第1154話 ドラゴンの紹介。(料理人達の段取り。)
エルヴィス邸の客間。
「失礼します。
ビエラ殿達が戻りました。」
フレデリックがエルヴィス爺さんに言ってくる。
「うむ、戻ったか。
入って貰いなさい。」
とビエラとクゥが入って来る。
「伯爵、戻った♪」
「きゅ♪」
2人が客間に入ってくる。
「うむうむ、戻ったの。
大事ないかの?」
「はい!」
「きゅ!」
クゥを抱えながらビエラは椅子に座る。
ゴドウィン伯爵とテンプル伯爵夫婦は首を傾げている。
「親父殿、こちらは?」
「うむ。
ビエラとクゥじゃ。
共にドラゴンじゃの。」
「あー♪」
「きゅ♪」
ビエラとクゥが手を上げて挨拶する。
「「「「ドラゴン・・・」」」」
4人が固まる。
「エルヴィス伯爵・・・獣人の姿ですが・・・」
テンプル伯爵が聞いて来る。
「うむ。
なんでも600歳を超えるとドラゴンは変身が出来るようになるとの事での。
ビエラはクゥの母親じゃ。
立場としてはタケオの部下となっておる。」
「ドラゴンが人間に従う・・・ので?」
「無理難題を言わなければ己の裁量で協力はしてくれる。
それで十分じゃろう。
それにドラゴンが凶暴だと言われているが・・・わしは凶暴な状態を見たことがないからの。
むしろこの2人を見ていると、ドラゴンはこんな穏和なのに何をして怒らせたのかの方が気になるのじゃ。」
エルヴィス爺さんがため息をつく。
「はぁ・・・まぁ・・・伯爵様がそう仰るのなら・・・
お二人ともよろしくお願いします。」
ビエラが頷く。
「あの~・・・小さい方のドラゴンに触ってみても良いでしょうか?」
グレンダが恐々手を上げて言ってくる。
「きゅ?」
クゥがビエラの下からグレンダの下に行く。
「だ・・・抱いても?」
「きゅ。」
クゥが頷くとグレンダがクゥを抱え上げる。
「うわぁ~♪これ良い!
なにこの感じ。」
グレンダが嬉しそうに抱く。
「え?本当?・・・次私ね♪」
エラも実は触りたかったようだ。
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ここは執事とメイドの控室。
使用人達は自身の空いている時間で夕食が取れるようになっておりバイキング形式であった。
と言ってもほとんどは同じ時間帯に取っているのだが、今日からは来客もある為、特別シフトが組まれていた。
「んん~~♪」
ジーナがつみれのスープを堪能していた。
「ジーナ・・・パスタは食べないのですか?」
一緒に夕食を取っているメイド長が聞いて来る。
「はい!私はつみれのスープのみで十分です!
はぁ~♪美味しいですぅ♪」
ジーナが幸せな顔をしている。
「・・・スープは全部ジーナが食べてしまうかもしれませんね。
料理長達に言っておきましょう。
それにしてもこのパスタは良いですね。
干物を使うよりも生魚を使う方が美味しいのは当然なのですかね。
それはそうとヴィクターさん。今日の仕事は終わりですか?」
「はい。
主が明日の為に早めに切り上げましたので今日は帰宅するのみです。」
「そうですか。
明日は大忙しです。」
「はい、わかっております。
明日は集合がいつもより早いのでしたね?」
「ええ、そうです。
早朝から皆が最終確認をします。早朝組と午後組に別れていますね。
私も明日の早朝組ですから夕食後に一旦帰宅して寝てきます。
ヴィクターさんとジーナは?」
「私達は明日の早朝から夕食までですね。」
「なおの事、今日は早く寝ないといけませんね。」
「はい。
ジーナが満足したら連れ帰ります。
が・・・もう少しかかりそうですね。」
ヴィクターが苦笑する。
「おーい、伯爵達の夕食の配膳をお願い。」
と控室に声がかかる。
「よし!仕事よ!」
「「「服装よし!乱れなし!」」」
ジーナ達早番以外のメイド達が出て行く。
「皆様、いってらっしゃいませ。」
ジーナが皆に声をかけると「行ってくるわね♪」「ジーナもお疲れ」と声をかけて出て行くのだった。
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厨房では。
「夕食と夕食後のティータイムのスイーツと・・・これで全部だな。」
「ええ。
今、メイド達を呼びに行っています。」
料理長と料理人達が話していた。
「よし、問題ないな。」
「それで・・・これがキタミザト様が作ったミノムシですか。
んー・・・確かにカリッと揚がっていますね。
油の温度でしょうか?」
「そうかもしれないなぁ。」
「ですが・・・レシピ的には同じですよね。
ジャガイモのサイズでしょうか。少し細いですよね。」
「んー・・・細くした方が温度加減が緩くても良いのかもしれないが・・・
何個か試作してみるしかないな。」
「味付けはマヨネーズにトマトソースの煮込んだ物を少し入れる方が良さそうですね。
ウスターソースも良いですが、こちらの方が祭りでは良いかもしれません。
作り置きも出来そうですし。」
「明日の夕食以降はこのジャガイモと鶏肉とソースの用意でしたね。
屋台の方は総監部が用意してくれているみたいですが、明日の立食の時に見に行った方が良いですよね。」
「書面上は油の用意も終わっていますし、薪も問題ないですね。
食材は大量ですが、種類が少ないので何とか出来るでしょう。」
皆が武雄の作ったミノムシ料理を摘まみながら明後日の段取りを言い合うのだった。
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