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第1140話 試作中。(ジーナもいろいろ考えているようです。)

エルヴィス伯爵邸の武雄の書斎にて。

「ん~・・・コノハ、これはどうでしょうか?」

「タケオ・・・それは塗布ではなくて浸けているわ。

 オリーブオイル漬けよ。」

武雄とコノハがオリーブオイルまみれの紙を持って評価している。

「塗ったのはあちらにありますけど・・・作業工程を少なくする為に軽く浸けた方が楽でしょう?

 あとは乾かすだけだと思うのですけど。」

「いやいや、タケオ。

 いくら軽くとはいっても浸けたら紙を乾かす時間が長くなるから大変よ。

 手間は多そうだけど結果的には塗る方が早く終わるわ。」

「乾かすのは日陰干しでしょうから浸けた方が楽ですよ。」

「乾かすのも場所を取るから他の人の迷惑になるわ。

 なるべく早く終わらせるべきよ。」

「そういう物ですか?

 塗るかぁ・・・紙の横幅に合った刷毛で作業した方が良いんですかね・・・」

「ん~・・・それもありかもね。」

武雄とコノハが考えている。


「あの~・・・ご主人様、私の報告を聞いていますか?」

武雄とコノハの横に居るジーナが聞いて来る。

「聞いていますよ。

 スポーツブラの色が多くなりそうだという事でしたね。

 ジーナが気に入った色で揃えればいいのではないですか?

 好きな色の方が気分が落ち着くでしょうしね。

 それと男性用の下着の色が多くなりそうですね。」

武雄が油紙を持ち上げて見ながら答える。

「いや・・・ご主人様、違いますよ。

 ハワース商会の黒板の特注の件です。」

ジーナがジト目で言ってくる。

「特段問題とする事でもないと思いますが・・・文句を言いながらも結果的には出荷できる物が出来るのでしょう?」

「ええ・・・まぁ、出来るとは言っていましたが・・・」

「ハワース商会の方々は木材加工の職人集団です。

 その職人達が『なんとかさせる』と言うなら我々は見守っておけば良いのです。」

「ですがご主人様。

 人事局と軍務局が仕様を話し合って注文してきた節があるのです。

 それってどういう事なのでしょうか?」

「大きい黒板ですか。

 会議室にでも入れるのでしょう。もしくはその2つの局は学院を持っていますから各教室に置くのかもしれませんね。」

「学院ですか?」

「王立学院と魔法師専門学院ですね。

 まぁ王立学院は1学年1クラスの3クラスとして3個、魔法師専門学院は3、4クラス程度が4年で16個・・・数が合いませんね。」

武雄が首を傾げる。

「両学院ではないのでしょうか。」

「それはわかりません。

 局内の会議室に持って行きたいのかもしれませんし、用途は私達ではわかりませんよ。

 でも・・・壁掛けの黒板ね・・・」

武雄が考える。

「ご主人様・・・買いますか?」

研究室所(うち)の試験小隊の部屋と会議室には欲しいですかね。

 今考えている技術を1回のみで終わらせるなんてもったいないですよ。

 発送が終わった辺りで見積もりを依頼しますかね。」

「ご主人様、大きい黒板の需要はあると思いますか?」

「ありますよ。

 会議室や教室には欲しいでしょうね。

 各局内の小さめの会議室には移動式の小さめで良いと思いますけどね。

 とはいえ真似はされるでしょうね。

 王都の人達は物を見て真似をし、ハワース商会よりも安値で納入するでしょう。

 これは防ぎようがないと諦めるしかないでしょうね。」

「はい・・・チョークはどうでしょうか?」

「現在、主成分や製造方法についてはハワース商会からの流出は無いと見ています。

 人員が引き抜かれたとは聞いていませんからね。

 それに納入された物にも現段階では主成分は書かれていないようです。

 なのでチョークを向こうで作るというのは・・・んー・・・全く同じ物は出来ないですかね?」

「ご主人様にしては弱気です。

 ですが、チョーク自体が真似をされないのは良い事ですね。」

「良い事ですが・・・大量に注文が来たのでしたね。」

「はい、嘆いておりました。」

「加工については毎日決まった個数しか出来ないのですからあとは・・・原材料の確保ですか。

 これはフレデリックさん達に言って養鶏場を早急に実現化して貰うしかないでしょうね。

 それと各町での殻の回収作業の実施化をして、夕霧達にお願いして各町の小屋に配備ですね。」

「私が王都に行っても大丈夫でしょうか・・・」

「大丈夫ですよ。

 個人経営の小さな店じゃないんです。

 ある程度の組織である以上、人員が1人居なくなっただけでどうにかなるようになってはいけません。

 気にせず王都に行ってきなさい。」

武雄が笑顔を向ける。

「ご主人様・・・私、いらない子ですか?」

ジーナが悲しそうな表情をさせる。

「ん?・・・あぁ、そうか。

 まぁそうとられても仕方ないですね。」

武雄がジーナが何を思ったのか見当が付くのか苦笑を返す。

「ですが、ジーナがいらない子だとたぶん全貴族の8割の執事やメイドは解雇されかねませんよ。

 それぐらい私はジーナの能力は高いと思っていますよ。

 ですけど、それ故にジーナは外に出さないといけないと思っています。」

「25年後の為と寄宿舎という制度の経験でしたか?」

「ええ、そうですね。

 ですが、根本は違いますね。」

「違うのですか?

 てっきりお付として貴族の子の世話をしながら将来の人脈を作るのが目的だと思っていましたが。」

「確かに自分より能力は劣るのに上に立つ者のあしらい方を身に着けるというのも目的ではありますが。」

「・・・ご主人様、言い方が酷いです。」

武雄の言葉を飾らない言い方にジーナは呆れるのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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