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第1158話 挙式。(派閥ね。)

広間の扉前で武雄とアリスが出番を待っていた。

「はぁ・・・緊張してきましたね。」

「ですね。」

武雄とアリスの周りには執事やメイド達が居る。

その中で古参の執事やメイドは目に涙を浮かべていた。

「ちょっと・・・なんで泣いているのよ?」

「あの小さかったお嬢様が・・・

 まさかこの屋敷で式を挙げてくださるとは。」

「まぁ・・・当家で初めての(・・・・・・・)女子の挙式(・・・・・)ですけど。

 泣かないでよ。

 笑って、ほら笑顔で。」

「「はい、お嬢様。」」

と話している横で武雄が執事やメイド達一人一人と握手していく。

各々が「おめでとうございます」「よろしくお願いします」等々一言言ってくる。

最後にジーナと武雄は握手する。

「ジーナ、ありがとう。」

「ご主人様、おめでとうございます。」

その言葉を聞きアリスが皆の方を向く。

「皆、今までありがとう。

 そしてこれからもよろしく。」

「「はい、アリス様。」」

皆が頷く。

「では、行きましょうか。」

ジーナが扉に手をかけるのだった。

・・

指輪の交換や宣誓書にもサインを終わり終盤に差し掛かっている。

エルヴィス伯爵、ゴドウィン伯爵、テンプル伯爵、エリカの前に武雄とアリスが跪いている。

「今ここに妻を娶り、心持ちを新たにし、国家より頂いた使命を果たして参ります。」

「キタミザト家の一員として子孫繁栄に努力し、時代を積み重ねて参ります。」

武雄とアリスは宣言する。

「うむ。

 キタミザト卿、我ら4貴族はしかと宣誓を受け取った。

 その言葉を裏切らないよう努める事を願う。」

ゴドウィン伯爵がにこやかに言う。

実はこれエルヴィス爺さんが言う事になっていたのだが・・・さっきから泣いてます。

「「はっ!」」

武雄とアリスが深々と頭を下げる。


「最後に今回は特別に陛下よりお言葉を頂いています。

 私が名代で朗読させていただきます。」

とエリカが席を立ち武雄とアリスの前に立つ。

「キタミザト子爵、騎士エルヴィス、結婚おめでとう。

 先の息子達の挙式に続き、子爵の挙式と新年より慶事が続き誠に喜ばしい限りである。

 キタミザト子爵においては、アズパール王国(我が国)にはなくてはならない人材であり、素晴らしい伴侶を持つことで益々の活躍を期待する物である。

 仕事だけでなく、家庭においては励ましあい、また助け合い、支えあってより深い絆を結んでいってほしいと切に願う物である。

 昨日よりも今日、今日よりも明日が良き日になるのだと我は信じている。

 その理念を2人にも持って過ごして貰いたい。

 本日は誠に喜ばしい日だ。」

エリカに全員が最敬礼をし。

「「「アズパール王に忠誠を!アズパール王国に繁栄を!」」」

と唱和する。 

「伯爵方並びにキタミザト卿と妻アリスが退出されます。」

エルヴィス爺さんを先頭に上位者達がゆっくりとした歩調で退出する。

 

「以上を持って挙式を終わります。

 皆様、この後広間の模様替えを実施し、立食の会が催されます。

 しばしの間、庭にてご歓談の程をお願いいたします。」

ジーナが予定を言ってくる。


「あぁ~・・・結婚式良いねぇ♪」

「だね~♪」

エンマとフローラが満足顔をさせる。

「エンマ、フローラ、今は作物を作る事が一番ですよ。」

ボーナがにこやかに言う。

「「わかってる~。」」

「さて、この後は・・・」

ドナートが回りを見渡す。

「ベルテさん達、一旦庭ですよ。」

制服姿の鈴音が声をかけてくる。

「ええ・・・わかりました。

 私共も知っている誰か居ますかね?

 テイラーさんとか?」

「もう居ますね。

 まぁ今はたぶん」

「あ、スズネちゃん!いた!」

モニカが近寄ってくる。

「スズネちゃん、この後の立食の場所確保は重要に・・・

 こちらは?エルフ?」

「モニカさん、ベルテさんご一家です。

 武雄さんの農業部門をするんですよ。」

「キタミザト様の・・・私達の仲間ね!」

モニカが真剣な顔付きで言ってくる。

「え?」

「じゃあえーっと・・・ベルテさんご一家は私達と一緒のテーブルが良いだろうね。」

「え・・・ええ、お邪魔じゃなければ・・・」

「お邪魔じゃないわ。

 エルフと話せるなんてつい最近まで考えもしなかったのに。

 私長寿になっちゃうかも。」

「モニカさん、話しただけで長寿はあり得ませんよ。」

「わかってるわよ、スズネちゃん。

 でもそれぐらいエルフとは縁がないという事よ。」

「モニカさん、テーブルが云々と言っていましたが?」

「あぁ、そうそう。

 こういった立食の時はテーブルごとに派閥が出来るのよ。

 だから自分達のテーブルの確保は大事ということね。」

「派閥・・・?」

鈴音的には派閥に所属している気は無いのだが。

「そうそう。

 私達が第1派閥だろうね。

 次が仕立て屋組合と酒屋組合、後に続くのが他の組合もしくは商店かな。」

「私達?」

「そ。

 キタミザト様の依頼を一身に引き受けている私達よ。

 うち、ステノ技研、サテラ製作所、ベッドフォード夫婦、ローチとベルテさん達、ローさんとラルフさんは組合として参加みたいだね。

 まぁこの1、2、3・・・8店は最前列に立たないといけないかな。

 むしろ私達よりも前に他の者が立ったらキタミザト様にとってどんな功績があるのか問いただしたいわ。」

「面倒そうですね。」

「まぁね。

 これがスミス様の挙式だと様変わりするんだけど。

 今回はキタミザト様だからね。

 一番力になっている人たちが一番近いテーブルを確保するのが当然でしょう。」

モニカが頷く。

「その通りかと。」

「うわっ!ってジーナちゃん!」

ジーナがひょこっと現れる。

「ですが、一つ訂正を。」

「は・・・はい。」

「スズネ様とベルテ一家は協力者ではなく、

 スズネ様は研究所の研究員、ベルテ一家はキタミザト家農業部門の職員となり部下という括りになります。

 今日は一番後ろの試験小隊の方々のテーブルと同じです。」

「あ・・・なるほど。」

「・・・ですが・・・そうですね。

 ベルテ一家を後ろにするのは問題になりそうなので・・・ちょっと相談してきます。

 では、後程。」

ジーナが広間から出て行く。

「ジーナさん・・・なんだったのでしょうか。」

「さぁ・・・とりあえず庭に一旦行こうか。

 ベルテさん達も。」

「はい。」

鈴音達が庭に出るのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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