでまずはアーキン様とミルコ様に試供して貰い着心地の確認をして貰おうかと。
快諾頂いてありがたいです。」
「ん~、私はブリーフが気になりますね。」
「僕はボクサーパンツを穿きたいです。」
「お二人とも両方をお使いください。
縫い目とかで気になるとか肌触りが気になるとかありましたら言ってください。
こちらが試供品となります。」
店員が2個ずつアーキンとミルコの前に置く。
「トランクスとは違うのですね。」
マイヤーが興味深そうに見ている。
「はい、生地と肌が密着し汗をすぐに吸収します。
トランクスよりも生地が厚くなってしまいますが、そこはこれから考えようかと。
一応、この店の従業員は全員これの試着をしています。
女性用の下着も同様にまずは従業員で不具合や擦れ等の洗い出しをしています。
ですが・・・兵士の方々と動きが違いますので気になる点があれば何でも言って頂けるとありがたいです。
では、報告は3日に1回でお願いします。
もしくは不快な点があれば即言って頂いて構いません。」
「わかりました。」
「はい!これを穿いて訓練をすれば良いんですね。」
「よろしくお願いいたします。
すぐに袋に入れますのでお待ちください。」
店員が一旦奥に引っ込んでいく。
「・・・ここ仕立て屋なんだよな?」
「はい、伯爵家御用達の仕立て屋ですね。」
「・・・下着も売るのか。」
「元々は・・・と付けるのが妥当なのかもしれませんね。
所長がここで初めてトレンチコートを作りだしてから今の流れのようです。」
「そういえば陛下もウィリアム殿下もレイラ殿下もここでトレンチコートを作っていたな。」
「ははは・・・地方の仕立て屋ですが、王家御用達ですか。」
アーキンが苦笑する。
「それだけ品質が良いのだろう。
あれは?」
マイヤーが壁にディスプレイされたダウンジャケットを見る。
「今年の冬に販売予定のダウンジャケットとダウンベストと言うらしいです。
外に居る時も保温がされていて活動しやすいという触れ込みです。
店頭で働く人や農作業の人向けに売り出すようですよ。」
「・・・所長だな。」
「ええ、その通りです。」
マイヤーとアーキンが頷くのだった。
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