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第1161話 魔王国でのやりとり。1(おや?面倒なことが起きそうだ。)

魔王国王都のレバントの店。

「おば様・・・ウォルトウィスキーの年度分を全数入荷させられませんか?」

簀巻きにされて座っている人物が目の前の白トカゲに言う。

「ダニエラちゃん。

 もう全部飲んじゃったの?それにあれは陛下用でしょう?」

そう簀巻きにされている人物こそ魔王国 国王 ダニエラ・セラオ・ヴァレーリその人であった。

「へ・・・陛下から下賜された本数では足らないのです!

 毎晩寝る前に確認はしているのですが・・・気が付いたら無くなっているんですよね。」

「毎晩飲んでいるからです。」

隣には涼しげな顔でタローマティがお茶を飲みながら言ってくる。

「ぐっ・・・

 おば様、多くしてください。

 そうすれば私への配給が増えるのです!」

「そんな事言われても・・・総数も多くして毎月決まった本数にして貰ったし・・・

 今月は来週末予定よ。」

「来週末・・・」

ヴァレーリが王城脱出計画を考え始める。

「そう言えばブリアーニ王国から連絡はあったわ。」

「ブリアーニ王国・・・確か米でしたね。」

「ええ、発送しましたとね。

 えーっと・・・500㎏を一気に送ったらしいわ。

 明日には届くみたいね。」

レバントが伝票と手紙を見ながら言う。

「明日ですか・・・」

「そ、あとはシモーナさんに転送すれば終わり。」

と。

「おばさん!」

シモーナが店に飛び込んでくる。

「あら?シモーナさん、お久しぶりね。

 今丁度話を」

「おばさん!これ!」

シモーナがレバントの話を遮って目の前に手紙を出す。

「ん?・・・何々・・・

 ・・・嘘でしょう?」

レバントがワナワナしている。

「どうしたのですか?おば様?」

ヴァレーリが聞いて来る。

「いや・・・珍味としてシモーナさん経由でエルヴィス領に送った干物を注文したいって・・・」

「良い事ではないですか。」

「・・・これはね・・・こういった物なのよ。」

レバントが棚から取り出してくる。

「・・・岩?木?・・・ですか?」

「えい!」

レバントが先端を割って飴玉程度の大きさをヴァレーリとタローマティに渡す。

2人とも口に含む。

「固っ!?」

「全然、柔らかくはならないですね・・・」

2人して難しい顔をさせている。

「これをエルヴィス領で毎月購入したいという連絡がシモーナさんの所にあった・・・

 というかここに書かれています。

 シモーナさん、ダニエラちゃん達に見せて平気?」

「はい・・・問題ないですが。」

シモーナがそう言うとレバントが手紙をタローマティに渡し、タローマティがヴァレーリに見せる。

「どれどれ・・・キタミザト家より堅魚の干物についての依頼。

 子爵家向けに15㎏、個人的に5㎏、合わせて20㎏至急送られたし、金額については今回は言い値で結構。

 今後毎月20㎏は確実に輸入して欲しいので1年間毎月納入した際の見積も同封願いたい・・・なるほど。」

ヴァレーリが懐かしい筆跡に「元気そうだな」と少し笑顔になる。

「おばさん!

 キタミザト家とエルヴィス家にはお酒の手配で無理言ってるから何とか20㎏調達して貰えない!?」

「・・・ちょっと待ってね・・・確か堅魚は・・・この本か。」

とレバントが棚から冊子を持ってくる。

「えーっと・・・仕入先はカスト伯爵領の商店ね。」

「「カスト伯爵。」」

シモーナとヴァレーリが同時に呟く。

一方は驚き、一方は表情を顔には出していない。

「確か、カスト伯爵領は魔王国の東部だったと思いますが。」

タローマティが言ってくる。

「今から注文しても早くても3週間はかかるわね。」

「おばさん・・・」

「ん~・・・シモーナさんの為にワイバーン連絡をするか。

 少量購入だけどエルヴィス家(向こうさん)の印象は良くしたいからね。」

「おばさん、ワイバーン連絡とは?」

シモーナが聞いてくる。

「緊急時、王都から各地方に送られる超高速伝令ね。

 本来は軍事用なんだけど・・・ちょっとお金をかけて王軍に頼むと送ってくれるのよ。

 練習という名目でね。」

「そんなのがあるのですか。」

「そ、でもこれは王都から地方の伝令にしかならないのよね。

 向こうがいくらで卸してくれるかは・・・返答がいつになるかはわからないなぁ。」

「そうですか・・・」

シモーナが難しい顔をさせる。

「タローマティ、紙とペンを用意しなさい。」

「はい。」

タローマティが紙とペンを用意しヴァレーリの簀巻きを解除する。

「・・・」

ササっとヴァレーリがペンを走らせる。

「ダニエラちゃん?」

レバントが聞いて来る。

「私は陛下の侍女です。

 私の要請であれば向こうも無下にはしないでしょう。」

ヴァレーリが手紙を書き終えてタローマティに渡すとタローマティがどこからか封筒を取り出し手紙を入れ蝋封してからヴァレーリに渡す。

「・・・ダニエラちゃん、良いの?」

「侍女の特権です。

 伯爵様も私の顔はご存知です、繋がりは持っていますから活用しましょう。」

「ダニエラさん!ありがとうございます!」

シモーナが頭を下げる。

「いえいえ、これもウォルトウィスキーの為です。」

「ウォルトウィスキー?」

「ええ。

 シモーナさん、出来ればで良いのですが・・・今年度輸入する残りのウォルトウィスキーを一括で輸送頂けますか?」

「・・・おばさん・・年252本・・・今月末のは輸送手配は終わっていますから・・・あと210本でしたよね?」

シモーナがレバントを見る。

「・・・ダニエラちゃん・・・必死ね。」

「分割も可!ですが、前倒すよう要請して欲しいですね。

 どうですか?」

ヴァレーリが封筒を振りながら言ってくる。

「んー・・・んー・・・

 前倒しの確約は出来ませんが、要請を努力するというのは確約出来ます。」

「シモーナさんの努力に期待しましょう。」

ヴァレーリがレバントに封筒を渡すのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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