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第1128話 とある文官達の悩み。1(資源管理部と港湾部。)

エルヴィス邸がある街の庁舎の一室。


経済局局長室に資源管理部の部長と担当課長が来て打ち合わせをしているのだが・・

「局長、部長・・・疲れました。」

「・・・局長室まで来て愚痴を言わないでくれよ。

 てか、課長の顔・・・死んでるぞ。

 部長、休みは取らせているのか?」

「ええ、一応は。

 ただ、各町への卵の殻の回収についての説明会と実施。

 環境局から持って来られた卵の殻と夕霧様達への残飯を試験小隊の訓練場に持って行く作業。

 回収したスライムの体液の樽詰めと品質管理と輸送手配。 

 ハワース商会へのスライムの体液の販売事業が始まったので販売した際の代金の精算等々。

 4月からの緑スライムの体液との高性能肥料の本格試験ですからね。

 決済が大変ですね。」

「今は始まったばかりで慌ただしいが、これが1月、2月と過ぎて行けば落ち着いて来ると思うんだがな。」

局長が腕を組んで言ってくる。

「そこは私もそう思っているんですが・・・

 人工湖が出来たら今度は紅魚の養殖研究が始まるのですが・・・」

「・・・人員どうしようか・・・」

局長が目線を落とす。

「養殖の方は現在2名の予定です。

 先行して1名が今資料の掘り出しをしています。

 生態が書かれていると思われる本を収集し要約させています。」

「ふむ・・・

 スライム事業の肥料はどうなっている?」

「はい。

 今は腐葉土と残飯を混ぜて作っている既存の肥料に緑スライムの体液を混ぜ、1週間、2週間、1か月の3種類の熟成させてからの試験の予定で農家1軒に声をかけて実施していますが、これを今後どの程度大きくさせるかで悩んでいます。」

部長が言ってくる。

「ふむ・・・そういえばキタミザト様が農業試験用にエルフのご一家を連れて来たそうだ。

 フレデリック様から連絡があった。

 それでそこで農業試験をするとのことで今、うちでしている項目を教えるようにとの事でリスト作成を実施している。

 その中に肥料の試験もするようにするか?」

「ん~・・・キタミザト様の子飼いですよね。

 我々が入らなくても実施しそうです。

 既存の肥料と緑スライムとの混合の割合をお教えして、向こうには濃度を変えた物を実施して頂くというのはどうでしょうか。」

「ふむ・・・ちなみに何で試作を実施する予定なのだ?」

「ジャガイモになります。

 来月の中旬から順次仕込みの予定ですので、間に合うかと。」

「ふむ・・・出来るだけ早く打ち合わせが必要だな。

 だが、挙式までは動けないだろう。」

「わかりました。

 挙式後の打ち合わせに向けて資料の作成をします。」

「うん、頼むな。」

「あ~・・他には何かあったか?」

「体液の回収と樽詰めについてですね。」

経済局は動いているのだった。


------------------------

こっちは整備局港湾部の部屋。

「ん~・・・人工湖の工事かぁ・・・」

部内の面々が人工湖の工事工程や現状の工事図を見ながら検討をしていた。

「周囲8km、水深が14m・・・当初よりも深くなっていますね。」

「あぁ、これな。

 何でも人工湖の地底部を平らではなく起伏を付けるという事になったそうだ。」

「起伏ですか?」

「あぁ。

 ゆくゆくはに成りそうだが、滞留物が多くなった際の事を考えてとの事らしい。

 起伏を付ける事で上流側に行くほど大きい物が滞留し、下流側の川に接続する方には砂利が溜るようにしたいとの意向があってな。」

「地底の土砂の取り除き作業ですか・・・確かに滞留物の除去は数年か数十年後には必要かとは思いますが・・・今から考えておく事なのでしょうか。」

「実際はどうだかわからんが、大きく水が流れる方向をある程度制御したいんだと説明は受けたんだが・・・

 誰もした事がないからなぁ。上手く行けば片側に滞留物が良く溜まり、除去作業が人工湖全部ではなく6割程度で済むのであれば支出が少ないだろうとな。」

「言っている事はわかりますが・・・どうなのでしょうか。」

「んー・・・除去作業はある区画を全部囲って区画内の水抜きをしてから地底部の掃除となるのでしょうね・・・

 水を抜くかぁ・・・」

「「んー・・・」」

皆が悩む。

「人工湖の横に区画用の水抜き用の池を作るか?」

「それだけでも相当大変だぞ?

 水深14m以上の所に水面が来るような池か?

 想定する区画と同じ面積で30m近く掘るって・・・どんだけなんだよ。

 池を作るより、穴を掘って水を抜くのはどうだ?

 それなら下流の川まで大きく迂回はするだろうが、掘る量は変わらないだろう。」

「それは横に抜く距離が問題だ。

 下手したら1km先からになるかもしれないだろう。」

「なら・・・掘るのは5mにして残りの9mは周りに土を盛るのはどうだろう?」

「「土を盛る?」」

皆が首を傾げる。

「あぁ。1m、2mの土壁でなくてさ、50m幅とかの小さな丘を作るみたいに。

 それならのちのちの水抜きでは5m掘れば水を抜けられるし、川に放流も楽に出来るだろう?」

「いや・・それは人工湖だけを考えれば出来るだろうが、この湖は船の行き来をするんだ。

 現在の水位を上げてしまっては川から船が来ないだろう。」

「あ、そうか・・・船が居たんだった。

 ならこれは無理か。良い案だと思ったんだけどな。」

「いや・・・この人工湖では出来ないと言うだけではないか?

 この人工湖が上手く行けばもしかしたら別の案件で同じような人工湖を作るかもしれない。

 その時の為にそういった事は考えておくに限ると俺は思うがな。」

「うん、そうだな。

 皆!俺達は前代未聞の事をするんだ。

 将来の為に今、考えうる人工湖の姿を思い浮かべてみよう。

 奇抜でも良い、常識外れでも良い。

 今の掘るだけの人工湖とは違う考えがあるなら出して見よう。」

「「おおー。」」

港湾部も盛り上がっているようだ。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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