第1144話 141日目 今日は終わり。(カレーと反省。)
夕食後の客間にて。
「タケオ、カレーは良いのぉ。」
「ですよね。
肉の種類によって味が少し変わったように感じますし、そもそも入れる具材に依っても変わりますかね。」
武雄とエルヴィス爺さんは将棋をしながらマッタリとしている。
「タケオ様、今日のは良かったですね~♪
はぁ・・・お昼にカレーで夜もカレー。
普通なら2食連続で同じ味は飽きるはずなのに何でこんなに違うでしょうか?」
「ですよね、お姉様。
カレー美味しいです。」
アリスとスミスはカレーを堪能したようだ。
「うぅ・・・タケオさん、やっぱりカレーが王都に無いのは非常に口惜しいですよ。」
エリカが泣いている。
「エリカ様、それは言ってはいけない事ですし、どうしようもない事でしょう?」
「わかっているわよ。
でも王都の西の町で食べたカレーより明らかにこっちの方がインパクト大きいわ!
いや!カツカレーも凄く美味しかったけど!
タケオさん、どうにかならない?」
「なりませんね~。
・・・あれ?王都の西の町のカレーですけど・・・確かアルマさんとレイラさんの出産の折に出店するよう勧めておきましたよ?」
「なんですって!?」
エリカが驚く。
「報告しなかったかな?」
武雄が首を傾げる。
「聞いてないですよ。
そうか・・・出産が近くなった時に依頼を出せば・・・」
エリカが思案している。
「エリカ様、そんなに上手く行きませんって。
精々出産後に来て貰うのが良い所ですよ。」
「それでも来てくれるのなら交渉はしておくべきよ。
えーっと・・・総監局と警備局に言わないといけないのかな?
それと・・・」
エリカは何かノートに書き始めるのだった。
・・・
・・
・
「さて寝るかの」とエルヴィス爺さんの言葉と共に皆が客間を出ていき、武雄とアリスも寝室に戻って来ている。
アリスは湯浴みを終えて今はベッドの横の椅子に座り武雄に髪を軽く乾かして貰っていた。
「タケオ様、明日は予行ですね。」
「一応、宣言と最後の挨拶文はフレデリックさんに渡しましたが・・・」
「中身は見てはいませんが、何か問題があったのですか?」
「いえ、『添削しますね』と言って預かられています。
明日渡されるのかと思ってですね・・・すぐに覚えられるのか心配です。」
「本番までに覚えれば良いのではないですか?
それよりも私の方ですよ。
まさか嫁ぐのに私の方が多いとは・・・フレデリックが『ここはアリスお嬢様ですね』と簡単にタケオ様から私に変更されてしまいました。」
アリスが呆れている。
「流石は主家の御令嬢です。
挨拶が多くないといけないのでしょうね。」
「はぁ・・・そうなんですかね・・・
ちなみにメイド達や執事達が楽しそうに準備しているのを知っていますか?」
「祝い事が楽しいのでしょう?」
「まぁそれもあるのですが、実はこの家で娘の結婚式は初めてなんです。
基本的に女性は嫁ぐものとされていましてね。
ジェシーお姉様は向こうの屋敷でレイラお姉様は王城での挙式でしたから私の挙式はここでするとなって古参の者達が特に喜んでいるそうなんです。
それに挙式の用意等々で人手が足らなそうだとなった時に元執事や元メイド達が集まって来たのですって。
明日から屋敷内で作業が始まるそうです。」
「アリスお嬢様は愛されているのですね。」
「上二人が去るだけでしたから感慨もひとしおなんでしょうね。
でも私的にはもちろん私達の為ではあるのですけど、同時にスミスの為の挙式予行なんですけどね。」
「あはは、スミス坊ちゃんの時はここまで簡素ではいけないでしょうね。
相手がどんな方なのかにも関係しそうですけどね。」
「ん~・・・第1候補はエイミー殿下ですかね。」
アリスが考えながら言う。
「王家が相手だとどうなるのでしょうか・・・ニール殿下とリネット殿下を呼ぶのですかね?」
「あ~・・・確かに。
この距離を呼ぶのはちょっと大変そうですよね。
なら向こうで1回してこっちで1回しますか?」
「ん?出席者は誰ですか?」
「向こうでは第2皇子一家と私とタケオ様で、こっちはお爺さまと私とタケオ様で。」
「なら王城ですれば良いのではないですか?
一同に会すれば問題ないでしょう?」
「王城ですか・・・費用をどうしましょうかね・・・」
「高そうですよね。」
「ええ、王城では高そうです。
今から予算を組んで少しずつ増やさないといけないかもしれないですね。」
「・・・王家との結婚は大変なのですね。」
武雄とアリスはため息をつく。
「ちなみにですけど。
タケオ様、豪勢にしたいと私が言ったらどうしましたか?」
アリスが聞いて来る。
「・・・豪勢ですか。
立食の際のケーキを2段にして皆の前で切って振る舞ったり、出す料理の数を多くしたり、持って帰って頂く物を良くしたり・・・ですか?」
「やはりそういう事しか浮かばないですよね。
まぁケーキを2段にするのは危ないので却下ですね。」
「そういう物ですか?」
「倒れてドレスに付いてしまってはいけませんからね。
安全策は取るべきですよ。」
「なるほど。
さ、髪も乾きましたね。
私はお風呂に行ってきます。」
「はい、いってらっしゃい。」
アリスが見送るのだった。
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