第1204話 気分一新、マイヤー達を出迎えよう。3(子供達に人気。)
マイヤー達が兵士達とやり取りをしている。
「キタミザト様、この度は主人達を召し抱えていただきありがとうございます。」
年齢が高めの女性・・・婦人達が武雄に近寄って来る。
「えーっと・・・奥様方ですか?」
「はい、よろしくお願いいたします。」
「いえいえ、無理を言ってこっちに来て貰ってありがたく思っています。
軍務的な事もこなしますので万が一というのはありますが、そこは覚悟だけはしておいてください。」
「はい、王都守備隊に・・・いえ、騎士団等に所属していた時代から覚悟は出来ております。
それは私達家族全員がわかっております。」
「すみませんね。
私も出来るだけ危険地帯には近寄りたくはないのですが、国から命令が出てしまうとどうしてもね。」
「はい、わかっております。」
「申し訳ありません、私は基本的に旦那方との接点になるでしょうか。
アリス。」
「はい、皆様、この度は引っ越しご苦労様です。
タケオ様の妻でアリス・ヘンリー・エルヴィスと申します。
アズパール王国から騎士の爵位を頂いています。」
「「「はい!」」」
婦人達が緊張する。
「あとは任せます。
あ・・・引っ越し歓迎会は後続組が到着してからになります。
場所は未定ですからそれは追々お知らせします。」
「はい、ありが・・・とうございます。」
「では、私はこれで。」
武雄はアリスを残して各幌馬車に向かって行く。
「あの~・・・アリス様。」
「はい、なんでしょうか?
歓迎会ですか?食べられない物はありますか?」
「あ!なんでも食べれますから。
いえ、そうではなくて・・・その子供と握手していただけますか?」
「え?・・ええ、良いですけど。」
「良かった、すぐに呼んできます!」
「あ、私も!」
と婦人達が幌馬車に走って行く。
------------------------
2台目の幌馬車。
「アーキンさん、ミルコ、事故が無いようにね。」
「お任せください。」
「はい!」
アーキンとミルコが頷く。
「あの~・・・おじさん、お父さんの上司?」
子供が荷台から御者台に顔を出して聞いて来る。
「そうですよ~。まぁ実質は同僚でしょうけどね。
お嬢さんはどちら様ですか?」
「私はエルザ・マイヤーです。」
「あ~、マイヤーさんの娘さんですか。
旅はどうでしたか?」
「王都を出たのが初めてだったので見る物が全て新しかったです。」
「何か驚いた事ありましたか?」
「ドラゴンが居ました。」
「ん?」
「途中の村でキタミザト様の部下さんが来てドラゴンになって帰りました。」
「んん?」
「初めてドラゴンを見たんですけど、凄かったです。
男の子がオロオロしていて楽しかったです。」
「ん~?」
「またドラゴンに会えるんですか?」
「いえ・・・あそこに居ますけど。」
武雄がビエラに顔を向ける。
「あ、村に来た子だ。
・・・あの~・・・どっちの子ですか?」
「獣人の子がドラゴンですよ。」
「わかりました!
あ~・・・でもお母さんから幌馬車を降りちゃダメって言われているんです。」
「機会は今日だけではありませんよ。
あの子も普通に街中を歩いているので会えると思いますよ。」
「この街はドラゴンが出歩いているのですか?」
「エルフも獣人も居るので問題はありませんよ。
別に悪い事もしていませんし、普通に暮らしていますよ。
それに人間だけでなく他の種族も居た方が楽しそうでしょう?」
「確かに、ならまた会えますよね?」
「ええ、会えますよ。」
「わかりました。」
エルザが頷く。
「アリス様が居るから挨拶しましょう!
さ!早く!」
幌馬車の後ろから奥さんの声が聞こえる。
「はい!おじさん、またね!」
「はい、また。」
エルザが後ろに行ってしまう。
「・・・あの子、所長の事をわかっていませんね。」
アーキンがアリス達の方を見ながら言う。
「子供はあれで良いんですよ。」
「そういう物ですかね。」
「ええ、ミルコ、この後も頑張りなさい。
私はアニータの方を見て来ますね。」
「はい。」
武雄がアーキン達の幌馬車を去って行くのだった。
・・
・
子供達が奥様方に連れられてアリスと握手をしている。
子供は直立不動だ。
「いや~鮮紅殿は人気ですね。」
ブルックがアリス達を見ながら言う。
「そうみたいですね。
全く実感がありませんが。」
「ですね。」
ブルックの呟きに武雄とアニータも不思議そうにアリス達を見る。
「この街ではアリス殿は普通に歩いていますし、街の人達もアリス殿が居るのが普通ですから特別感はないでしょうけど。
ん?・・・そう言えば王都では顔が知られていませんでしたから人だかりも出来ませんでしたね。」
「この間の特産品祭りの際には街の人達から祝福をして貰いましたけど・・・
実際はアリスは貴族ですし、表立って何かある訳ではないでしょう。
まぁその辺はあの程度で済んで良かったのだと思っていましたけどね。
そう言えば、特産品祭りの時どこに居たのですか?」
「あ~・・・屋台の通りがあったじゃないですか。
私達はあそこに居ました。」
「ん?屋台通りですか?」
「はい、屋台と屋台の間でいろいろ食べていましたよ。
立ち食いです。
ですが、もう少し種類があったら良かったですね。
次回に期待します。」
ブルックが楽しそうに言う。
「楽しんだのなら良いです。
次回は中濃ソースやマヨネーズで変わった味も出るでしょうね。」
「え!?所長、とうとうマヨネーズが外に出るんですか!?」
「ええ、まずは研究所の喫茶店で販売となる予定を料理長と話していますよ。」
「・・・入荷したらすぐに買おうっと。帰り・・いや朝一で買うか。
あ、マイヤー殿達が戻って来ましたね。
では、所長、また明日。」
「明日かはわかりませんが、また。
アニータ、仕事頑張りなさい。」
「はい!」
武雄が幌馬車を後にするのだった。
ここまで読んで下さりありがとうございます。




