第1145話 142日目 武雄とアリスは予行中。(ゴドウィン伯爵はどんな者なのか。)
「・・・重い。」
武雄はかなりの圧迫感で目覚める。
やっぱりアリスだった。
当のアリスは武雄の上でうつ伏せ状態でスヤスヤ寝ている。
「今日はこれですか。」
今日も武雄はアリスの太腿撫でながらボーっとする。
・・・
・・
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アリスが身じろぎを始め、
「・・・おはよ・・・ござい・・ます。」
と挨拶をし、初めて自分の状態がおかしい事に気が付いた様だ。
「アリスお嬢様、おはようございます。」
と武雄もアリスの太腿を撫でながら挨拶をする。
「・・・タケオ様・・・私の下が好き・・・なのですね。」
アリスの言い草に武雄は「ええ、ええ。尻に敷かれていますね」と苦笑するしかなかった。
「まぁ・・・いいかぁ。」
とアリスが武雄の首に腕を回し抱き着いてくる。
「えーっと・・・やはり起きないのですか?」
「えへへ♪もう少し♪」
・・
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武雄とアリスはその後、少し寝ていたが。
「さて、タケオ様、朝食を食べましょう。」
と、アリスの言葉と共に二人ともベッドを出て、着替えを始める。
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朝食後のエルヴィス伯爵邸の客間。
エルヴィス爺さんとスミスとエリカと執事が居る。
チビッ子達は自室で何やらしているらしい。
「さて、今日は外出禁止じゃの。
執事やメイド達は明日の準備で忙しいからわしらは大人しくしておかなくてはの。」
「それにゴドウィン伯爵とテンプル伯爵夫妻がきますね。」
「昼過ぎだったかの?」
「はい。
昨日の報告では、両家とも南町に到着済みです。
また王都への武官派遣に際しまして帯同されている兵士が多いとの事です。」
部屋の隅に居る執事が答える。
「ふむ・・・スミスに同行する兵士が多そうじゃの。」
「報告を集計した所、計90名の予定になっております。」
「90名とな?・・・確か常駐兵力500名に対して10名ではなかったかの?」
「はい、その様に王都より通達がされております。
テンプル伯爵領及びエルヴィス領は20名、ゴドウィン伯爵領は60名となっていると推察されます。」
「ふむ・・・フレッドやジェシーがその辺を誤魔化すとは思えぬの。
ま、平気かのぉ。
どうせあと少しで会うのじゃ、その時に聞けば良かろう。」
「はい、畏まりました。
ゴドウィン伯爵様とテンプル伯爵様ご夫妻の部屋のご用意は完了しております。」
「うむ、わかった。
エリカ殿、フレッドとロバートには会ったかの?」
「はい。
テンプル伯爵様とは王都のタケオさん達の爵位授与式と殿下達の挙式の際に面通しは済んでおります。
ですが、ゴドウィン伯爵様はありません。名代のジェシー様と話をさせて頂いております。」
「ふむ、そうか。
まぁ、フレッドは味覚はおかしいが、悪いヤツではないの。
政治もわかるし軍事も問題ないのじゃ。」
「お爺さま、言い方が酷いですよ。」
スミスが呆れる。
「いや、あれは絶対味覚がおかしいのじゃ。
食い方も汚いしの。」
「まぁ・・・食べ方は・・・散らかりますし。」
スミスもそこは擁護出来ない。
「食べ方に野性味がある方なのですか?」
エリカが聞いてくる。
「・・・なるほど、エリカ殿は流石じゃ。
良い言い回しを知っておるの。
わしらも今後はそう言おうかの。」
「そうですね。」
エリカの言葉にエルヴィス爺さんとスミスが頷く。
「?」
エリカは首を傾げる。
「ロバートは普通なんじゃよ・・・
フレッドはどうしてああなのか・・・ジェシーが注意しないわけないのにの。」
「ですよね。
ゴドウィン伯爵のそこは不思議ですよね。」
スミスがエルヴィス爺さんの言葉に強く頷く。
「ジェシー様は結構気が強い印象でしたが。
旦那様のゴドウィン伯爵様はどういった方ですか?」
「「・・・」」
エルヴィス爺さんとスミスが真剣に考えている。
「・・・気の良い男だな。」
「・・・大雑把に見えて繊細・・・だと思います。」
2人が絞り出してくる。
「・・・えーっと・・・わかりませんね。」
エリカが苦笑する。
「会ってみるのが一番じゃの。
害はないからの、食べ方以外は。」
「ははは・・・覚悟しておきます。」
エリカが苦笑しながら頷くのだった。
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こっちはエルヴィス伯爵邸の広間。
フレデリックや執事、メイド長達数人が席に座っていたり、武雄とアリスの補助役をしたりとしている。
今は指輪の交換の段取りをしていた。
「台の指輪の入った箱から各々の指に付けるのですね。
フレデリックさん、ここは向かい合ってで良いのですよね?」
武雄とアリスが指輪交換の素振りをしながら確認している。
「そうですね・・・少し変えてみますか?」
フレデリックが考える。
「キタミザト様、右足を足のサイズ半個分下げてみてください。
・・・一歩と言わずに少し開いた方が自然に向いている感じがしてるかもしれませんね。」
メイド長も考えながら言う。
「では・・・される方が軽く客席の方に体が向くようにどうでしょう。」
「そうすると、アリスお嬢様の方では一歩前に出す感じですね。
・・・ん~・・・少し窮屈なように見えてしまいますかね?」
皆がどうやれば見栄えが良いのか考えるのだった。
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