第1213話 言い忘れはないよね?(ジーナとマリは意気投合していない?)
「んー・・・他に何かありますかね?」
武雄が皆を見ながら言う。
「私の方からはありません。」
ヴィクターが答える。
「私の方からも・・・ないですね。」
マイヤーが頷く。
「では、今日はここまでですね。
皆さん、とりあえず建物が出来るまでマイヤーさんかアンダーセンさんの指示に従ってください。
事務的な事はヴィクターが総監部かエルヴィス伯爵邸にいますので相談を。」
「「はい。」」
「では、私はこれで退出しましょうかね。」
「「「はっ!」」」
その場の全員が立ち上がり礼をすると武雄とヴィクターが退出して行く。
・・
・
「んー・・・着任した気がしない。」
「ですね~。
かなり緩~い感じがしますが。」
「さて・・・この後は制服を作りに行けば良いのか?
アーキン、どうすれば良いんだ?」
「えーっと・・・制服作りと主要な所を巡る見学会を実施しますよ。
地理は各々で確認はするでしょうけど。
主要な所は巡ります。
あと・・・ステノ技研行くんだっけ・・・まぁ・・・アニータ達を先に行かせるか。」
「ん?どうした?」
「いえ、私達先行組は結構慣れてしまったなぁと・・・各場所で要点は説明しますのでよろしくお願いします。」
「「了解~。」」
皆が緩く返事をするのだった。
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武雄とヴィクターが総監部に向けて歩いていた。
「ん~・・・言い忘れた事はないですよね。」
「はい、主が言い忘れた事はありませんし、あったとしてもアーキン様達が付け足すでしょう。」
「そうですか。
小隊の人達はこの後は街の見学ですかね?」
「制服の作成かと。」
「なるほど・・・作業服決めなきゃ。
全然行ってなかったですね。」
「仕方ありません。
アリス様との挙式や特産品祭りがありましたので、行く暇がありませんでした。」
「はぁ・・・ヴィクター、ありがとう。
そうだ、アスセナさんはいつから研修を?」
「確か明日からでしたね。
各所に通達はしております。
朝は総監部で私と打ち合わせののちに研修に臨む日々になるかと。」
「了解です。
ヴィクターもジーナも優秀でした。
ですが、アスセナさんが優秀とは限りませんし、同じ作業を同じ時間で出来るとは限りませんからね?
自分と同じ時間で出来ないからと言って怒ってはいけません。」
「はい、心得ております。
むしろジーナについては父親である私も驚きました。」
「そうなのですか?」
「ジーナは覚えるのが早いのです。
そつなく熟すというか・・・もちろん習った事を復習したりと努力は見ているのですが、それでも普通の方より覚えが早い気がします。
それと失敗をしないのです。」
「前の生活の時からですか?」
「・・・いえ、そのような感じはしていませんでしたが・・・
仕事だからでしょうか。」
「わかりませんね・・・ですが、手札が多くある人って戦いに弱かったりもしますよね。」
「器用貧乏というやつですか。
確かにそれはありますが・・・失敗させたいと思いつつ失敗させたくないとも思うのです。
悩ましいですね。」
「そうですね。
失敗しないのは良い事ではありますが、失敗しなければ学べない事もあるのは事実です。
早いうちに失敗して慢心しないようにしないといけないでしょうが・・・王都に行かせちゃいましたね。」
「はい、挙式の準備辺りで何か失敗するかと思っていたのですが・・・」
「ジーナは完璧に熟しましたね。
挙式自体も少し遅れましたが慌てもせずにちゃんと乗り切りました。」
「はい、王都で何か失敗するでしょうか?」
「大事以外で失敗して欲しいですね。」
「そうですね。」
ジーナの保護者2人は旅だった娘を思うのだった。
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馬車の中。
「ヘックチュ・・・」
「ジーナ、風邪ですか?
変なくしゃみでしたが。」
「スミス様、申し訳ありません。
ケアの指輪をしているので問題はないはずなのですが・・・」
「昨日の宿で夜更かししましたか?」
「いえ・・・そこまでは・・・
スミス様に教わった勉強の復習をしていましたが、きりが良い所で寝ました。」
「・・・昨日も運動はしていますから運動不足というのはないですね。」
「夕食後に剣術の稽古は流石に疲れますね。
今日もするのでしょうか。」
「たぶんするかな。
マリ、する?」
「当たり前です。
日々の鍛錬がいざという時に使えるのです。
これでも王都用に少なくしているのです。」
「そうだったの?
まぁ確かに屋敷でしていた量よりかは少ないけど。」
「欲を言えば週1で模擬戦闘を2時間程したいですが。」
「マリ、それだとボロボロになってしまいます。
次の日に疲れが残ってはいけません。
ご主人様も言っていましたが、学業が終わってから寄宿舎に戻って夕食までの1時間が空き時間と考えるなら。その1時間で何とかしないといけないでしょう。」
「ジーナの言う事ももっとも。
だが、週1でも実戦感覚は養っておいた方が良いとも考えられるのも確か。」
「ん~・・・実戦感覚かぁ。
そう言われるとやった方が良い気がしますが・・・
とりあえず、寄宿舎に行って王立学院の毎日の日程を確認してからその辺の話し合いをしないといけないですね。」
「うむ、早々に調べないといけないな。」
「そうですね。」
マリとジーナが頷く横で「あれ?僕の意見は?」とスミスが思うのだった。
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