第1205話 気分一新、マイヤー達を出迎えよう。4(解散。)
武雄達がマイヤー達の幌馬車が城門を通って行くのを見る。
「アリス、人気者ですね。」
「ですね~。
昨日の特産品祭りではそうでしたけど、街中ではこういった事は無かったですからね。
レイラお姉様の書籍の影響力は怖い物です。」
「確かに出版物の威力はあるようですね。」
「・・・レイラお姉様の続編あるのでしょうかね?」
「確か第2弾は結婚まででしたか。」
「そろそろこっちの街にも入荷される時期ではありますね。
次回作はいつでしょうかね?」
「ふむ・・・ネタがあるとは思えないんですよね。
次はもう冒険もしないでしょうから・・・何を題材にするのでしょうか・・・」
「・・・レイラお姉様なら変な次回作を作りそうです。
もしくは自分達の生活を入れて来るかも・・・」
「はは、自分達の育児を元にでもしそうですね。」
「・・・あり得ますね。
釘を刺しておきましょうか。」
「それはそれで面白そうですが?」
「私達だけならいざ知らず、子供達までいつの間にか有名人になっていたら可哀相ですよ。」
「まぁ、そうですね。」
武雄とアリスが頷く。
「さてと・・・ミア、この後はどうするんですか?」
「そうですねぇ。
南西の森の狼たちの報告を受けようかと思います。
前の会合から1週間ですからね。
今何をしているか。
聞いておきます。」
「わかりました。
夕食前には戻って来るのですよ。」
「わかっています、主。」
「ビエラとクゥはどうしますか?」
「あ~♪」
「きゅ♪」
2人してミアを指している。
「わかりました。
気を付けて帰って来なさい。」
「はい!」
「きゅ!」
ビエラとクゥがミアに近寄りコラ達と一緒に試験小隊の訓練場に向かって歩いて行く。
「ドナートさん達はどうしますか?」
「あ、私達は夕食の買出しをしながら帰ります。」
「はい、気を付けて。」
「失礼します。」
「「失礼します。」」
「ニルデ、ジルダ帰るよー。」
「「はーい」」
ベルテ一家が城門を通って行く。
「タケオ様、夕食にはまだ時間がありそうですね。」
アリスが懐中時計を見ながら言う。
「そうですか。
エリカさん、どこに行きますか?」
「夕飯美味しいんですよね~。
今食べるとその分が入らないから勿体ないと思うんですよ。」
「エリカさん!それわかります!」
「ですよね~。
なら・・・あ、本屋に行きたいですね。」
「「本屋?」」
「はい、王都の本屋はそれなりに見たんですけど、地方の本屋に何があるか見ておきたいですね。」
「んー・・・王都に比べるとあまりないと思いますよ。
それに少し質も王都に遅れますから。」
「そこはどの国もそうですよ。
王都に最新の本屋があって地方には余程流行った物か売れ残りが出回るんです。
あとは普遍的な本とか地方独特の本関係ですかね。」
「流石はエリカさんわかっていますね。
で、何を探すのですか?」
「民間療法本ですね。」
「民間療法?」
「古くから伝承されてきた治療法ですか・・・
本当に効く物と効かない物が混在していると思いますが。
パナ、どう思いますか?」
そう言うとチビパナが武雄の肩に現れる。
「民間医療は経験則に基づいた医療行為ですから案外馬鹿に出来ない実用的な事も書いてある可能性があります。
まぁこの世界はケアがありますので基本的な所は魔法に頼るのでしょうが、地方の村単位だとケアが出来る者が常駐していない所もあるでしょうからね。
そういった者達向けの簡易医療集のような物があっても不思議ではないですが・・・良し悪しですね。
内容によってはむしろ悪化させるような事も書かれていますから精査する事が必要ですね。」
「なるほど。
で、エリカさんはどうして民間療法の本が欲しいのですか?」
「王都にある物だけだと本当かどうか・・・
一度地方にある同種の本を読んでみて合っている物は信用度が高いのではないかと考えています。
それにそういった事を知っておくと領地に異動した際に地元の人達に広められるでしょう?
まずはそういった事を広めるよう努力して信用を積んで行かないといけないかと。」
「ふむ・・・パナ、エリカさんが居る内に実用出来そうな内容かを確認してください。」
「わかりました。
エリカ、今夜にでも部屋に行かせて貰います。」
「え・・ええ、ですけどまだ本があるかどうかもわからないですよ?」
エリカが首を傾げる。
「パナ、私にも結果を教えてください。」
「わかりました。」
「アリス、ここからエルヴィス邸までの間で行ける本屋は何軒ありますか?」
「・・・雑貨屋も含めれば4軒はいけるかと。」
「本屋のはしごは初めてですね。
雑貨屋かぁ・・・パイプの葉も買いますかね。」
「さ!時間もありません。
行きましょう。」
「あ~・・・1軒目か2軒目であると良いなぁ。」
アリスとエリカが歩き出す。
「さてと・・・ヴィクターはどうしますか?」
「私は一旦総監部の方に戻ります。
親方やハワース商会によって先ほどの話をしてまいります。
夕食前には報告に上がるかと。」
「わかりました。
ヴィクターも気を付けて。」
「はい、畏まりました。」
ヴィクターが恭しく礼をして武雄と一緒に城門へ向かうのだった。
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