第1206話 引っ越し終了(パイプの葉が値上げだと?)
マイヤーの部屋。
「では、マイヤー殿、私達はこれで。」
「ああ、持って来た物も運んでくれてすまなかったな。」
「いえ、問題はありません。
明日は昼頃に裏城門でお願いします。
試験小隊の訓練場を皆で確認をしますので。
では。」
「よし!次はベイノン殿だね。
アニータ、ミルコ行くよー。」
「「はーい。」」
アーキン達が去って行く。
「はぁ・・・引っ越しが終わったか。
おーい、部屋はどうだ?」
玄関でアーキン達を見送ったマイヤーがリビングに入りそこに居る妻と娘のエルザに声をかける。
「アナタ!どれも家具が新品なんですけど!」
「お父さん!部屋のベッドふかふかだよ!」
「そうか。
良い物件だったようだな。
と・・・これが置いて行った書類だな。
まずはこの部屋の契約と注意事項か?
次が制服の割引書・・・なんだこれは?・・・まぁ明日聞くか。
こっちがこの周辺の地図だな。」
「そうね。
アナタ、とりあえず持って来た荷物を各部屋に置きに行きましょうか。
それと足らない物がないかの確認ね。」
「そうだな。
その後は地図を見ながら夕食が取れる場所に行くか。」
「お父さん、お父さん、アリス様綺麗だったねー♪
あそこに並んでいた鳥や魔物もアリス様の部下なのかなー?」
「ん?あぁ、そうだな。
はぁ・・・エルザ、さっきからそればかりだな。」
「そうね。」
娘の同じ話を聞かされている2人は若干飽きていた。
「ん~・・・じゃあ、お父さんとお母さんが幌馬車を降りている時に御者台にお兄さんとエルフの子が来たんだけど、その時おじさんが来てたよ。
お父さんの事を『マイヤーさん』って言ってた。
お父さんをそうやって呼ぶ人っていないよね。
文官さんみたいな服装だったから研究所の人なのかな?
そのおじさんに『旅で驚いたことあったか』聞かれたから『ドラゴン』って言ったら『あそこに居るよ~』て気楽に教えてくれたの。
この街の人ってドラゴンもその辺の魔物の1つとしてしか見てないのかな?
私王都でドラゴンなんて見た事ないから驚いたけど、こっちでは普通なのかもね!」
「・・・」
マイヤーは目線を下げて真顔で固まっている。
「アナタ・・・もしかしてエルザと話したのって」
「言わないでくれ、明日確認するから・・・」
「わかったわ。
じゃあ気分転換に夕食にする?」
「いや・・・今日の湯浴みの薪を確認して買い足しに行った方が良いと思うがな。」
「そうね。
でもそうなると他の食器とか寝具も見てみたいなぁ。」
「ふむ・・・なら足らない物を確認して夕食後に雑貨屋に行ってみるか。」
「そうね。
エルザ、欲しい物はある?」
「・・・ない!」
「じゃあ・・・アナタは薪の確認、私とエルザは食器や寝具の確認しようか。」
「おー。」
「はーい。」
マイヤー一家が部屋の中を確認するのだった。
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街中の雑貨店。
武雄がカウンターで店員と話をしていた。
「・・・ちょっと奮発してみようかなぁ。
でも、んー・・・王都ではパイプの葉は4種類あったんですけど、3種類なんですよね。」
「この街だと3種類ですね。
そう言えばキタミザト様、パイプの葉が最近値上がりするのではと言われているんですよ。」
「値上げ・・・真ん中でお願いします。」
「はい、畏まりました。
前のように刻んでおきます。
おい!このパイプの葉を刻んで袋に入れてくれ。」
店員が他の店員を呼び、パイプの葉の加工をお願いする。
「で、値上げですか?」
「ええ、王都との行き来をしている商隊からの情報です。
近々上がるのではないかと、専売局からの仕入れですので確度は高いかとキタミザト様は何か言われて居ますか?」
「王都ではあまりそういった話は聞かなかったですね。
専売局との繋がりは作り始めていますが・・・こっちで確認しますか?」
「出来ればお願い出来ますか?
保存期間はありますが、値上げが本当なら事前の購入量を増やす事や売り方を考えないといけませんので。」
「特に不作とかの話も言われていませんが・・・値上げか。」
「王都や西側で消費量が増えているかもしれません。
この街の消費量が増えているとは聞いていませんので。」
「あとは・・・あ、要因が1つありますね。」
「なんでしょうか?」
「王都に居る王家の入れ替えです。」
「あ、レイラ殿下の旦那様で・・・えーっとウィリアム殿下でしたか。」
「ええ、ウィリアム殿下の異動があって第1皇子のクリフ殿下が王都に入るんですよ。
なので、専売局のパイプの葉の扱い量が一時的に変わるのかもしれませんね。」
「なるほど、パイプの葉は王家の領地のみですからね。
ウィリアム殿下の方で栽培が順調に行くのは早くて異動から1年後、となると値上げは今年末ぐらいからですかね。」
「まぁどちらにしても私の方でも噂の出どころを確認します。」
「わかりました、お願いします。
こっちも商店組合で話し合ってみます。
出来るだけ末端の価格は変えたくないですよ。」
「その姿勢は消費者としてはありがたい事です。」
「お任せください。
ですが、後々は価格転嫁するかもしれませんが・・・その際は十分に期間を置くしかないでしょう。」
「いきなりあげられると困りますね。」
「はい、そこは十分にわかっています。
私達もこれを機にパイプを止められては元も子もないですから。」
「確かに。」
店員と武雄が苦笑するのだった。
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