第1190話 反省会(エルヴィス邸での確認。)
エルヴィス邸の客間にて。
「いや~、先に屋台を回って正解だったな。」
「ええ、ですが・・・ゴドウィン伯爵、食べ過ぎですよ。」
「肉、肉、野菜、肉、肉だったな!
うちの兵士達もいっぱい食べていたし味も良かったな。」
「ウスターソースと塩だったね~。
もう少し変わった物があっても良かったと思うけど最初だからかな?
皆さん、無難だったよね。」
「あれはうちでも出来そうだね。
うちなら魚と肉とバランス良く売っていそう。」
ゴドウィン伯爵とテンプル伯爵夫妻が祭りの事を思い出しながら話している。
「お主達はいつ戻るのかの?」
「親父殿・・・明日の午後には出立しようかと。」
「私達も同様に。」
ゴドウィン伯爵とテンプル伯爵が答える。
「エリカ殿はどうするかの?」
「私は申し訳ありませんが、あと数日はいさせて頂けますでしょうか。」
「うむ、構わぬぞ。
さて・・・タケオ、参加した方からしての手ごたえはどうじゃった?」
「良かったですね。
1500名以上の来場は凄い事だと思います。
これが半日、1日、2日と伸びたらどうなるのか・・・」
「ふむ・・・文官の若手達がどう考えるか楽しみじゃの。」
「次回開催が決まれば良いのですが・・・こればかりはこちらがやりたいと言っても実際に動く文官達がもうしないと言えば出来ませんからね。」
「そうじゃの。
じゃが・・・広場で見ていたが大きな問題はなさそうだったがの。
あとは費用と労力かのぉ。」
「お爺さま、各町の方はどうだったのですか?
結局、私もタケオ様も見に行けませんでしたので雰囲気がわからなかったのです。」
「遠目だから実際はわからぬが・・・東町があまり人はいないようじゃったの?
皆はどう思うかの?」
エルヴィス爺さんがゴドウィン伯爵達に聞く。
「えーっと・・・東町・・・あ、あの川魚だな。
外で食べたからなのか座って食べるよりも美味しかったぞ?」
「ええ、焼き魚をビネガーに漬けた物でしたね。」
「魚をビネガーに漬けるというのはコースではあるけど、なかなか屋台ではでないわよね。
珍しかったね。」
「私はちょっと食べ辛かったかなぁ。
味は良かったけどね。」
「ふむ・・・携帯に不便だったという事ですね。」
武雄が頷く。
「あと南町は人が居たの。」
「あそこは・・・パスタですね。
うん、あそこは美味しかった。
カボチャの味がほんのりしたのが良いわ。
ソースも少し濃い目で美味しかった。」
「だけど、あそこ結構早くに店じまいしちゃったよね。」
「売り切れちゃったんだろうね。」
「北町と西町は行列が出来ているようには見えなかったかの。
切れ目は無かったと思うが・・・混んでもいなかったのじゃ。」
「そうなんですね。」
「集計がどうなるか楽しみじゃの。」
武雄とエルヴィス爺さんが楽しみに待つのだった。
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エルヴィス邸がある街の庁舎の一室。
今回の特産品祭りの主要部局の担当課長以上が集まっていた。
「とりあえず終わったな。
環境局と整備局が片付けに奔走しているか。」
「経済局の方が投票用紙の確認作業を明日から始める予定で回収箱を局内に回収しています。」
「先ほど、残飯が予想以上に出ているとの報告があったのでキタミザト家の夕霧殿達に応援の要請の為、キタミザト家及びフレデリック様には一報を入れ、夕霧殿から快諾を得ています。」
「そうだな・・・事業の方で処理をして貰おうか。
伯爵邸に持って行くわけにもいかないだろうし。」
「はい、そのように手配をします。」
「軍務局からは何かありますか?」
「目立った大きな事故、事件はありませんでした。
ですが、当初予想していたよりも迷子が多かったと担当者が漏らしていました。」
「迷子ですか・・・んー・・・人が多く集まると増えるのでしょうかね。」
「はぁ・・・こればっかりはなぁ。
いろいろと不足だったのだろう。」
「今回が初めてだったですからね。
準備不足と想定不足と言われてしまうとそうですとしか言えません。」
「だが、実際は良くやったぞ。
この規模の催し物は初めてではなかなか上手く行かないだろうからな。
今後の若手の成長が期待できると思うがな。」
「そうですね。
次回があるなら今回の事を糧にまた変わった事をするのだろうな。」
「集計はいつ頃出せるだろうか。」
「キタミザト家とエルヴィス家、各局と4町向けには今週中にはまとめたいと思います。
一般向けには内容を少し絞りますが、来場者や人の移動状況、屋台の投票結果等の情報をお渡し出来ると思います。」
「人の移動状況か・・・
総務局の若手がやったみたいだが・・・局長としてはどうですか?」
「遠目にヴィクター殿が屋根の上に陣取っていたと聞いていますが、私達は各所に人員を配置して確認しています。
ステノ技研での懐中時計を見ながら指定された時間の状態を記録していると思いますので時間毎に集計をすると思います。」
「はぁ・・・なんで懐中時計が総監部と総務局が優先なんですか?
うちの局にも優先権くださいよ。」
「・・・数が回ってこないんだよなぁ・・・エルヴィス領向けには10個と決まっているらしい。
王都にも卸しているそうだし・・・あそこの職人が増員される事を祈るのみだな。」
「早く買えないかなぁ~。」
「「「欲しいよなぁ~。」」」
文官達も人の子です。
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