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第1208話 帰り道の雑談が何気なくない。(ブルック達の野菜炒め祭り。)

武雄達はエルヴィス邸への帰路に着いていた。


「はぁ・・・エリカさんが大袋を持って来てくれて良かったです。」

「結構買ってしまいましたね。」

「そんなに買ったのですか?」

アリスとエリカが苦笑するのを武雄が不思議そうに見ている。

「はい、結局6冊でしょうか。」

「そんなに。」

「これからパナ殿の添削を受けます。

 こちらの方が大変かもしれません。」

エリカが苦笑する。

「そうですね。

 コノハは見ないのですか?」

「アリス、私は専門外よ。

 それにパナちゃんが居るのに私がしたり顔で説明してもね。」

「コノハなら十分わかると思いますが?」

「わかるかもしれないけど流石にパナちゃんの前では気が引けるわ。

 そういった事は専門家に任せるわ。

 私はこの国の食材集を解読しないとね。」

「それ農家向けの栽培方法の本でしたよね?」

コノハの言葉にアリスが返す。

「ふふん。アリス、栽培方法が載っているならそれは出来る可能性があるという事よ。

 あとは気候の問題よね。

 南国気候だと流石に出来ないだろうけど・・・もう少し南の作物も栽培しても良いと思うのよね。

 出来れば、ゴーヤやサツマイモなんかも欲しいよね。」

「コノハ、流石にハウス栽培は難しいのではないですか?」

武雄が考えながら言う。

「お、タケオはやっぱりわかるわね。」

「それはそうですよ。

 私だってしたい(・・・・・・・)んですから。」

「そうだよね~。ハウス栽培が出来れば利益率が高そうな野菜が出来そうだもんね~。」

コノハがウンウン頷いている。

「それだけではないですよ。

 ハウス栽培が出来れば一年中同じ野菜が定数作れますからね。

 ウスターソースの事を考えればしたいんですけど・・・」

「タケオの方法は?」

「ガラス張りの温室でしょうね。

 そこに暖炉か何かで温室を作り出す・・・これが初歩でしょうね。

 想定出来る範囲で用意出来る小屋の広さや薪代、作付け回数・・・費用対効果がね・・・」

「潤沢な資金と気候変動の少なさ等々もっと良い条件なら・・・まだ出来ないかなぁ?」

武雄とコノハがため息を吐いている。

「・・・タケオさん、それって難しいのですか?」

エリカが聞いて来る。

「ええ、エルヴィス領では今の所不採用でしょうね。

 この寒さですからね・・・薪代だけでも結構すると思うんですよね。

 ある程度事業化させるなら量も必要ですし。」

「・・・大規模でなければ出来そうなんですか?」

「小規模なら実施は出来るでしょうね。

 要はガラス張りの小屋を用意して太陽の日の光を入れて室内を温める方法と天候が悪い時は薪で室温を高める方法を取って、常に一定温度を保つ施設でしかありませんから。

 一定気温を保つ事で1年中作物が出来るように仕向ける。

 もしくは本来なら収穫出来ない時期に収穫し、作物の価値を高める方法ですね。」

「それにタケオは野菜の話をしているけど、花なんかにも適用出来るわよ。

 本来なら春や夏に咲く花を冬に開花させて出荷すれば、欲しい人は買ってくれるでしょうね。」

武雄とコノハが説明する。

「季節外れの花・・・野菜・・・なるほど。」

エリカが考えながら言ってくる。

「小規模だと家庭菜園かガーデニングかなぁ。」

「趣味の範囲でするにしても維持費用がね~。

 そこまで余裕がある人は少ないでしょうね。」

「そうだね~。

 サツマイモが出来ればスイーツも増えるのにね~。」

「「スイーツ!?」」

アリスとエリカの目が煌く。

「定番と言えばスイートポテトでしょうけど焼き芋も良いですよね。

 焼きたてはホクホクで甘さもあってね~。」

「落ち葉の焚き火をしながらの素朴だけど甘いよね~。」

武雄とコノハが良い顔をさせながら「欲しいね~」と言っている。

「・・・小屋かぁ・・・」

「殿下に頼もうかなぁ・・・」

