第1171話 立食会。7(嫁は放置。)
盛り上がっているアリス達は置いといて武雄とエルヴィス爺さんがその他の出席者達のテーブル(まだ協力要請していない組合長達)に来ていた。
「キタミザト様、本当におめでとうございます。
アリスお嬢様をお願いします。」
「ありがとうございます。
2人で・・・いや、私の部下共々皆様に支えられているからこうしていられるのです。
これからもお付き合いの程をお願いします。」
武雄ととある組合長が話している。
「伯爵様、アリスお嬢様が念願のご成婚、本当に我ら組員全員が喜んでおります。
そしてキタミザト様という優秀な方に嫁げたこと、何よりの喜びかと存じます。」
「うむ、そうじゃの。
アリスにはやきもきしたからの。
これでわしも一段落じゃ。
じゃが、これからウィリアム殿下達の移動もある。
いろいろ変わる時期なのじゃろうの。」
「はい、商機がある可能性があります。
私達も乗り遅れないように知識面、輸送面の見直しを始めました。」
「ほぉ、知識面で新たな事がの?」
「はい、王国の西方より書物を取り寄せています。
今までの蓄積も大事ですが、国全体でどういった物が出回っているのかを知らないといけないと思いました。
キタミザト様の協力店や工房を見習い我らも他領に売れる物を考えて行こうという事になりました。」
「ふむ・・・確かに幅広い知識は必要じゃの。
だが急いではいかん、まずは街から次に領内、周辺の貴族領そして王都と順々にしていかないとの。」
「はい。」
エルヴィス爺さんもとある組合長と話している。
「キタミザト様、これから必要になる魔法具はなんでしょうか。」
「どんな魔法具が必要か・・・難しい問いですね。
これから皆さんの生活に溶け込む魔法具も必要ですし、戦に必要な魔法具も必要となるでしょう。
例えば・・・このスイーツを今日作ったとして同じ鮮度で隣のジェシー殿の所まで届けることが可能になる魔法具も出来るかもしれませんし、切れ味が変わらない包丁も出て来るかもしれない。」
「キタミザト様でも先の事はわからないのですね。」
「誰しも先に起こる事を知りたいというのはわかりますが、実際になにが起こるかはわかりません。
ですが、何をしたいか、未来をどうしたいかという目標は皆が頭の中にあるのは確かです。
その目標が実は未来の事です。それを成し遂げたという事が先の事を読んでいたと言われる結果を招いているということでしょう。」
「んー・・・何をしたいか、どんな未来にしたいか・・・ですか。」
「ええ。その目標に皆が賛同すればその通りになりますし、もしかしたら誰かの目標の方が皆に賛同され、自身の目標とは違う未来になってしまうかもしれませんが・・・
それは目標が悪かったのか、成果が悪かったのか・・・それはのちのち考えれば良い事ですよ。
今は自分が思っている目標を達成できるように努力していくしかないのです。」
「キタミザト様も自分が思うような未来にならない可能性があると?」
「はい、だからこそ手広くやっているのです。
専門の店や工房に具体的な事をお任せし、私は進捗状況や製品の出来栄えを見て未来が私の考えている方向に行っているか確認をしているのです。
どれかが倒れてもどれかが生き残れば良いと。
まぁ・・・全部が生き残れば良いですけど、生き残れるかは私だけの努力ではなく、店や工房の努力も必要でしょう。
あと実際に買ってくれる人達の経済動向や意識動向をしっかりと見定めないといけないでしょうけどもね。」
「しっかりと街や地域を見る必要があるのですね。」
「ええ、どんな物も独りよがりの製品は残っていかないと思いますね。」
「なるほど・・・わかりました。
私達も動向を見据えて物作りをして行こうと思います。」
「ええ、私も努力していきます。」
武雄が話している。
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アリス達はというと。
誰がとは言えないが、追加で輪に入った者達も含め全員が顔をテーブルに伏せていた。
「タケオなら抱かれても良いという人・・・はい、挙手!」
コノハの言葉で誰かが手を上げる。
その様子をコノハが見渡し頷いている。
「はい・・・下げて・・・これから肩叩いた人は先に戻って良いわよ・・・
・・・はい!皆、顔を上げて良いわよ。」
「コノハ!結果は!?」
アリスが聞いて来る。
「さっき皆に言った通り、守秘義務よ。
アリスにでも答えられないわ。」
「そんな!?」
「とりあえず、皆さんの意向はわかりました。
パナちゃん、テトちゃん、ニオ、マリ協力ありがとう。」
「うむ・・・面白い結果だったな。」
ニオが腕を組んでいる。
「そうね~・・・大変ね、アリス。」
テトがアリスを慰める。
「え!?大変なの?」
「こら!テトちゃん!言わない!」
「は~い。」
テトがコノハに怒られる。
「はぁ・・・で、これだけ大々的にしても周りにはわかっていないのよね?」
「そうよ~5神の加護は凄いんだから。
このテーブルの回りだけでなく、各個人の息の音まで完全遮音と完全擬態をしているわ。
それに会話も姿も嘘情報が周りに流れているから問題ない。
テトちゃんとマリとニオが居て私とパナちゃんが後方で支援しているのに破って来る輩は居ないわよ。
同位の精霊が居れば出来るかもしれないけど、精霊が居れば私達が気が付くしね。」
「はぁ・・・まぁ、全く音や気配がなかったのはわかりました。
で?コノハは集計をしたけどどうするのですか?」
「・・・んー・・・アリスには今の段階では教えないわ。
アリスが妊娠した時にタケオの浮気防止の為に側室を入れるという話にでもなった時に教えるかな。
まぁそれまでエリカは我慢ね。」
「なぜ私を名指しに?」
「えー・・・だって~・・・一番の候補だし?
それにエリカはウィリアムの方で忙しいでしょう?
アリスが妊娠したとなればレイラの所から情報は行くしね。
それまでに良い男が出来て結婚していればそれも良し、それまでに居なかったらその時こそ本気で相談には乗るわ。
だから、まだシングルマザーを目指さない!とりあえず仕事して盤石な地盤を作りなさい!」
「わかりました。」
エリカが頷く。
「アリスも!妊娠したらタケオが不特定多数の女性に手を出さないように対策しないといけないからね。」
「わかりました・・・考えておきます。」
アリスが渋々頷くのだった。
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