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第1192話 145日目 出立。(スミスとジーナは旅に出る。)

朝食後の玄関。

エルヴィス家の馬車と王都へ派遣される兵装の20名が居た。

馬も十数頭居る。


「では、お爺さま、行ってきます。」

「うむ・・・イジメに注意するのじゃぞ?」

「お爺さま、旅の安全の方は気になさらないのですか?」

「いや・・・兵士や騎士団が90名近く同行するのに危険も何もないじゃろう。

 それに移動中はジーナもいるし、パラスもマリも居る・・・何を怯えるのだ?

 あと王都ではフレッドとロバートの所の元騎士団長達が居るからの治安はそれほど心配はしておらん。」

「あぁ、何かあればスタンリーを頼れ。

 それにスタンリーの所は同い年の息子が居たはずだ、寄宿舎でも仲良くな。」

「うちのバッセルも居ますからね。

 バッセルはゴドウィン伯爵の所のボールド男爵とも仲も良いのでその2家とはそれとなく連絡を取っていて欲しいかな。

 力になってくれるように依頼はしておくからね。

 それに何かあれば同時に教えられるだろうしね。」

「うむ、そうじゃの。

 何か連絡があるなら一斉に2家とスミスの所に一報が入るじゃろう。

 じゃが、スミスはまだ未成年じゃからの。

 何かするという事はないと思うが・・・話は出来るようにしておいて欲しいの。」

「はい、わかりました。

 お爺さま、ゴドウィン伯爵様、テンプル伯爵様、行ってまいります。」

「うむ。」

「頑張ってな。」

「体に気を付けて。」

3伯爵が言葉を掛けている。


「うぅ・・・ジーナが行ってしまいます。」

「ですね・・・はぁ、寂しいですね。」

武雄とアリスはジーナを前にしんみりとしていた。

ヴィクターは2人の後ろに立って武雄達を見ている。

「いや、ご主人様?アリス様?お父さまならわかるのですが、なぜにお二方がしんみりしますか?

 むしろお父さま、なぜにしんみりしないのですか?」

「ヴィクター、心配?」

アリスが聞く。

「心配と言えば心配ですが、ジーナは出来た娘ですから勉学もお付きの仕事についても心配しておりません。

 ですが、その性格が仇になって友人が出来ないのではないかと・・・そちらの方を心配しています。」

「お父さま、それは喜んで良いのでしょうか?

 それとも怒れば良いのでしょうか?」

「まぁ、ジーナちゃんですからね~。」

「ア・・・アリス様?お父さまが言っているのに同意されるのですか?」

「ええ、だって1か月近く一緒にいますけど、仕事以外で他の人と遊んでいるのを見た事ないですから。

 仕事上は大変上手く応対をしていますから何にも問題はないのですが・・・んー・・・やはり同じくらいの精神年齢の方と友人になった方が良いですね。」

「私は仕事に邁進していただけです。

 ・・・居ますでしょうか?」

「割と難しいかなぁ?」

ジーナが聞き返すとアリスが苦笑を返す。

「それを見つけるのが王立学院に行く目的ですからね。

 ・・・ジーナ、難癖を付けられたり、スミス坊ちゃんをネタにして交際を迫って来たら問答無用で斬り付けて良いですからね。」

「ですね!ジーナちゃんはモテそうですからね!

 気を付けないといけませんよ!」

「え~??私はお付ですが・・・」

ジーナが首を傾げる。

「一般男性にとっては貴族のお付の女性とは手が届く中で最高級の相手ですよ!

 油断してはなりません!あの手この手で交際を迫って来るはずです。

 そうですよね?ヴィクター?」

「父親である私に聞かれても返答に困りますが・・・

 まぁ主の言う事もわからなくもないかと。」

「そういう物なのですか・・・わかりました、気を付けます。」

「何かあったらすぐに私に報告する事、出来るだけ早く支度をして王都に行ってあげますからね。

 ふふふ・・・ジーナに手を出すならまず私とヴィクターの面接を通ってからにして貰いましょう。」

「・・・タケオ様、私も変な男性がジーナちゃんに付くのは反対ですが、タケオ様とヴィクターの面接って難関中の難関ではないのですか?」

「・・・私は話が聞ければ良いですが、主が何をするか心配ですね。」

「・・・別に何かするわけではありませんよ。」

「「・・・」」

アリスとヴィクターが無言で武雄を見ている。

「・・・ちょーっとビエラに頼んで成獣になって貰って目の前に立たせたいなぁと・・・」

「はぁ・・・それだとジーナちゃんに恋人が出来ませんよ。

 もっと穏便にしてください。」

「むぅ・・・なら話をして真意を聞き出す方法を考えますか・・・」

武雄が考える。

「はぁ・・・ご主人様、私は友人は作っても恋人は作らないと思います・・・心配し過ぎです。」

「・・・そう言っている者がさっさと彼氏を作ってしまうんですよ。

 ガードが堅いと思っていても実は心の壁をこじ開けられたら無防備なんですよ。

 はぁ・・・ジーナに彼氏かぁ・・・王都から戻ってこなかったらどうしましょう・・・」

武雄がガックリとしている。

「はいはい、その時はその時ですよ。

 ジーナちゃんが幸せなら良いじゃないですか。」

「それはそうですけどね・・・んー・・・

 ジーナこれは餞別です。」

と武雄が長方形の皮のケースをジーナの前に置く。

楽器が入るようなケースだ。

「さっきからご主人様の横にあったので気になっていたのですよね・・・

 ご主人様、開けても良いですか?」

「どうぞ。」

「では・・・」

ジーナは開けてすぐに勢い良く閉める。

「ご・・・ご主人様!?」

ジーナが驚愕の顔をさせている。

「小銃改1(スコープ付)が1丁、小太刀2振り、警棒5個です。」

武雄が中身を話している横でアリスは「こりゃ大変だ」と思っている。

「パラス、後はお願いします。」

「タケオ、わかりました。

 超長距離射撃の訓練はさせようと思いますが・・・たぶん週末だけでしょうね。」

「それでも構いませんよ。

 まぁある程度使えるようになれば良いです。」

「ご・・・ご主人様の主装備なんですけど・・・」

「私はまた作れば良いですからね。

 そうそう、それは約500mで照準が合っています。

 スコープの見方等々はパラスに聞けばわかりますよ。」

「はぁ・・・わかりました。」

ジーナがぎこちなく頷くのだった。


「では、行きましょうか。」

御者台に兵士が乗るとジーナとスミスが馬車に乗込む。

「出立します。」

「行ってきます。」

「気を付けて。」

「まぁまた王都で会いましょうね。」

スミスがそう言うとアリスと武雄が言葉をかける。

馬車は屋敷の敷地を出て行くのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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