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第1197話 さて、出立。(魔王国の幹部。)

「すみませーん、遅れました。」

ヴァレーリ達が店に入って来る。

「あら?ダニエラちゃん。

 遅かったわね。」

「いや~・・・準備に手間取ってしまいまして。

 ん?」

ヴァレーリがカストを見る。

「グラートです。

 カスト伯爵様の執事をしております。」

カストが頷く。

「これはこれはグラート殿。

 私は陛下の侍女のダニエラ(・・・・・・・・・・)です。

 以後、お見知り置きを。」

「はい、畏まりました。

 で、その後ろは?」

「私の同僚のタローマティと。」

「フレッディと言います。

 今回はダニエラ殿の護衛をいたします。

 他にも数名ですが、同行させていただきます。」

この男、ラニエロ・フレッディといい魔王国 第1軍指揮官であり、王軍幹部だった。

そしてそんな男が動くのなら護衛達は精鋭だったりする。

「はぁ構わないけど・・・ダニエラちゃん、どうだったの?」

「んー・・・割とすんなりいきましたよ?」

「「すんなり?」」

タローマティとフレッディが首を傾げる。

「・・・割とすんなりです!

 あ、おばさま、気になさらないでください。

 ちゃーんと許可は出ていますから。」

「まぁ、王城が良いと言うなら・・・

 じゃあ、エルヴィス領に向けては私とカールラさん達とダニエラちゃん達ね。」

「私も行きましょう。」

カストも頷く。

「・・・シモーナさん、この人数で向かうから。」

「わかりました。

 私は先に戻って輸送の手配をします。

 おばさん、着くまでに堅魚のお金を決めておいて下さい。」

「了~解~。」

「では、皆さん、私達の領地でお待ちしています。」

「はい。」

「道中お気をつけて。」

「よろしく頼む。」

「はい、では。」

とシモーナが店から出て城門の方に走って行く。

「さてと・・・私は幌馬車の最終確認をしてきますから。

 皆さんは少し待っていてください。」

レバントが店を出て行く。


「・・・今のご婦人は馬を使わないのか・・・」

カストが不思議そうに呟く。

「カスト、彼女はファロン伯爵(・・・・・・)の親類だ。

 獣状態の方が速いのだろう。」

「ファロン殿の。

 ・・・惜しい御仁を亡くしましたな。」

「惜しいどころではないさ。

 ・・・全く・・・あいつも我の後任を任せられる人材の1人だったのだがな。」

「・・・そうですね。

 ファロン殿は武功自体はありませんでしたが、内戦もなく他の領主達とも問題なかったですね。

 アズパール王国への睨みもしっかりとしていました。

 アズパール王国との休戦協定を唱えておいででしたが、実際の落としどころは消極的な戦争の継続としておりましたし、その線では賛同する者もいたでしょう。」

「だが、今は居ない。

 今居る人材で何とか後任を選定してくれ。」

「陛下が名指しされれば良いのでは?」

「それだと軋轢にしかならん。

 前に言っただろう?『誰もが認める成果』を出した者がなれば良い。

 そう言った意味でもファロンは運営的な成果を出せたかもしれない人物だな。」

「ファロン子爵の方はどうでしょうか?」

「我が言うのもなんだが考えが浅いなぁ~・・・

 今回のアズパール王国との交易でもブリアーニ王国も巻き込んでこれだけの種類の輸出、輸入をするんだ。

 今は数は少ないが、後々に起こりうる事をちゃんと理解し、報告と展望をまとめる事が出来るのなら誰もが認める成果となりはしないか?」

「・・・確かにそうですね。

 陛下は今のファロン子爵殿では難しいとお思いなのですね?」

「ん~・・・武力を使う事を念頭に置かれてしまうとな・・・

 奴もだが、魔王国全体を見ると『力が全て』と見ている者が多い、もう少し『武力も含め経済も合わせて力』と考える人材が欲しい所か。

 次期王が戦争拡大を望まねば良いがな。」

「そうですね。」

「で、カスト。

 お前は何しにアズパール王国に行くのだ?」

「陛下が他国に行って問題無いようにです。」

「カールラの方も精鋭のみみたいだが?」

「陛下・・・逆にお聞きしますが、女王が連れている者が精鋭でない事があるのでしょうか?」

「・・・それもそうだな。

 だが、我の側近はフレッディが務めるぞ。

 大した問題にはならないと思うがな。」

「それでもです。

 陛下が行くのを知っていて供回りのみで行かせられる訳ないでしょう。

 それにブリアーニ女王陛下もいらっしゃる・・・これを私達が放置してはなりません。

 これが知られたら他の領主達に怒られるでしょう。」

「我は赤子ではないぞ?

 襲われても我一人で勝ち残れる武力はあるつもりだが?」

「・・・逆です。

 陛下が暴走しないために我らはいるのです。」

「ん?」

「陛下が本気を出せばアズパール王国のエルヴィス伯爵領は灰燼に帰します。

 陛下が戦わずにすむように我らが居るのです。

 やり過ぎない為に!」

「・・・我も手加減ぐらいは出来」

「「出来ませんね!」」

カストとフレッディが即答する。

「出来るわ!」

「・・・はぁ・・・ダニエラ・・・いえ、ヴァレーリ殿が出来ると考える方が難しいです。」

ブリアーニがため息交じりに言う。

「カールラまで・・・我は出来るぞ!

 ・・・うん、出来る!昨日も第2軍相手に出来たし!」

「7割の兵士を医務室送りにしましたがね。」

フレッディが真顔で答える。

「死者はいない!ケアで治った!

 これで十分!手加減だ!」

「あぁぁぁ・・・」

ブリアーニが額に手を当てため息を漏らす。

「陛下・・・万が一は私とフレッディ殿と精鋭が迎え撃ちますから。

 何卒!前に立たないように!

 一国の運命がかかっているのです!」

「・・・わかった・・・アズパール王国の為に我慢しよう。」

「ええ、アズパール王国の為です。」

「何とかしますから。」

「むぅ・・・」

ヴァレーリがむくれるのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] なんだ、ただひまって訳じゃなかったんだ。 心配性だなぁ~、だいじょ~ぶ、アズパール国には最強種が・・・・・ ・・・・・(妄想中)・・・・・ ・・・・・(破砕音と共に「あ~~♪」と嬉々とした声…
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