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第1194話 王都への愚痴。(愚痴と贈り物を考えよう。)

「まぁ・・・王都は要請と文句しか言わぬのは毎度の事だけどね。」

テンプル伯爵が苦笑している。

「そうなのかの?

 わしらは納税をしていればこれと言って言っては来ぬがの?」

「ええ、俺の所も要請等は来ていますけど、エラとグレンダのように毛嫌いする事はないと思うんだが。」

エルヴィス爺さんとゴドウィン伯爵が首を捻る。

「実際、うちの領地に文官も武官も王都からの紹介で入れた事があるんですけどね。

 どうも王都に勝手に報告をしているんですよね。」

テンプル伯爵が難しい顔をさせながら言ってくる。

「そうなのですか?」

アリスが聞いて来る。

「ええ、私達が故意に報告しなかった事も向こうは知っていましたしね。

 なので、タケオさんの部下が王都の兵士と言われるとまた何かするんじゃないかと。」

「ちなみに・・・どこの部署からですか?」

武雄が聞いて来る。

「第2騎士団と財政局でしたね。」

エルヴィス爺さんとアリスと武雄は声に出さないが「第2騎士団?」と思っている。

「タケオさんの所は王都守備隊でしょう?

 王都の息はかかってないの?」

「んー・・・王都の息はかかっていないと思いますよ。

 王都の息はかかっていなくても陛下の息はかかっているかもしれませんけど。」

武雄が考えながら言ってくる。

「王都守備隊は陛下の直轄組織・・・でも元は皆騎士団なので、軍務局の意向があるのではないですか?」

テンプル伯爵が聞いて来る。

「んー・・・ベテラン組は長年王都守備隊に在籍していた人達なので王都よりも王家に忠誠を誓っているのでそういった素振りは見せないですね。

 でも・・・そうか、王家の意向ではなく王都の意向で動く者もいると認識していた方が良いのですね?」

「ええ、王都の意向で動く者はちょっと厄介ですよ。」

テンプル伯爵が言ってくる。

「はぁ・・・そこまで嫌うとは・・・

 エルヴィスさん、フレデリックさん、うちの部下何かしていますか?」

「わしは何も聞いていないがの。」

「私も・・・特に何も・・・

 毎日、裏城門の試験小隊の訓練場でアニータ様とミルコ様が泣きながら魔法の訓練をしているようだとしか報告されていません。」

「・・・すみません、フレデリックさん・・・アニータとミルコが泣きながら・・・ですか?」

「ええ、警備している兵士が朝はどんよりした顔の2人と夕方戻って来る時には何度か泣いて目を腫らした2人を見ているそうです。

 2人への教育方法は聞いていますか?」

「いえ・・・全て任せています。

 今度様子を見に行きます。」

武雄が驚きながら頷く。

「アーキンさんとブルックさんが2人が泣くぐらいの訓練をさせるんですかね?」

アリスも印象が違うのか首を傾げる。

「うむ・・・あまり無理をさせる物ではないのじゃが・・・魔法師として必要な経験なのかもしれぬの。

 タケオ、一度見に行ってきた方が良いの。」

「はい、行ってきます。

 と、エリカさん、話が逸れましたけど他にもあるのですよね。」

武雄がエリカに話を振る。

「はい、王都への愚痴については聞かなかったことにします。

 さて、移動日については11月中以降で決まり次第お知らせしますが・・・

 異動祝いというのがあると王都で聞いています。

 えーっと・・・第1皇子一家と第2皇子一家が領地に異動した際も周辺の貴族はお祝い品を持参したとのことなのです。」

「ふむ・・お祝い品とな。」

「了解しました。」

「何を送りましょうかね。」

3伯爵が考える。

「・・・エリカさん、ちなみになんですけど・・・ウィリアム殿下は何が欲しいと言っていましたか?」

武雄が聞いて来る。

「・・・そのぉ・・・異動直後だと食べ物をいっぱい貰っても保管が大変だから・・・お金の方がと・・・」

エリカがボソッと言う。

「「「・・・」」」

3伯爵が難しい顔をさせている。

「はぁ・・・気持ちはわかりますが、お金は上限がわかりませんので、気持ちとして物を送ります。」

武雄がため息交じりに言う。

「はい・・・殿下達にお伝えします。

 キタミザト様は何を?」

「んー・・・麦茶にウォルトウィスキーにウスターソースに中濃ソースそして懐中時計が候補ですかね。」

「タケオ!わしの分も考えてくれるかの!?」

「・・・エルヴィス家として麦茶とウォルトウィスキー、キタミザト家は懐中時計とウスターソースにしますか。」

「そうじゃの・・・2品をご祝儀で持って行こうかの。

 タケオ、良い考えじゃ。」

「はい。」

武雄とエルヴィス爺さんが頷く。

「んー・・・うちはやはりポクポク肉になるだろうな。

 あとは・・・この1年で何か考えた方が良いか。

 少なくとも肉は確実だ。陛下への献上品の一つだからな。」

ゴドウィン伯爵が頷く。

「うちは・・・半自動干物製造機と各種干物をお送りしましょう。」

テンプル伯爵が言ってくる。

「「半自動干物製造機?」」

エルヴィス爺さんとゴドウィン伯爵が聞いて来る。

「ええ、元々はウィリプ連合国で売っていた物なのですけどね。

 今ではうちでも作っています。

 干物を作るのを早める機械なんですよ。

 これがあれば屋敷で出来たてを食べれます。」

「ほぉ。面白そうじゃの。」

「干物かぁ・・・肉にも出来るのか?」

「出来ますよ。

 手でグルグル回して乾かすんです。

 1日回していれば出来るようになっています。」

「・・・1日?」

「ええ、1日です。」

「ずっと?」

「ええ、ずっとです。」

「・・・そうかぁ・・・」

ゴドウィン伯爵がテンプル伯爵の言葉にガックリとする。

その横で武雄は「・・・そういえばカトランダ帝国で買ったよね」と思うのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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