アリスとエリカが真剣に考えるのだった。


------------------------

酒場にて。

「あ、皆が居る。」

「あ、本当ですね。」

「じゃあ、あっちの遠くの席に行くか。」

「ブルックさん、アーキンさん、お腹空きました。」

ブルック達が入って来ての第一声がこれだった。

「いや、待て待て。

 そう邪険にするな。」

マイヤーが苦笑している。

「はぁ・・・じゃぁしょうがない。

 同席させて貰いましょうか。」

ブルックがため息をついてそう言うが笑いながら空いている席をマイヤー達の席にくっ付ける。

「皆さん、どうしてここに集合を?

 そんな話をしていませんでしたよね。」

「いや、貰った地図にここがお勧めと書いてあったぞ?」

「「うんうん。」」

マイヤーの言葉に皆が頷いている。

「地図って・・・アニータだったわよね?」

「書きましたね。」

「全部同じに?」

「はい、全部同じに。」

アニータが「頑張りました」という顔をさせる。

「「じゃあ、しょうがないかぁ。」」

訓練以外はアーキンもブルックも2人には甘い、まぁそれがアニータとミルコには恐怖なのだが。

「・・・お腹空きました。」

ミルコが机に突っ伏してぐったりしている。

「さてと・・・店長ー!オーク肉の野菜炒めセット!ウスターで!」

ブルックが手を挙げて誰かに声をかけている。

「はいはい、ブルックさん達も今日もいらっしゃったのですね。ありがとうございます。

 アーキンさんは?」

店員が近寄って来る。

「俺はあらびきソーセージの野菜炒めセット、塩で。」

「私もあらびきのソーセージの野菜炒めセットのウスターで。」

「僕はベーコンの野菜炒めセット、中濃で。」

「はい、わかりました。」

店員が去って行く。

「野菜炒めばかりだな。」

マイヤー達がアーキン達の注文を不思議そうな顔をして見ている。

「あ、そうか。

 最近この街では野菜炒めが流行っているんですよ。」

ブルックが楽しそうに言う。

「野菜炒めが?

 普通だと思うが?」

「そうでもないんですよ。

 所長が持ち込んだウスターソースとその派生の中濃ソースがこの街の子供達に大人気なんです。

 今まで塩味だけだったのが、ウスターソースが割と体に良いソースと親達に認識され各家庭に普及し出したんです。

 そしてここに来て甘い中濃ソースが出て来たので飛躍的に同じ料理でも種類が増えたんです。」

「中濃ソースか。」

「ええ、マイヤー殿達は1回食べてますよ。」

「そうなのか?」

「所長が王都で・・・お好み焼きという名前でしたかね。

 アニータとミルコと守備隊での訓練の後、王家と食べたじゃないですか。」

「・・・あぁあったな。」

マイヤーが思い出しながら頷く。

「所長があのソースのレシピを業者に渡して製品化したんです。」

「「なに!?」」

試験小隊の隊員達が食いつく。

「そうかぁ・・・そうか、うん、私達は良い時に来たな。」

「ええ、そしてまだ少数生産で大々的には販売していないんですけど、この店は所長の依頼を熟している業者さん達御用達のお店で優先的に卸されているんです。」

「優先的に?」

「正確には試験販売って言っていましたね。

 1週間でどのくらい消費されるのか見ているそうです。

 ここの結果を見て販売量を決めるとか言っていましたね。」

「ブルック・・・それ結構な情報なんじゃないか?

 どこから仕入れたんだ?」

「え?・・・あそこにいるキタミザト家御用達の業者さん達ですよ?」

ブルックが離れた所に居る集団を指さす。

そこにはテイラーやラルフ、モニカ等々いつもの面々が集結して飲んでいるのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。


投稿の時間間違えました。

4/20の7:00予定にしたはずなのに・・・

すみません、これが7:00投稿分です。

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